2019/01/11

トンネル内でぶら下がったまま死んだコウモリ【暗視映像】



2017年9月中旬

野生コウモリが昼塒として利用しているボックスカルバートを調査中に、コウモリの死骸を見つけました。
赤外線の暗視カメラで撮りながら真っ暗なトンネルを奥に進んでいると、コンクリートの壁面に不自然な体勢で下向きにへばり付いていた個体が気になりました。

前脚は左だけ広げ、後脚は左だけでぶら下がっています。
足掛かりは無さそうなのに、壁面の割れ目の少し下にしっかりしがみ付いたまま死んでいました。
本当に死んでいるのか半信半疑だったので、暗視動画を撮りながら指で翼の先をつついてみました。
後で冷静に考えると、感染症のリスクがあるコウモリに素手で触れたのは大きな間違いですね。

腐らずにミイラ状態になっているようです。
腐臭も無く、死肉食性の昆虫なども集まっていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』によると、

コウモリはどうして脚でぶら下がって生活をしているのだろう。これは空を飛ぶことと関係がある。
 空を飛ぶためには、体重をできるだけ軽くしたい。そのため、コウモリは骨を細く軽くした。ただ、脚の骨まで細いので、鳥のように枝の上側にとまって体を支えることは難しい。頭を下にしてぶら下がれば、体を支える脚の筋肉も少なくていい。足指の先にある鋭いかぎ爪で壁や枝などに引っ掛かっているだけだから、足の指に力をかけなくていい。寝ぼけて落っこちる心配はないのだそのかわり、死んでもぶら下がったままのことがある。(p28より引用)


コウモリの集団塒を見つけたのに、コウモリの種類が見分けられずに困っています。
昆虫が相手なら手っ取り早く採集して標本をじっくり精査すれば同定できるのですが、野生の生きたコウモリを素人が無許可で採集するのは法律で禁じられているのです。
という訳で、死骸も天の恵みとしてありがたく頂くことにしました。(ビニール袋に採集)

さて、せっかく貴重な死骸を持ち帰ったものの、未だ調べられていません。
同定のために体の各部位を細かく採寸しようと思って後日、容器の蓋を開けたらミイラ化した死骸に少しカビが生えていました。
カビの胞子が舞ったので吸い込まないように慌てて蓋を閉め、その後は「パンドラの箱」に厳重に密閉して某所に保管してあります。
日本産のコウモリではまず大丈夫だと思うのですが、ヒトにも感染する危険な病原体のちょっと怖い話を思い出したからです。
すぐにでもホルマリン漬けにした方が良いかもしれません。
いつか時間のあるときに、このコウモリを標本にしてみるつもりです。
全身骨格標本を作るのは大変そうですけど、透明樹脂にコウモリを丸ごと包埋した標本なら私にもできそうです。



コウモリsp_h死骸@トンネル内壁面

現場で死骸を撮った写真を見返すと、既に毛皮にうっすらとカビが生えていました。
ボックスカルバートの底は水が溜まっている(時季によっては流水)ので、一年中、気温はやや低く湿度は高く保たれていそうです。

私にはコウモリの死因も死亡時期も分かりません。
寿命による自然死なのか、病死(感染症?)または餓死の可能性も考えられます。


アメリカ合衆国では2006年に、ニューヨーク州で冬眠中のコウモリがカビに感染して大量に死んでいるのが見つかった。このカビに感染すると冬眠中に目が覚めて蓄えていた脂肪を使い尽くして死んでしまうのだ。このカビは今ではアメリカ北東部に広がり、これまで5000万頭以上のコウモリが犠牲になっている。 (子供の科学★サイエンスブックス『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 』p94より引用)

今回トンネル内で見つけた死骸は1頭だけで、多数の生きたコウモリが元気に飛び回っていますから、カビ感染による大量死は起きていないと思います。
ただし、トンネルの底は水が流れているので、死後に落ちてしまった個体は水に流されて残っていないだけかもしれません。

それから、このトンネルは冬眠用の塒としては使われていないことが分かっています。

オトコエシを訪花するスズキハラボソツリアブの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月下旬


山間部の峠道沿いの斜面に咲いたオトコエシの群落でスズキハラボソツリアブSystropus suzukii)が訪花していました。
ホバリング(停空飛翔)でゆっくり飛び回り、花に着陸すると羽ばたきを止めて吸蜜します。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:58〜)
飛行中も長い後脚をだらんと伸ばしたままなのは不思議です。

♂だけが長い後脚を持つのなら♀による性選択(性淘汰)が働いて進化したのだろうと推定されますが、♀も同様に後脚が長いのです。
いかにも空気抵抗が大きくて飛びにくそうです。

飛ぶのが遅いと鳥などの天敵に捕食されるリスクが高いと思うのですけど、毒針を持つアシナガバチにベーツ擬態して飛び方も真似しているのでしょうか?

同一個体を撮り続けていたら、訪花中に小型の別個体(♂?)が体当りしてきました。(@3:28)
求愛交尾には至らず、2匹は飛び去りました。

近縁種のニトベハラボソツリアブといつも迷うのですが、今回は自力でなんとか同定できました。
触角全体が黒く、後脚の第1跗節の全体が黄色である点がスズキハラボソツリアブの特徴です。
(跗節の脛節に繋がっている方から順に、第1跗節、第2跗節、…と呼びます。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


スズキハラボソツリアブ@オトコエシ訪花吸蜜
スズキハラボソツリアブ@オトコエシ訪花吸蜜
スズキハラボソツリアブ@オトコエシ訪花吸蜜
スズキハラボソツリアブ@オトコエシ訪花吸蜜
スズキハラボソツリアブ@オトコエシ訪花吸蜜

2019/01/10

夕方の空で喧嘩するカラスの群れ(野鳥)



2018年9月下旬・午後16:17

街中の上空を夕方に5羽のカラスが激しく飛び回っていました。
遊びのような追いかけっこなのか、縄張り争いの空中戦なのか、原因が分かりません。
(繁殖期が終わると縄張り意識は薄れると思うのですが…?)

少し遠くて外見からカラスの種類を見分けられないのですが、聞こえる鳴き声がカーカー♪と澄んでいるので、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)かな?

塒入りするにはまだ早いでしょう。
ちなみに、日の入り時刻は17:30。


カラスspp5(野鳥)群れ@空中戦

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