2024/03/26

久しぶりに旧営巣地に戻ってきて巣穴を調べるニホンアナグマの母子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子がどこか別の巣穴に転出した後も旧営巣地(セット)をトレイルカメラで監視し続けていると、遂にある日の未明にアナグマ家族が戻ってきました! 


シーン0:7/7・午後16:21(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
巣穴Rを見張っているカメラの映像です。 


シーン1:7/9・午前3:56(@0:03〜) 
うっすらと夜霧が立ち込めています。 
 巣口Rの周辺でアナグマの幼獣が遊んでいるようですが、画面がぼんやりしていて、はっきり見えません。 
そこへ右から続けざまに別の幼獣2頭がやって来て、懐かしの我が家に入巣Rしました。 


シーン2:7/9・午前3:59・気温21℃(@1:03〜) 
巣穴Lを見張っている別アングルの暗視映像に切り替えます。 
やはり、夜霧がうっすらと立ち込めています。 
母親♀と思われる成獣が営巣地をうろついていました。 


シーン3:7/9・午前4:00(@1:16〜) 
母親♀は左下にのそのそと立ち去り、巣口Rで遊んでいた幼獣もばらばらについて行きます。
アナグマの親子が夜の二次林で餌を探し歩く途中でたまたま旧営巣地に立ち寄っただけのようで、本気で戻ってくるつもりはないようです。 

小雨が降っているのかも知れません。 
右手前に生えている細い枯れ木が暗視カメラの赤外線を反射するせいで画面が白飛びしてしまい、目障りですね…。 


シーン4:7/9・午前4:13・気温22℃(@2:11〜)日の出時刻は午前4:21。 
夜が明ける直前からカナカナカナ…♪とヒグラシ♂(Tanna japonensis)が鳴き始めました。 

巣口Lでアナグマの母子が対面しています。 
母親♀が先導して獣道を辿って右奥に立ち去りました。 
…と思いきや、幼獣が独りで戻ってきました。 
名残惜しそうに旧営巣地の地面の匂いを嗅ぎ回りながら左へ向かいました。 
母親から離れて単独行動するのも怖くないようです。 


シーン5:7/9・午前6:20・気温22℃(@3:00〜) 
とっくに夜が明けた時刻なのになぜか暗くて、暗視映像のままトレイルカメラが起動しました。 
霧はだいぶ晴れたようです。 
アナグマ親子の群れが再び戻ってきていました。 

巣口Lに潜り込んでいたアナグマの幼獣が外に出てきました。 
左の広場で仲間(母親♀?)と合流し、体を掻いています。 


シーン6:7/9・午前6:21・気温21℃(@3:51〜) 
ようやく母親♀と4頭の幼獣が勢揃いした様子をしっかり見ることができました。 
ここで生まれた幼獣4頭が、1頭も欠けることなく無事に成長していて安心しました。
巣口R付近で遊んでいます。 

授乳を求めて♀の腹の下に潜り込もうとした幼獣が拒まれて、巣口Rの窪みに転がり落ちました。(@4:00〜) 
離乳の時期が近いのかも知れません。 

♀と幼獣1頭が続けざまに巣穴Rrの奥に入り、残る幼獣3頭は広場で勝手に遊んでいます。 
あちこちで地面を軽く掘り返して、餌となる虫を探しているようです。(探餌徘徊) 
しばらくすると、巣穴Rrから幼獣と母親♀が逆の順番で外に出て来ました。 

林縁で母子が相互毛繕いしています。 
この幼獣は甘えん坊なのか、頻りに♀へじゃれついています。 


シーン5:7/9・午前6:23・気温21℃(@5:51〜) 
ようやく奥の灌木林に朝日が射し込み始めました。 

そう言えば、母親♀が我が子にアロマーキングしなくなっていることに気づきました。 
幼獣自身の臭腺や肛門腺が発達してきたのでしょう。 

巣口Rで遊ぶ幼獣の1頭が立ち上がって細い枯木の幹に前足を掛けました。 
巣材集め行動の萌芽なのかもしれません。 
母親♀は二次林内をぶらついて餌を探しています。 
♀が巣材集めをしないということは、この巣穴に再び住み着くつもりはないようです。

ヘルパー♂は別行動らしく、姿が見えませんでした。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



タヌキの溜め糞場で狩ったキンバエを隠れ家に運んでから捕食するサビハネカクシ

 

2023年7月上旬・午後14:00頃・晴れ 

里山のスギ林道でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場sを定点観察しています。 
前年(2022年)にはトレイルカメラを設置して監視したのですが、今季はカメラの台数が足りず、他所に回しています。 

この日は比較的新鮮な糞が残されていました。 
未消化の種子が糞にたくさん含まれています。 
この時期のタヌキはヤマザクラやウワミズザクラの果実を食べたのではないかと予想しているのですけど、いつか真面目に糞分析をしないといけません。 

糞塊に多数群がっていたハエはキンバエの仲間(種名不詳)がメインで、他にはニクバエの仲間(種名不詳)およびキバネクロバエMesembrina resplendens)が来ていました。 
甲虫ではクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫、サビハネカクシOntholestes gracilis)および謎の糞虫(種名不詳)が集まっていました。 

複数いたサビハネカクシの中で一匹に注目してみましょう。
獣糞から吸汁しているキンバエ類を追い回すものの、ハエは素早く飛んで逃げてしまいます。 
サビハネカクシが狙うのはハエ類だけで、硬い鞘翅で身を守る甲虫のクロボシヒラタシデムシを襲うことはありません。 
失敗続きの狩りを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最初の例ではハエに襲いかかるのではなく、なぜか尻尾を振ってハエを追い払っていました。 
微小なアリ(種名不詳)にも襲いかかったものの、小さ過ぎて逃げられました。(邪魔なアリを狩場から追い払ったのかも知れません。) 
しばらくすると、サビハネカクシは狩りを諦めて糞塊の縁の下に潜り込みました。 

次は何を撮ろうかと私が目移りしている間に、別個体のサビハネカクシが溜め糞上で狩りに成功しました! 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、待ち伏せ猟ではなく、キンバエの斜め後ろから忍び寄り、襲いかかって仕留めていました。 
油断していたキンバエは激しく羽ばたいて逃げようとするものの、サビハネカクシは獲物の左翅の根元付近にしっかり噛み付いていました。 
溜め糞場で捕食者による殺戮が行われても、周囲の食糞性昆虫たちは全く無関心でした。 

胸部を噛み砕かれた獲物がおとなしくなると(絶命)、サビハネカクシは急に方向転換して、獲物を咥えたまま走り出しました。 
ライバル(捕食者)の多い溜め糞場では獲物を横取りされるリスクがありますから、急いで離脱したのでしょう。 
ときどき立ち止まると、少し上に曲げた尻尾を嬉しそうにグルグル回しています。 
スギ林床の落葉落枝をどんどん乗り越えて進んで行きます。 
ようやくスギ落ち葉の上で落ち着くと、落ち着いて捕食を開始。 
翅を広げたまま動かなくなったキンバエを仰向けにして胸部を食べています。 
肉食性のハネカクシは、獲物の体液を吸汁するのではなく、固形物として肉を噛み砕いて飲み込むのだと思うのですけど、じっくり観察できませんでした。 
タヌキの溜め糞に集まる他の虫に気を取られて私がちょっと目を離したら見失ってしまったたのです。 
スギ落ち葉の上で静止すると、サビハネカクシは保護色で全く目立ちません。 
完食するまで見届けるべきでしたね。 

サビハネカクシが狩りに成功して獲物を捕食したシーンは、これが初見です。 
念願だった狩りのシーンがようやく撮れて感無量。 
狩りの直後に離れたところまで獲物を持ち去るとは知りませんでした。 
貯食したり求愛給餌したら面白いのにな…と期待したのですけど、獲物を自分で食べました。 


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2024/03/25

アナグマが転出した後の巣穴に出入りする野ネズミ同士が縄張り争い【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬 

二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が子育てをしてから引っ越した空き巣に最近ではホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が住み着いています。 
アナグマもときどき戻ってきては巣穴のメンテナンスしているようです。
つまり、現時点では誰が所有する巣穴なのか流動的な状態です。
トレイルカメラに写る野ネズミ(ノネズミ)の探餌行動をまとめました。
巣穴の主であるアナグマが引っ越した後で野ネズミが堂々と巣穴に出入りする頻度が増えるかと予想したのですが、そんな単純な2種間の問題ではないので難しいです。 


シーン0:6/29・午後13:28・気温27℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
右奥の巣穴Rと左手前の巣穴Lの2つがあります。 


シーン1:7/2・午後20:06・気温23℃(@0:04〜) 
ある晩に2つの巣穴LRの中間地点を野ネズミがうろついてから、奥の巣穴Rに入りました。 

その間、ザトウムシの一種が監視カメラのレンズ上を這い回っています。 
夏の時期はザトウムシのせいで監視対象の野生動物がしっかり撮れないことが多いので、何か対策する必要がありそうです。 
忌避剤を使いたくなりますが、その異臭で嗅覚の鋭い哺乳類が警戒したり来なくなったら元も子もありません。
トレイルカメラに近づけないように何か物理的なバリアを設置するしかなさそうです。


シーン2:7/3・午前2:42・気温20℃(@0:50〜) 
日付が変わった深夜未明に野ネズミが再び現れました。 
画面の右下に姿を消したということは、手前の巣穴Lに入ったのかもしれません。 


シーン3:7/3・午後20:31・気温21℃(@1:09〜) 
野ネズミは夜行性なので、昼間は出没しません。 
次に登場したのは、すっかり暗くなった晩でした。 
今回は珍しく2匹が同時に写っていました。 

まず1匹目の個体aがアナグマの旧営巣地(セット)を徘徊してから、奥の林縁で灌木の根本に立ち止まって何かしています。 
採食なのか毛繕いなのか、やや遠くてよく見えません。 
その辺りには有毒植物のナニワズ(別名エゾナニワズ、エゾナツボウズ)という小低木の群落があり、この時期には赤い実がなっています。
まさか野ネズミはナニワズの熟果を食べに来たのかな?
殺鼠剤の原料として使われるクマリンと似た構造の有毒成分を含んでいるそうです。
監視カメラに写る野ネズミの数が一時期よりも減ったのは、テンやフクロウなど捕食者の活動が盛んになったからだと思っていたのですが、もしかしてナニワズの実を食べて死んでしまったからなのでしょうか?
普通に考えれば、野ネズミは有毒植物ナニワズを忌避するように進化するはずです。
ドブネズミやクマネズミでは殺鼠剤に対する薬剤抵抗性を獲得した個体(スーパーラット)の存在が報告されています。
当地の野ネズミもナニワズへの耐性をつけたとしたら面白い話です。

しばらくすると、右奥の巣穴Rから野ネズミの別個体bが外に出て来ました。(赤丸@1:52〜)
bが左へ行って灌木の背後に回り込む間、aは油断していてbの存在に全く気づいていないようです。 
縄張り争いの追いかけっこが始まった途端に、残念ながら1分間の録画時間が終了してしまいました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:13〜)、背後から奇襲されたaは驚いて大きく跳んで逃げ出していました。 



シーン4:7/4・午前0:29・気温19℃(@2:24〜) 
日付が変わった真夜中に現れた野ネズミは、餌を探し歩いて右から左へ横切りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




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