2013年9月中旬
ミズナラの樹液酒場は千客万来です。
最後に真打のオオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)が登場しました。
強力な大顎で樹皮を齧り樹液を舐めています。
やはりオオスズメバチが最大かつ最強です。
数で勝るチャイロスズメバチを易易と追い散らします。
オオが幹から飛び立ち、近くの樹液酒場に居たチャイロを追い払いました。(餌場の占有行動)
オオスズメバチの数が少ないことと、樹液酒場が幹のあちこちに分散しているため、平和がある程度保たれているようです。(追い払われたチャイロは別の樹液スポットに戻るだけで、イタチごっこになる。)
今回観察できたスズメバチ(Vespa属)3種の力関係はオオ>チャイロ>モンでした。
これは本の記述と合致しています。
『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』 岩田久二雄・眞野書店 p318 によると、樹液の出る場所での席次争いで強いものから弱いものへの順列は、オオ>チャイロ>コガタ>モン>ヒメ(スズメバチ)らしい。
2種の空中戦を240-fpsのハイスピード動画で記録してみました。
通常は追い回すだけですが、稀に空中で激しい格闘となり、もつれ合うように落下しました。
オオスズメバチが幹を登ると、上の樹液ポイントに居たチャイロが慌てたように飛んで逃げます。
チャイロは硬いから簡単にやられるような感じがしませんが、流石に無駄に危険は冒さないって事のようですね。
返信削除コメントありがとうございます。
削除チャイロの方が飛び方も敏捷ですし、オオスズメバチと空中戦になっても本来は逃げられると思うのですけど、たまに油断するのでしょうか。
体長ではそれほど大きくないチャイロがスズメバチ類同士の喧嘩の序列でナンバー2の座を占めているのは少し意外です。
寄主の巣を乗っ取るチャイロの女王の体は敵の毒針から身を守るため特に硬くなっている、と聞いたことがあります。
ところで労働寄生種や社会寄生種の蜂はどれもなんで体色が独特だったり美しかったり(派手)するんですかね?
チャイロスズメバチの場合は、最初に巣を乗っ取る行動があるので、同種間での誤爆を防ぐためじゃないでしょうか。
削除攻撃力・防御力共に高いから、同種間でも簡単に致命傷になるでしょうし。
むむむ…?
削除チャイロスズメバチの女王は単身で寄主の巣に乗り込んで行って寄主女王&ワーカーを相手に戦って乗っ取りを行うので、考えにくい気がします。
冬を生き延びたチャイロ女王の生息密度は低いので、チャイロの同士討ちの心配は取り越し苦労じゃないでしょうか。
寄主の女王を殺すだけで寄主のワーカーは生かしておいて奴隷としてチャイロのワーカーを育てさせるそうです。
以前一度だけチャイロ女王がキイロスズメバチの巣を乗っ取ろうとしている現場を観察したことがあります。(私が蜂の観察や動画撮影を始めるきっかけとなりました)
この現象(労働寄生、社会寄生する蜂は美麗種が多い)については昔からずっと気になっています。
例えば動物学では有名な「ベルグマンの法則」みたいな名前が付けられているのか、どこかで読んだような気もするのですけど思い出せません。
もし正式な名称が未だ無いのならば、勝手に「しぐまの法則」とでも名付けようかしらん?(言った者勝ち!)
蜂類一般のミューラー型擬態から逸脱するデメリットを上回る何かメリットがあるはずですよね。
実は深い意味などはなくて、単に自衛のためにクチクラを硬化させたことの副作用だったりして…?
誰かエボデボ的に解明して欲しいものです。
吉原将軍さんの最初のコメントからは少し逸れましたけど、日頃の個人的な疑問をこの機会に書き連ねてみました。
お付き合い下さいましてありがとうございます。