2012年6月上旬
峠道を通すために切り開いた法面にモルタルを吹き付け、落石防止の鉄骨を多数設置してあります。
ここで野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れに遭遇しました。
背景に人工物が多いと、どこか動物園の猿山や野猿公苑で撮ったと思われそうですが、正真正銘、野生の猿です。
この群れで「みつ口」という特徴的な顔貌の猿(成獣)を一頭見つけました。
先天的な奇形(口唇裂)の症例なのか、それとも後天的な怪我(裂傷)なのか、一体どちらなのでしょう?
性別も知りたいところです。
映像から見分けられる方はご一報ください。
たまたま『頭骨コレクション』という本を読んでいたら、次の記述を見つけました。
オスザルどうしのケンカで唇が裂けている個体は、どの群れにも一頭くらいはいるものだ。(p103より)
後日このみつ口の猿と再会を果たすことになります。
【追記】
ニホンザル奇形問題研究会『奇形ザル:野猿公苑からの報告』によると、
・(宮島の群れで)1977年にも、四肢奇形のアカンボウが四頭生まれ、これ以外に生まれつき右の下唇が切れているサルが生まれた。ニホンザルは、頬の下に左右一対のほほぶくろを持ち、食物をいったんここに貯めこんで、後で改めて食うことをやる。このコザルは、ほほぶくろに入れたコムギが裂け目からこぼれ落ちそうになるのを、手で押し込んでいた。(p123-124より引用)
・ニホンザルの奇形は、四肢に集中して出現している。とりわけ四肢の骨格の異常と、それに伴う筋肉および皮膚の異常が多く見られ、ほかの部位の奇形は、少数しか見つかっていない。(p147より引用)
・表35:ニホンザルで観察された四肢以外の奇形(p148)に「兎唇」が含まれていました。
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