2011/08/21

ニンジンを食べるヒダリマキマイマイ(微速度撮影)



2011年8月中旬・室温26℃


ヒダリマキマイマイEuhadra quaesitaの飼育容器に新しい餌としてニンジンの輪切りとキャベツの切れ端を入れてみました。
キャベツよりも断然ニンジンが好きなようです。
しかも、周縁部の特定の組織の層(←用語をご存知の方は教えてください)だけを好んで食べるようです。
中央部は栄養価が乏しいのか不味いのか、決して口を付けようとしませんでした。
この日に限らず、ニンジンを輪切りで与えると必ず周縁部だけをぐるりと齧り取ります。


5秒間隔でインターバル撮影した大量の静止画を素材に微速度撮影の動画を作ってみました。
51分間の行動記録を1分に短縮してあります。
私の古いカメラ(Canon PowerShot S5IS)はそのままではインターバル撮影機能は搭載されていません。
しかしカメラにACケーブルでつないでコンセントから給電しPCにUSB接続した状態ならば付属の専用ソフトウェアの制御下で(リモート撮影)インターバル撮影が可能になるのを思い出しまして、この日初めて試してみました。
飼育個体など室内の被写体に限られるものの、HD以上の高画質動画が得られるので、使えるかなという印象です。
これまでは普通に長回しで撮った動画を編集時にフレームレートを上げる(コマ落とし)ことで微速度撮影風の早回し動画を作っていました。
その方法だと何倍速の映像にするか自由に調節できるものの、当然ながらカメラのバッテリーやメモリーカードの消費が激しいのという欠点に苦労してきました。




2011/08/15

ハヤシノウマオイ♂の鳴き声♪(HD動画)



2011年8月上旬・深夜・室温26〜27℃
ハヤシノウマオイ♂(Hexacentrus japonicus)の飼育記録


夜に鳴いている様子を撮り貯めたHD動画をまとめてみました。


基本的にこの虫は暗くないと鳴いてくれないようです。
暗闇で鳴く様子を暗視カメラで撮影できれば理想的ですが、残念ながら私のカメラにはナイトビジョンが搭載されていません。
飼育下で蛍光灯の明かりに数日間慣らすことでようやく撮影に成功しました。
「鳴かぬなら鳴くまで待とうハヤシノウマオイ♪」
暗闇で鳴き始めるのを待って主題部(スーイッチョン♪)になれば点灯しても鳴き止まないことが分かりました。




『なく虫ずかん』という本では、「ツィーンワツィーンワ♪(鼻をつまんで)」という斬新かつ絶妙な聞きなしが書いてありました。
スイッチョが、口でチョッチョッと言いながら馬を追うときの音に似ているので、ウマオイという名前になったそうです。

【追記】
こちらの記事では同一個体で鳴き声のスペクトログラムを解析しています。








2011/08/14

身繕いしながら鳴くハヤシノウマオイ♂(動画と声紋解析)





2011年8月上旬・深夜・室温27℃
ハヤシノウマオイ♂の飼育記録

ハヤシノウマオイ♂(Hexacentrus hareyamai)の鳴き声と言えば皆様お馴染みの特徴的なスーイッチョン♪の繰り返しですが、鳴き始め(イントロ)を聞いたことがありますか?
今回飼育下でようやく前奏部から主題部および終結部までを通して記録することができて大満足。
触角や前足の先を口で舐めて身繕いしながら美しい鳴き声を聞かせてくれました。


楽器となる前翅の動きに注目してみましょう。
キリギリス類の鳴く仕組みは左右の前翅が重なる部分(左翅が上で右翅が下)にある摩擦片とヤスリ状の翅脈にあるそうです。
下になる右前翅の中央にある透明な丸い区画は「発音鏡」と呼ばれる薄膜で、振動音を共鳴・増幅させる働きがあるのだとか
参考】『科学のアルバム:鳴く虫の世界』p16より



立ち止まって前翅を広げ鳴く準備が整っても、すぐにスーイッチョン♪と鳴き始めるわけではありません。
必ず長い前奏部があるようです。
前翅を細かく擦り合わせジジジ♪と単調に鳴き続ける音が次第に大きくなります(クレッシェンド)。
弦楽器のチューニング(調律)に手間取っているのかもしれません。
ミンミンゼミの鳴き始めに少し似ているような気がしました。
盛り上がってくるとようやく主題部(スーイッチョン♪のサビ)に移ります。
半開きの前翅を更に広げる際にチョン♪と弾く音が響きます。
鳴き終わりに楽器をしまう(前翅を閉じて重ねる)際にも同じく舌打ちのような音がします。




一頻り鳴いて満足すると♂は毎回必ず辺りを忙しなく歩き回るようです。
求愛歌を奏でても♀がやって来ないので場所を変えるつもりなのか、あるいは同じ場所で鳴き続けると天敵に狙われる危険性があったりするのかもしれません。
野外でも同じ行動(鳴き終わりの徘徊)を示すのかな?


蓋に止まっている際に腹面で採寸すると体長は24mm(長い後翅や触角は含まない)。



前翅を広げて鳴く準備をしている状態。
右前翅の中央にある透明な丸い区画は、振動音を共鳴・増幅させる
「発音鏡」と呼ばれる薄膜だと思います。


少しでも鮮明に撮影できるよう飼育容器の蓋を外し、替わりにサランラップを張っています。
このままでは中が蒸れるので昼間はラップを外しています。

【追記】
同じ動画から音声部をwavファイルに抽出して鳴き声を解析してみました。
このカメラは録画の際に音声は無圧縮(PCM)で記録する仕様ですので、MP3とは異なり高周波領域もカットされていません。



ちなみに、イントロを省いた主題部(スーイッチョン♪)だけの鳴き声を解析した結果はこちらになります。(前の晩に暗闇で録音






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