2018/05/25

潜水漁で川虫を捕食するカワガラス(冬の野鳥)



2018年1月上旬
▼前回の記事
川岸で雪を食べるカワガラス(冬の野鳥)


街中を流れる川で雪の積もっていない護岸に居たカワガラスCinclus pallasii)が飛んで、川中の岩に移動しました。
岩の上に積もった雪を繰り返し食べていましたが(前回の記事)、遂に岩から川に飛び込んで潜水漁を開始。

飛んで川から同じ岩に戻って来たカワガラスは、嘴に黒っぽい獲物を咥えていました。
それを岩に叩きつけてから捕食しました。
食後は嘴を川の水ですすぐと、またすぐに入水し、潜水漁を再開。
しかし空荷ですぐに戻って来ました。

少し休むと、雪が積もった岩から川に飛び込みました。
泳いで(川底を歩いて?)岩に戻ったカワガラスは、嘴に何か黒っぽい小さな獲物を咥えていました。
岩に叩きつけて殺してから捕食します。
岩から上流へ向かって飛び込んだときは、獲物を捕らえると水面に顔を出し流れに乗って川面をスーッと泳いで帰ってきます。

良い漁場を見つけたようで、空荷で戻ることがなくなりました。
川に入る度に毎回獲物を捕らえて帰ってきます。
水中で捕らえた獲物をその場で飲み込まずに、陸上に持ち帰ってから食べるのはなぜでしょうか?
生きが良くて暴れる獲物は、岸で岩に叩きつけて殺す必要があるのでしょう。

川の堤防から撮っている私の背後を車が通りました。
そのタイミングで、カワガラスは上流へ飛んで行き、漁場を変えました。

今度は川の中洲を拠点にして潜水漁を繰り返すようになりました。
泳ぎながら何度も潜って獲物を探しています。
息継ぎで頭を上げるときは常に上流を向いていました。
流れから何度も頭を出し入れしていたカワガラスが、川の中で足が付く浅い場所を見つけて立ちました。
上流を向いて休憩すると、再び入水。

映像後半は、また漁場を変えてからの様子です。(実は編集で順番を入れ替えました)

カワガラスを見る角度によって、黒というよりも褐色に見えるときがあります。

望遠レンズを使っても遠いので獲物の正体はさっぱり分からないのですが、おそらく川虫(水生昆虫)なのでしょう。
丸くて黒っぽい小石のような獲物は貝の仲間ですかね?
岩に叩きつけて貝殻を割り、中身を食べているのではないかと想像しました。

この川は渓流どころか街中を流れているので、清流というイメージはありませんでした。
しかし、厳冬期でもかなり餌の豊穣な川だとカワガラスに教えてもらいました。



※ 望遠レンズを装着したカメラを手持ちで撮影した映像そのままです。
いつもなら動画編集時に必ず手ブレ補正処理をするのですが、今回は川の流れが絶えず写り込んでいるために、副作用で却っておかしな映像になってしまうのです。
せめて一脚を持参すれば良かったですね。


つづく→小魚を捕食するカワガラス




【追記】
後澤正知『渓流の忍者カワガラス』を読むと、潜水漁の秘密を知ることができました。
カワガラスは、水中の水生昆虫を餌にしているのです。(中略)カワガラスが水面に浮かずに川底を歩けるのは、流れの速いところに潜って羽を広げ、水流の圧力を利用して体を押さえているらしいのです。カワガラスの羽毛は密に生え、尾の近くにある羽脂腺は発達していて、体中にぬった脂が水をはじきます。また足の裏はゴツゴツしていてすべり止めに役立っています。(上越鳥の会『雪国上越の鳥を見つめて』p223-224より引用。)
わずか4ページの短い報文ですが、営巣地の写真や繁殖の観察記録もあってとても参考になりました。


2018/05/24

定位飛行と日光浴を繰り返すヒメスズメバチ♀の謎



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#2


前回の記事#1
2017年9月中旬

12日ぶりに現場を訪れると、柳の根際の巣口が崩壊して大きな穴がぽっかり開いていました。
前回は茂みに隠れて見えなかったのですが、柳の根際は路肩になっていて、穴の奥には暗渠の入り口(排水口)がありました。



てっきりヒメスズメバチVespa ducalis)の巣を誰かに駆除されたのかと思い、落胆しました。

しかし、必ずしもヒトの仕業とは限らないかも?と思い直しました。
営巣地周辺に生息するアナグマやハクビシンなど野生動物がヒメスズメバチの巣を掘って蜂の子を捕食したのかもしれません。

オオスズメバチに襲撃された可能性は?
あるいは秋の長雨で根際の土砂が自然に流出・崩落した可能性も考えられます。

ヒメスズメバチが自力で土木工事した可能性はどうでしょうか?
例えば、ヒメスズメバチと同じく地中に営巣するオオスズメバチは

巣穴を拡張するため、巣の入口付近に中から運び出した土の固まりが放射状に散乱していることがよくある。 (山内博美『都市のスズメバチ』p41より引用)
(ただし、ヒメスズメバチは地中以外でも営巣することがあります)
私も実際に一度だけオオスズメバチ♀がせっせと巣外に土を捨てる行動を観察したことがあります。

撮影中にヘマをしたせいでオオスズメバチに刺されてしまい、酷い目に遭ったのも今となっては良い思い出です。

▼関連記事
オオスズメバチの巣に御用心(刺傷例)

しかし今回のケースでは、巣の前庭は土で汚れておらず、きれいな状態でした。
私の被害妄想かもしれませんが、やはり駆除説を疑ってしまいます。(何者かが巣を駆除した後にきれいに掃除した?)

定点観察の間隔が開いてしまったことが悔やまれます。

てっきり空き巣だと思った私が未練がましく巣穴を覗き込んでいると、中からヒメスズメバチ♀が出て来て、辺りを飛び回り始めました。
採寸できなかったため、ワーカーなのか新女王なのか私には見分けられません。


飛び立っても巣の位置を記憶するための定位飛行を低空で繰り返していました。
巣穴の方に顔を向けてホバリングしながら扇の弧を描くように飛び、周囲の状況を覚えながら少しずつ弧の半径を大きくするという特徴的な飛び方です。
羽化したばかりのワーカーが初めて外役に出るところなのかな?
巣を守る防衛行動のつもりにしては、私に対する威嚇として大顎をカチカチ♪鳴らす音は聞こえませんでした。



しばらく飛び回ると、ようやく巣の前の地面(前庭と呼ぶことにします)に着陸しました。(@1:35)
日当たりの良い前庭で翅を休めている間も、触角だけは油断なく動かしています。
腹部を激しく伸縮させているのは、激しい飛翔運動の後で腹式呼吸をしているのでしょう。



再び飛び立ち、定位飛行を再開。
低空での羽ばたきに煽られて、地面の土や落ち葉が舞い上がります。
蜂が羽ばたく影の動きもフォトジェニックです。
定位飛行するということは、外出しても必ずまた戻ってくるはずです。
しかし私の予想は外れ、外役に出かけずまたもや前庭に降り立ってしまいました。

休憩の際は必ず巣口とは反対の外を向いています。
太陽に正対して日光浴をしているようです。
この♀個体の行動は、巣穴の手前で油断なく辺りを見張ってコロニーを守る門番(門衛)を務めているようにも見えます。
しかし、そんな行動は今までヒメスズメバチで見たことがありません。

そこへ別個体のワーカー♀が飛来(帰巣)しました。(@4:14)
それに反応した門衛?は定位飛行を再開したものの、すぐに着陸してしまい、迎撃行動は見られませんでした。
今度は太陽に対して横を向いて静止しました。

12日前の観察に比べてコロニーの個体数は激減したものの、全滅は免れたようで一安心。
♀の出巣および帰巣も動画で撮影することができました。
一度壊された巣を再建したのかもしれませんが、穴の奥にある巣の様子を直接見るまでは分かりません。

しばらくすると、別個体βが巣穴から歩いて前庭に出て来ました。(@5:37)
それと同時に、前庭で日光浴していた門衛αが定位飛行を再開。
βは定位飛行せずにそのまま外役へと飛び去りました。
先程からいつまでも定位飛行を繰り返す個体の特異性(異常性?)が際立ちます。

後半はカメラを三脚に固定して、巣穴へ出入りする蜂を狙うことにします。(@6:06〜)
相変わらず謎の定位飛行と帰巣を繰り返している個体がいます。
よほど箱入り娘だったのでしょうか。
こんなに長時間やらないと巣の位置を記憶できないということは、よほど物覚えの悪い(馬鹿な)異常個体個体なのでしょうか?


「外役に出て留守にしている間に巣が壊されたせいで営巣地周辺の景色が激変し、帰巣時に迷子になっている」というシナリオが一番しっくり来るのですが、私の想像でしかありません。

巣がいつ壊されたのか分からないからです。
他の個体が正常に帰巣できているのに、一匹だけいつまでも迷子になっている理由も分かりません。

スズメバチ成虫の栄養源は巣内で幼虫から口移しでもらう栄養交換液と野外で摂取する花蜜や樹液などです。
巣が壊されているとしたら幼虫と栄養交換できなくなり、羽化してもひどく飢えてしまうでしょう。
飛んで外役に出かける元気すらないのかもしれません。

4年前に山中でヒメスズメバチの巣を観察した時の記録を振り返ってみると、定位飛行はあっさりした(簡略化した)ものでした。

▼関連記事(4年前の撮影)
ヒメスズメバチ♀の定位飛行【ハイスピード動画】


カメラを上にパンして柳の灌木を映します。(@7:45)
秋晴れの青空がきれいです。


つづく→#3:出巣をためらうヒメスズメバチ♀の謎


2018/05/23

川岸で雪を食べ続けるカワガラス(冬の野鳥)



2018年1月上旬

街中を流れる川でカラスのように真っ黒なのに、カラスよりも小さな野鳥を見つけました。
カワガラスCinclus pallasii)です!
雪の積もった川岸で休んでいます。
小さくても真っ黒な鳥は純白の雪面を背景にするとかなり目立ちます。

カワガラスは川の流れを見つめながら、ときどき尾羽を上下に動かしていました。
辺りをキョロキョロ見回しているのは、岸から撮影している私を警戒しているのかな?
しばらくすると、周囲の雪を何度も食べ始めました。
喉が渇いているのなら、すぐ目の前を流れている川の水を飲めば良いのに、わざわざ体温が下がる雪を食べる行為は理解に苦しみます。
ヒトの場合、雪山登山で雪を食べるのは基本的にご法度です。
夏でもシャーベットを食べ続けると頭が痛くなるでしょう。(アイスクリーム頭痛


やがてカワガラスは意を決したように、川に飛び込みました!(@0:49)
水温は雪解け水で身を切るように冷たいはずなのに、カワガラスはへっちゃらです。

少し上流にある川中の岩に移動しました。
岩が露出した部分に止まると、先程の雪上よりも保護色になっていて目立ちません。
ときどき目を白黒させているのは、瞬きしたときのまぶた(瞬膜?)が白く見えているのでしょう。
ここでも岩に積もった雪を繰り返し食べました。

なぜ川の流水を飲まずに雪を食べるのでしょう?
かなり大量に雪を食べ続けているので、体温が下がったりお腹を下したりしないのか、心配になります。
カワガラスは繁殖期以外は常に単独行動するらしいです。
水面まで頭を下げると天敵への警戒が疎かになり、雪を食べる方が目線を高く保てるのかな?
(それなら陸上では喉の乾きを我慢して、水中に潜って獲物を探しているついでに水を飲めば良い気がします。)
露出した岩の上から枯草を摘み上げたので巣材集めかと思いきや、すぐに捨てました。
素人なりに勝手な想像を逞しくすると、このカワガラスは早く川に入って採食活動したいのに私が見ている前ではやりたくないのかもしれません。
「邪魔なニンゲンは早くあっち行けよ!」というフラストレーションを紛らわそうとする転移行動や真空行動が「雪食べ行動」になったりして…?

§§ 後日、川の水を飲むカワガラスを観察しました。

※ 望遠レンズを装着したカメラを手持ちで撮影した映像そのままです。
いつもなら動画編集時に必ず手ブレ補正処理をするのですが、今回は絶えず川の流れが写り込んでいるために、副作用で却っておかしな映像になってしまうのです。

せめて一脚を持参すれば良かったですね。


カワガラスと言えば昔、山地の渓流で夏季に一瞬見かけただけで、私にとってはずっと幻の水鳥でした。
こんな街中の中流域で観察できるとは、とても意外でした。
この冬で一番の収穫です♪

餌不足になる厳冬期は中流域まで下って来るのか?と思いながら観察していました。
帰ってからwikipediaでカワガラスの情報を参照すると、確かに

冬期(積雪期)には下流側に生息場所を移動することもある。
とのことで、納得しました。


つづく→潜水漁で川虫を捕食するカワガラス(冬の野鳥)


カワガラス(冬の野鳥)@川岸:雪
カワガラス(冬の野鳥)@川岸:雪
カワガラス(冬の野鳥)@川中岩:雪

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