2012年6月上旬
ケヤキの枝で数羽のカワラヒワ(Carduelis sinica)が賑やかに鳴きながら何やら啄んでいます。
初めはケヤキの実を採食中なのかと早とちり。
ケヤキの実にしてはどうも変なので更に調べてみると、葉の表にできた虫こぶ(虫癭:ちゅうえい)と判明。
この独特の形状をした虫こぶはケヤキハフクロフシという名前で、ケヤキフシアブラムシ(=ケヤキヒトスジワタムシ;Paracolopha morrisoni)が葉裏に寄生したことで肥大するらしい。
(ある種の)虫こぶには確か渋味成分のタンニンなどが多く含まれるはずで、野鳥が食べて美味しいのだろうか?
タンニンを摂取した鳥は消化が抑えられます。(藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』p173より引用)
それとも、ケヤキハフクロフシにはタンニンの含有量が少ないのかな?
カワラヒワは虫こぶそのものではなく、中に潜むアブラムシが目当てだった可能性もあります。
(ケヤキハフクロフシ)虫えい内の第2世代は全て有翅虫となり、6月に虫えいの側方が裂開して脱出。(『虫こぶハンドブック』p29より)しかしカワラヒワの食性は主に植物の種子なので、虫を捕食していたとは考えにくいように思います。(※追記参照)
余談ですが、ケヤキフシアブラムシはケヤキとササ類との間で寄主の交代を行うらしい。
(『虫こぶ入門:虫と植物の奇妙な関係』p69より)後に現場を確認すると、ケヤキの木から少し離れた場所に果たして笹の小さな群落がありました。
虫こぶを巡る生き物たちのつながりも奥が深く面白そうですね。
複雑な生態系の深淵を覗いたようで、気が遠くなります。
【追記】
ハンマーさんの興味深いブログ記事「虫こぶをかじるヤナギハムシ」に対してyamasanaeさんが次のようなコメントを残しておられました。
先日、カワラヒワが地面に大量に落ちているエノキハトガリタマフシをしきりにつついていました。残っていたのは、割られたエノキハトガリタマフシ。※ 『日本動物大百科4鳥類Ⅱ』p148によると、カワラヒワは
ある程度育った、エノキトガリタマバエの幼虫が入っているのを知っているのかと、驚きました。虫こぶ(フシ)を狙っているものは多くいるのでしょうね。
エノキの葉につく虫こぶ、アブラムシやアワフキムシといった昆虫も食べることがある。
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