高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#36
2017年6月中旬・午後15:12〜15:22
全4羽の雛が巣立っても、ハシボソガラス(Corvus corone)親鳥♀♂の子育て(育雛)は終わりではありません。
しばらくは縄張り内で幼鳥を引率し、自力で採食できるようになるまでは幼鳥に巣外給餌する必要があるのです。
幼鳥はどこに隠れているのでしょうか?
私が未練がましく鉄塔の空巣を撮っていると、いつもの親鳥が高圧線に止まりました。
私の様子を見に来たようです。
ときどき嘴を足元の電線(鉄塔の一番上から伸びる高圧線)に擦り付けています。
やがて高圧線から北へ滑空して採餌に出かけました。
(採餌に出かけるのは今までと同じです。)
しばらくすると、今度は営巣地の近くの住宅地の電柱で親鳥が休んでいました。
電柱の天辺から上に伸びるアルミ角柱(避雷針?)の天辺に止まっています。
ここも親鳥のお気に入りの止まり木の一つで、育雛中は雛の糞を捨てに来ていた(排糞)地点でもあります。
しかし、いつまでたっても飛び立ちません。
この日は結局、私が見ている限り、親鳥は一度も鉄塔の空巣を訪れませんでした。
空巣に用は無いのでしょう。
親鳥がどこで幼鳥に巣外給餌しているのか突き止めたかったのですが、親鳥も幼鳥の居場所を私に知られたくないような印象を受けました。
領空侵犯した別のカラスを追い払うために親鳥が飛び立ったシーンを目撃しています。
相手が慌てて逃げたので争いにはならず、親鳥も途中で引き返しました。
雛が全て巣立った後でも縄張り防衛の意識は強いようです。
動画を撮り損ねたのが残念でした。
鉄塔の南にある小さな林(スギと雑木林の混合林)に親鳥がときどき行くので怪しいと思い、私も後でこっそり行ってみました。
しかし残念ながら林内や周辺の農地でカラスの家族群を見つけられませんでした。
幼鳥がどのくらい飛べるのか知りませんが、もっと安全な遠くへ飛んで行ったのかもしれません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
当地ではハシボソガラスの繁殖は年1回だけのようで、この巣#21もその後に2回目の繁殖に再利用されることはありませんでした。
余談ですが、実はこの最終日、定点観察の撮影地点に行く途中で事件がありました。
私が足早に歩いて営巣地へ向かっていると、向こうから飛んできたハシボソガラスが空中で脱糞しました。
頭上に落ちてきた糞を避けようと咄嗟に半身になってかわしたものの間に合わず、白いポロシャツの左肩に被弾!(命中)
明らかに私の顔や頭部を狙って強烈な嫌がらせをしてきたのです。
カラスは横の鎮守の森(杉林)に止まって、私をからかうように掠れ声で少し鳴きました。
定点観察している巣#21の親鳥なのか知りたいところですが、個体識別できていないので分かりません。
鎮守の森を縄張り(営巣地?)とする別のハシボソガラスなのか?と最初は思いました。
帰宅後に地図を広げて調べると、爆撃地点から巣#21までの直線距離は412mでした。
カラスの縄張りが半径500mと言われているので、巣#21の親鳥だとしても不思議ではないことが分かりました。
後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』によると、
大阪高槻市の野外条件では、ハシボソガラスの巣間距離は、樹木営巣の場合は140~680メートル(n=172)、人工物営巣の場合は140~780メートル(n=52)で、樹木と人工物に大きな違いはみられない。このデータを基準にして、本書では、電柱営巣の巣間距離が140メートル以内は同一つがい、781メートル以上は他のつがいの巣とし、141~780メートルは、営巣日の重なりや営巣時期の間隔などを考慮して、同一のうがいによる再営巣であるかどうかを個別に判断した。 (p31より引用)
連日のようにしつこく巣を見に通ってくる私の存在が親鳥は気に入らなくて憤慨し、遂に待ち伏せして鬱憤を晴らしたのかもしれません。
私も撮影地点へ通うルートをときどき変えたり遠回りしたりしていたのですけど、親鳥には私の行動パターンを読まれていたのでしょうか。
この時点で既に最後の雛も巣立っていたはずなので、親鳥が縄張りの辺境にも出てくる余裕ができたのかな?
白いポロシャツに付着した黄土色の液状便の匂いを嗅いでも無臭だったのは助かりました。
数日経った後でも、汚れに粉洗剤をまぶしてから洗濯したらきれいに落ちました。
別の記事にするか迷ったのですが、糞空爆のスクープ映像も撮れなかったので、一緒にまとめて書きました。
シリーズ完。
つづく→番外編:ハシボソガラスによるメヒシバの種子散布?
名誉の勲章? |
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