2024/10/09

休眠越冬する場所を間違えたウラギンシジミ

 

2023年11月下旬・午前11:25頃・くもり 

遅い初雪が数日前に降ったばかりの里山で山道を登っていたら、落ち葉の上に真っ白な蝶が止まっていました。 
よく見るとウラギンシジミCuretis acuta paracuta)でした。 
閉じた翅を横に寝かせて翅裏を見せています。 
翅裏が白く(銀色に)目立つので、天敵の捕食者に対して保護色の効果は全くありません。 
曇天ですから、日光浴ではありません。 
本種は成虫で越冬することが知られているのですが、実際に冬に見たのは初めてで感激しました。 

動画を撮りながら落ち葉ごとそっと拾い上げると、ウラギンシジミは葉裏にぶら下がる姿勢になりました。 
落ち葉を裏返しても、ウラギンシジミは飛んで逃げるどころ全く動きません。 
私の体感では別に寒くなかったので、変温動物のウラギンシジミが低温で動けなくなっていただけ、という可能性はないと考えてしまいました。 
今思うと、登山中で私の体温が上がっていただけかもしれません。 
横着しないで現場の気温を測るべきでしたね。 

落ち葉の表側はまだ緑色で、葉の形状から樹種はおそらくマンサクだと思います。 
マンサクの中でも東北地方の日本海側に分布する変種マルバマンサクかもしれませんが、葉に虫食い穴が多くて私には自信をもって見分けられませんでした。 
ウラギンシジミ幼虫の食草はマメ科の植物らしく、マンサクとは関係ありません。

周囲は雑木とスギの混交林です。
マンサクの葉がまだ枝についていたときにウラギンシジミが越冬のために葉裏の葉脈(中肋)に止まり、そのまま一緒に落葉したのだろうと推測しました。
この個体は、落葉樹の葉裏という不適切な越冬場所を選んでしまったようです。 
ウラギンシジミの性別を判定するには翅表の斑紋を見る必要があるのですが、無理に触れてみて越冬前に体力を無駄に消耗させるのも気の毒だと思って自重しました。 
撮影後は落ち葉ごとその場に放置しましたが、根雪が積もる前に一度休眠から目覚めて安全な越冬場所に移動しないと、深い雪に埋もれて凍死・圧死してしまうでしょう。
山道を更に少し登ると、遅い初雪が日陰にちらほらと残っていました。 

昔に読んだ本『葉の裏で冬を生きぬくチョウ: ウラギンシジミ10年の観察 (わたしの研究 6)』がとても面白かったのを覚えています。 
私も実際に冬越しの様子を定点観察してみたいのですが、当地(北国、雪国)では滅多に見られない種類のチョウです。
・典型的な暖地性のチョウで、日本では本州以南に分布。 
・成虫で越冬し、春先にも見られることがある[5]。 (wikipedia:ウラギンシジミより引用)
これから地球温暖化が進行すると、ウラギンシジミの生息域が北進して当地でも数多く見られるようになると予想されます。
私が子供の頃は、ウラギンシジミは憧れの蝶で一度も見た記憶がありません。


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2024/10/08

越冬用巣穴で小競り合いの後にスクワットマーキングするニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月上旬 

シーン0:12/4・午後12:59・くもり(@0:00〜) 
シーン0:12/4・午後13:45・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)を新旧2台旧機種のトレイルカメラで見張っています。 
画面の奥に見える常緑の低い茂みはヒメアオキの群落です。 


シーン1:12/7・午前2:03(@0:07〜) 
深夜に左からゆっくり登場したアナグマ♂aが巣口Lの手前でぼんやり佇んでいます。 
素人目には顔つきが♂に見える(鼻面が短い)のですけど、どうでしょうか? 
ようやく左に引き返したところで、奥のヒメアオキ群落の奥に侵入者(別個体♂b)の白く光る目が右に動いています。 
手前のミズキ灌木の陰でアナグマがガルルル…♪と鼻を鳴らすような唸り声を発しました。
(鳴き声の主が♂aとは限りません。) 

画面奥の常緑ヒメアオキの茂みの奥から右に回り込んで獣道を駆けてきたのは、アナグマ♂bでした。 
セットに接近してきた侵入者♂aを巣穴の主♀が追い払ったのだと思います。 
アナグマの♂が♀の巣穴に夜這い(求愛)をするには時期が早すぎます。 
初冬のこの時期は、越冬用の巣穴を奪い合う争いがあるのでしょうか? 
残念ながら、同じシーンを別アングルの監視カメラでは撮れていませんでした。 


シーン2:12/7・午前2:04(@0:59〜) 
セットに駆けつけたアナグマ♂bがそのまま左へ行く途中で、巣口LRの中間地点の地面にスクワットマーキングしました。 
匂い付けで縄張りを主張したことになります。 


シーン3:12/7・午前2:07(@1:13〜)
ところが、約2分半後に2頭のアナグマが前後して獣道を右上奥へノソノソ立ち去る姿が写っていました。 
この2頭は敵対関係ではないということは、当歳仔(とうさいご)の兄弟なのかな?と素人が勝手に想像しています。 
通りすがりにオニグルミ立木の横に2頭が続けてスクワットマーキングして行きました。 


シーン4:12/7・午前2:10(@1:28〜) 
約3分後にまた左からアナグマが登場しました。 
おそらく巣口Rから外に出てきて周囲の様子を窺っているのでしょう。 
この個体は顔つきが♀のように見えます。 
巣口Lで立ち止まり、立ったまま後足で痒い腹を掻きました。 
そのまま巣穴Lに入るのではないか?と予想したのですが、カメラの電池が消耗していててそこまで見届けられませんでした。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


最近も外出から戻った2頭のアナグマが巣口R付近で小競り合いしてから入巣Rする謎の行動が記録されていました。

夜の森で各々がうろついていて、たまたまセット付近でニアミス(鉢合わせ)したときに、視力が悪いアナグマはびっくりして喧嘩腰に誰何してしまうのかもしれません。(誤認闘争?) 


林床に散らばるアケビ果実の断片は誰の仕業?【食痕・フィールドサイン】

2023年10月中旬 

ニホンアナグマが営巣する平地の二次林を探索していたら、林床にミツバアケビ果実の断片が散乱していました。 
野生動物が果肉を食べた後の食べ残し(食痕)のようです。 
苦い果皮はちぎられただけで、甘い果肉および種子はほとんど食べられていました。 
どこか近くの藪に生えたミツバアケビの蔓から熟した果実だけをもぎ取って運び、食べ残し(残渣)を捨てて行ったのでしょう。 


トレイルカメラで長期間監視したおかげで、この二次林には様々な哺乳類が生息していることが分かっています。 
その中で果実食をする者として、ホンドテンMartes melampus melampus)、ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)、ニホンザルMacaca fuscata fuscata)などの仕業と予想されます。 
テンが排泄した糞の中にアケビの種子が未消化のまま残されているのを山中で観察したことがあります。 

ニホンザルがアケビを食べたらしい傍証(食痕)は次の動画に示されています。 
関連記事(約2週間前の撮影)▶ 路上でクリの落果を拾い食いするニホンザルの群れ 


ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)やニホンアナグマMeles anakuma)も雑食性なので、アケビの果実に手が届けば、もしかしたら食べるかもしれません。 
タヌキやアナグマが残した溜め糞の中にミツバアケビの種子が未消化のまま排泄されるかどうか、糞内容物を調べる必要がありそうです。 
本格的な糞分析をしていませんが、糞塊を目視した限りでは、これまでアケビの種子を見たことはありません。
(もちろん、素人が見落としている可能性も高いです。) 

アケビ果実の断片に犯人の歯型や唾液が残っていそうなので、DNAを解析すれば誰が食べたのか法医学的に突き止めることができるかもしれません。 

スナップ写真をじっくり見直すと、微小なアリ(種名不詳)がアケビ果実の断片に群がっていました。 
わずかに残ったアケビの種子に付属するエライオソームを目当てにアリが集まっていたのでしょう。 
フラッシュを焚いてアリの写真をマクロレンズでしっかり接写するべきでした。 
枝葉が鬱蒼と茂った林内は昼間でも非常に薄暗くて、肉眼ではアリの存在に全く気づかず、通りすがりにスナップ写真を撮っただけです。 

アケビは甘い液果を報酬にして野生動物に食べられ、糞と一緒に排泄された種子が遠くに撒かれる、という種子散布の戦略をとっています。(被食型の動物散布) 
糞に含まれるアケビの種子にはエライオソームが付属しているので、これを目当てにアリが1粒ずつ巣に運び、さらに種子の分布を広げます。(アリ散布) 
アリはエライオソームだけを取り外して食べ、種子はゴミ捨て場に捨てるのだそうです。


アケビの実が熟す前からトレイルカメラで監視して、野生動物が採食する決定的瞬間を証拠映像に撮れたら最高です。


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・牧野富太郎『アケビ』 

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