2018/08/27

日光浴中、互いに手足を振るミシシッピアカミミガメの謎(求愛行動?)



2018年6月中旬


蓮池の岩で3匹のミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegans)がいつものように甲羅干ししていました。
この日は日光浴しながら後脚をばたつかせる、という謎の行動を繰り返していて、興味深く思いました。
特に中央の個体がよくやっています。

日光浴で体温が上がり、運動したくなっただけなのかな?
それとも、日光浴する岩場で縄張り争いのように互いを牽制するための誇示行動なのでしょうか?
近くに居る相手を蹴飛ばすには届かない距離を互いに保っています。

私は亀について勉強不足なのですが、♂による求愛行動なのかもしれません。
しかし求愛ディスプレーなら、♀の目の前に回り込んでからやらないと意味がないような気がします。
後脚だけでなく前足も同様に動かしているかどうか興味があるのですけど、岸からでは見えません。

小学館・自然観察シリーズ『日本の両生類・爬虫類』でミシシッピーアカミミガメを参照すると、

♂は前肢の爪が長く、繁殖期には♀の前で、さかんに指をふるわせて、求愛のディスプレーを行う。(p70より引用)


侵入生物データベースサイトでミシシッピアカミミガメの繁殖生態について調べると、

交尾は春と秋にみられる.産卵は4月から7月にかけてなされる.
雄は伸長した爪を雌の前で震わせて求愛する.


途中で池を泳いでやって来た4匹目の大型個体が新たに岩場へ上陸し、割り込みました。

▼前回の記事
池から岩に上陸して日光浴するミシシッピアカミミガメ♂
このとき先客との間で陣取り合戦のような激しい争いにはなりませんでした。
しかし元気に手足を振っていた中央の個体(中型)が向きを変え、右の新顔に対しても左後脚をヒラヒラと左右に振って見せつけました。
それをじっと見ている新顔の亀(甲羅が未だ濡れている)は無反応です。
やはり求愛誇示なのかな?

その後も何度か定点観察に通ったのですが、甲羅干し中の謎の足振り行動を見たのはこの日限りでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

全個体の性別をしっかり判定したくても、岸から狙うだけでは撮影アングルが限られてしまいます。
取り敢えず真上から(背側から)甲羅の形状を確認し、岩場を回り込んで亀の正面から前脚の爪の長さを撮りたいのです。
池にドローンを飛ばして撮影するのは大袈裟なので、岸から伸ばした長い竿の先にGoProのようなアクションカメラを取り付けて撮るのが手軽そうです。



↑【おまけの動画】
Takeo Oshimaさんが撮影なさった「ミシシッピアカミミガメの求愛行動」を参考のために紹介します。
泳ぎながら水中で前脚を振っています。


2015年9月20日、東京都江東区清澄庭園にて撮影。小さい方が雄。雌の顔の前で両手を揃えて震わせ、顔に触れる。


【追記】

内田至『カメを飼ってみよう』という入門書(児童書)によれば、
アメリカから日本にやってきたアカミミガメのディスプレイは、たいそうはでです。(中略)小さな♂が、大きな♀の顔の前で、大きくのびた前肢のつめを、両方からおがむように合わせて、はげしくふります。ときには、♂が♀の背中にのって、♀の頭の上でこのはげしいディスプレイをすることもあります。 (p35〜36より引用)

この本でも求愛時の後肢の動きについて記述はありませんでした。
ということは、今回動画に撮れた後肢を振る動きは求愛ディスプレイではなさそうです。

ミシシッピアカミミガメ3@蓮池:岩+日光浴+足振り求愛?
ミシシッピアカミミガメa@蓮池:岩+日光浴+足振り求愛?
ミシシッピアカミミガメb@蓮池:岩+日光浴+足振り求愛?
ミシシッピアカミミガメb@蓮池:岩+日光浴+足振り求愛?
ミシシッピアカミミガメc@蓮池:岩+日光浴+足振り求愛?

2018/08/26

ゼフィルス♂の卍巴飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬・午後16:50〜16:57

用水路沿いの林縁で翅が青緑色の金属光沢(メタリック)に輝く2頭の小さな蝶が高速で互いに円を描くように激しく飛び回っていました。
林縁のやや高い位置から降りてきて用水路沿いの草むらのすぐ上で乱舞したり、再びもつれ合うように樹冠レベルまで高く舞い上がったりしています。
こんな平地でゼフィルスと出会い、卍巴飛翔が見れるとは全くの予想外で、嬉しい驚きでした。


▼関連記事(6年前の撮影)
ゼフィルスの卍巴飛行@渓流上

田中蕃『森の蝶・ゼフィルス』によれば、
高等なミドリシジミ類は、その活動中に、♂どうしが風車の回転をみるようなからみ合いを行なう。これを卍巴まんじともえ飛翔と呼んでいる。 (p28より引用)


薄暗い夕暮れ時だったと記憶しているのですが、実際の撮影時刻はそうでもありませんね。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後19:06。
空が厚い雲で覆われていたのかもしれません。

動きが速過ぎて肉眼では残像しか見えないので、ゼフィルス♂の猛烈な卍巴飛翔を、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜)
2頭ともに前翅表が鮮やかなコバルトグリーンなので、ミドリシジミ類の♂と思われます。
ミドリシジミ類の♀の翅色はもっと地味です。
やや引きの絵で撮った方が、ピントが甘くても見栄えが良いですね。
背後の林縁をトンボエダシャク?らしき蛾が飛び回っています。(@15:25)

栗田貞多男『ゼフィルスの森―日本の森とミドリシジミ族』によると、

 2頭の♂は互いに相手を追いながらループ状に飛翔し、高度を下げ枝先から離れていく。一方の♂は相手を押し下げ、少しでもテリトリー位置から引き離そうとしている。もう一方はそうはさせじと相手を押し上げ、時には8の字型の飛翔パターンを織り交ぜながら対抗する。
 卍どもえ飛翔はテリトリーをめぐる♂どうしの争いである。おもしろいのは種によって水平・垂直方向の重要性があるらしい(p54より引用)


ゼフィルスの専門家なら、この映像で動きを見るだけで、種類を絞りこめるのかもしれません。
かなり近くまで来てくれたのに、同定用のストロボ写真は全く上手く撮れませんでした。
私はいつも動画撮影を優先するので、練習量が足りないのでしょう。
しかし、これだけ動きが速いと、とてもピントを瞬時に合わせる余裕が無く、写真に撮れる気がしません…。

平地の広大な畑の周囲を雑木林が取り囲んでいる環境です。
特に多いハンノキをホストとするミドリシジミ♂(Neozephyrus japonicus japonicus)ではないか?となんとなく予想しているのですが、どうでしょう。
ミズナラやクヌギの木も少し生えているので、別種のゼフィルスである可能性もあります。



ケヤキ樹上の巣で雛に給餌するハシボソガラス(野鳥)



2018年5月下旬
▼前回の記事
ケヤキ樹上の巣で親鳥を待つハシボソガラスの雛(野鳥)

街中の公園にそびえ立つケヤキ高木に作られたハシボソガラスCorvus corone)の巣には少なくとも2羽の雛が育っていました。
巣の周囲の枝にはケヤキの葉が青々と茂っています。

やがて在巣の雛が羽ばたいて餌乞いを始めました。
鳴かずに黙って餌乞いしたのが珍しいと思いました。
雛の翼の下面が未だ羽根が生え揃っていなくて、白い羽軸が見えます。
そこへ1羽の親鳥が帰巣し、餌乞いしていた1羽の雛に口移しで給餌しました。

巣の真下から見上げている私の存在に親鳥が気づいたのでしょうか。
急にガー!と大声で鳴きました。
カラスの親鳥は食餌後の雛が巣内で排泄した糞を外へ捨てに行く習性(排糞行動)があるのですが、今回は雛の脱糞を待たずに巣を離れました。

巣がある公園の向かいには某大型店のビルが建っています。
外壁の鉄骨に親鳥が止まり、左右の翼を同時に持ち上げながら私を睨みつけ、ガーガー♪鳴いて威嚇してきます。
凄い剣幕で鳴き騒ぐ口の中が黒いのは成鳥(親鳥)の証です。(カラスの幼鳥だと赤い)

鉄骨から威嚇♪した親鳥は、給餌→出巣した個体とは限りません。
もう一羽の親鳥が近くで雛を見守っていたのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


シリーズ完。
この営巣地での定点観察記録はこれで終わります。
隣接するビルの上層階からハシボソガラスの巣を観察できる場所があれば良かったのですけど、残念ながら公園に面した壁に窓はありませんでした。

逆に言うと、ヒトに上から覗かれる心配が無いからこそ、親鳥はここに営巣したのでしょう。

ハシボソガラス(野鳥)雛@巣:ケヤキ樹上+餌乞い
ハシボソガラス(野鳥)@鉄骨+威嚇♪

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