2015/01/24

ヒマワリの花から種子を啄むカワラヒワ(野鳥)



2014年10月上旬

民家の庭でカワラヒワCarduelis sinica minor)の群れが枯れたヒマワリの花に乗り、中にぎっしり詰まった種子を採食していました。
花が重みで下を向いているので、花の縁に止まったカワラヒワは逆さまにぶら下がって種子を抜き取らないといけません。
したがって、ヒマワリの種子は外側から順に食べられ中央部が残っています。
聞こえている鳴き声は食事中の個体のものではなさそうです。
女竹の生け垣の隙間から隠し撮りしました。
後半はカメラに気づいてしまい警戒しているようです。

▼つづく
ヒマワリの種子を給餌♪するカワラヒワ(野鳥)の親子?




【追記】
佐藤信治『庭にきた鳥:いのちのドラマを家族でみる』によると、
 ヒマワリのタネが大好物で、くわえたまま殻を回しながら割って中身だけを器用に食うのがカワラヒワ。 (p58より引用)


引用文は冬期にヒマワリの種子を餌台に置いて給餌したときのカワラヒワの採食行動を記したもののようです。
今回私が撮った動画でも、ヒマワリの花から種子を直接引き抜くと、確かに殻を割って中身を食べていました。




カブトムシ♂を仰向けにすると…



2014年10月上旬

仰向け状態になった昆虫が起き上がる方法は種類によって異なり面白いので、これまで様々な昆虫で試してきました。
カブトムシ♂(Trypoxylus dichotomus)ではどうでしょう?

子供向けの絵本『キンダーブックしぜん8:カブトムシ』(1991)p7には次のように書かれていました。

カブトムシをころんとひっくり返してみたら、さぁ、どうやって起き上がるのでしょう。背中の翅を少し開いて体を傾け、脚を上手に使って起き上がります。

ところが実際に試してみると、本に書いてある通りにはなりませんでした。
木の板の上に仰向けにすると自力では起き上がれないようです。
鞘翅を広げた勢いで起き上がろうとしても体重が重過ぎる気がします。
丸い体型のテントウムシはその方法でコロンと後転しながら起き上がれますが、カブトムシ♂は角が邪魔で後転できません。
今回は空腹で体力が無かったりカブトムシにとって気温が低かったりしたせいで起き上がれないのでしょうか?
爪先を何かに引っかけないと起き上がれないのかな?
何度も実験を繰り返した訳ではありませんが、起き上がれないままで放置されると体力が消耗して死んでしまいます。
いずれにせよ、飼育容器はプラスチックが剥き出しのままだと滑り易いので、転倒した時に備えて底に木の枝や枯れ葉などを敷き詰めておくことにします。


【追記】
最近何かのテレビ番組でカブトムシを使った同じ実験映像を見たのですけど、認知心理学や生態心理学のアフォーダンスとやらが関連するそうです。
仰向けでがむしゃらに暴れながら爪先で探って何か物体の縁を見つけると、それを支点にして起き上がれるのだそうです。
今回うまく起き上がれなかったのは、何も足掛かりのない平面の板の上でやったからでしょう。
という訳で、次回はアフォーダンス実験を再現してみるつもりです。

その番組ではヒトの赤ちゃんの起き上がり行動(寝返りの発達)と比較してました。




2015/01/23

破壊された巣とチャイロスズメバチ♀残党



2014年9月下旬
▼前回の記事
チャイロスズメバチの巣を安全に撮影するには?

斜面に営巣したチャイロスズメバチの定点観察#4

一脚ビデオカメラを用いた偵察を繰り返しても撮影アングルの調節が難しく、もどかしいばかりです。
意を決して斜面を回り込んでチャイロスズメバチVespa dybowskii)の巣に下から近づいてみることにしました。
一週間前は藪に阻まれている間にすぐ気づかれてしまい、何匹もの蜂が私の体にまとわりつくように飛び回り、撮影どころではなく撤退しました。
ところが今回はなぜか蜂の警戒レベルが低く、黒いカメラを持参しても攻撃されずストロボを焚いても大丈夫でした。

残念ながら巣の外被は大きく壊されており、原形を留めていません。
そもそも地中に営巣するはずですが、外被や巣盤が露出しているのは不思議です。
崖を登って近づく途中で巣盤の破片が3つ転がっていました。
拾い集めてまずこれを写真で記録しました。
育房は全て空でした。
卵や蜂の子(幼虫、蛹)は入っておらず、成虫が羽化した後のようです。

拾い集めた巣盤の欠片と15cm定規
巣盤の裏面(天井)には白かび

落胆をぐっとこらえて、巣を壊した容疑者を推理してみます。

  1. 台風や大雨の増水で崖崩れが起きた?
  2. 蜂の子が目当てのツキノワグマに壊された?
  3. オオスズメバチに襲撃された?
  4. ハチクマに捕食された?
  5. 林業従事者や登山客に見つかり駆除された?(スズメバチにとって最大の天敵はヒトです。)
先ずは天災である可能性(1)を考えてみます。
巣の真上を通る林道の路肩が崩れていないのは不自然な気がします。

(4)幻の猛禽類ハチクマはスズメバチの巣を襲って壊し、蜂の子が詰まった巣盤を自分の巣に持ち帰って雛鳥に給餌します。
巣盤に蜂の子が入っていなかったので、外被を壊しただけで帰ったのでしょうか?
しかし山形県でハチクマは絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に登録されており、県内の棲息分布は「少ない、または局地的」とされています。
当然私もフィールドで見たことはありません。

(2)ツキノワグマ以外にも外来種アライグマがスズメバチの巣を掘り返して捕食することを教えてもらいました。(参考
果たして多雪地帯にもアライグマが進出しているのか、少なくとも私は未だ一度も見たことがありません。

巣が壊された時期もよく分かりません。

社会寄生性であるチャイロスズメバチの巣を山で見つけるチャンスは滅多に無いのに、定点観察の間隔が1週間も開いてしまったことが悔やまれます。
しかし7日前に撮った映像を見直すと、既に巣の外被が斜面に散乱しているようにも見えます。(茂みのせいで巣にピントが合っていない)

タイムマシンで過去に戻れたらなー。

本種は巣を守る際の攻撃性が強いことで知られているのに、斜面の下から巣に近づいても残党の♀はあまり攻撃してこないのが不思議でなりませんでした。

緊張していたのに拍子抜けしました。
前回のように私の服にまとわりつくように飛び回ることはありませんでした。
巣が健在ならもっと激しく防衛するはずです。
もはや無気力というか諦め気味なのでしょうか?
クマなど大型獣に巣を壊された記憶が残っているのであれば、私を激しく襲ってきそうな気がします。
残党♀はワーカーではなく、実は穏健な新女王なのだろうか?(私には見分けが付きません)

壊された巣に居残っている健気なチャイロスズメバチは5〜6匹ですが、壊滅状態の巣を修復する個体は1匹も見られませんでした。
巣材を搬入するワーカーも見かけません。
世話をする幼虫も居ないので、巣に残っても呆然とウロウロしたり身繕いしたりするばかりです。
在巣の2匹が出会い頭に口付けして栄養交換のような挨拶をすることがありました。
新女王であれば働かないのも納得です。

これから巣が修復される望みは薄い気がしますが、念のため更に経過観察してみます。
もしかすると、壊滅状態の巣を修復するのは無理と諦め、コロニーの主力部隊はどこか安全な場所に引っ越して新たに巣を再建している可能性もありますね。

つづく→シリーズ#5:チャイロスズメバチ@杉


営巣地の全景(崖を見上げる)
営巣地の全景(崖を見上げる)

ランダムに記事を読む