2017/12/18

チャイロスズメバチの巣を新たに発見



2016年9月下旬

山裾に佇む神社でブンブンとハエのような羽音がうるさいので「虫の知らせか?」と何気なく見上げると、多数のチャイロスズメバチVespa dybowskii)が屋根の南面に集結し、辺りを飛び回っていたので、私は奇妙なデジャブ(既視感)を覚えました。
実は2年前に、同じ建物のちょうど反対側(北面)の破風板の内部で同じくチャイロスズメバチが営巣していたのです。

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これはとても興味深いことです。
チャイロスズメバチは社会寄生性スズメバチですから、創設女王が春先に単独で巣作りを始めるのではなく、モンスズメバチやキイロスズメバチの巣を見つけて乗っ取る必要があるのです。

念の為に確認すると、建物の反対側(北面)の古い(2年前の)営巣地にはチャイロスズメバチは一匹もいませんでした。

多数の門衛が群がっている破風板は風雪に晒されかなり年季の入った材木です。
材木の表面が彫刻刀で荒削りしたようにかなり凸凹しているのは、チャイロスズメバチが巣材として寄って集って齧り取ってしまった跡なのかもしれません。
破風板の木材に隙間(穴)が開いていて、奥の屋根裏に巣の本体があるようです。
帰巣する個体がいたり、出巣する個体がいたり、ワーカー♀が忙しなく飛び回っています。
たまに巣口付近でワーカー(門衛同志?)が互いに口づけを交わし栄養交換していました。

もうひとつ興味深いのは、一匹のワーカー♀が巣内から何か白い塊を咥えて外に飛び去りました。(@2:52)
おそらく羽化後の育房を再利用するために古い繭の白い蓋を食い千切って捨てに行ったのではないかと想像しました。

メタリックな緑色に輝くキンバエ?が一匹、画面左のトタン屋根に着陸しました。(@5:09)
そのまま思わせぶりに歩いてチャイロスズメバチの巣口に接近しました。
巣からは獲物の食べ残しの匂いなど、ハエには魅力的な屍臭・腐臭がするのかな?
巣には侵入せず、ミドリキンバエ?は飛び去りました。
その間、チャイロスズメバチの門衛はハエに対して特に警戒したり追い払ったりしませんでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


余談ですが、実は現場のすぐ近くにニホンミツバチも自然営巣していました。
数匹のキイロスズメバチがどこか遠くの巣から通って来て、ミツバチを狩ろうとしつこく襲っていました。

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一方で、近くに営巣するチャイロスズメバチがニホンミツバチを全く襲撃しないのが非常に不思議に思いました。
私がニホンミツバチvsキイロスズメバチの攻防戦を撮影していると、警戒心の強いチャイロスズメバチのワーカーが数匹ときどき破風板の巣から偵察・威嚇に飛んで来ました。
黒いカメラや三脚を警戒したり、私の体にまとわりつくような独特の飛び方をしました。
ただし飛びながら大顎をカチカチ鳴らす威嚇行動(最後通牒)はやらず、本気で怒っている訳ではないと分かります。
私が慌てず騒がず無の境地で動きを完全に止め(フリーズ)ゆっくり後退すると、チャイロスズメバチの偵察部隊はおとなしく巣に戻りました。

こういう場合にどうしても反射的に腕を振り回して蜂を振り払いたくなりますが、これは絶対にやってはいけません。
蜂にまとわりつかれても私が焦らずに心穏やかにいられたのは、スズメバチ用の防護服こそ持っていませんが、この日は白いポロシャツを着て帽子を被り黒髪を隠していたからです。
もし黒い服を着ていたら、それだけでスズメバチにとっては挑発行為になり、ちょっと危なかったかもしれません。
スズメバチの本で読んだ通り、こちらがエチケットを守り正しく対処すれば無闇に刺されたり襲われることはないという確信と信頼が深まりました。
偵察部隊の威嚇行動をいつか動画で記録してみたいのですけど、本格的な防護服を手に入れるまで、無茶は出来ません。(高嶺の花…)






つづく→肉団子や巣材を巣に搬入するチャイロスズメバチ♀【ハイスピード動画】


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