2023年10月下旬・午後14:30頃・晴れ
紅葉や黄葉が進む里山で、砂利が敷かれた林道を私が静かに下山していると、カーブを曲がった地点でニホンカモシカ(Capricornis crispus)と鉢合わせしました。
振り返ってこちらをじっと見ています。
手前に自生するタニウツギ灌木の葉でカモシカの顔が隠れていたのですが、私がゆっくり少しだけ動いて、顔を拝めるようになりました。
角や耳介を注意深く見ても、個体識別できそうな特徴はありませんでした。
首を振って身震いしたり、耳や尻尾をピクピク動かしたりして、吸血性の昆虫を追い払っています。
やがてカモシカは警戒を解くと、向きを変えて、林道を右に渡ってから振り返ってこちらを見ました。
このとき後ろ姿の股間を見ても、カモシカの外性器は見えませんでした。
全身像が顕になったのですが、顔馴染みの個体ではない気がします。
耳をピクピク動かし、ペロペロと舌舐めずりしています。
頭を低く下げて身震いしました。
私が動画を撮りながらその場にゆっくりしゃがみ、砂利道に座り込みました。
これでカモシカよりも姿勢が低くなりました。
カモシカは不思議そうに私を見ています。
濡れた鼻孔をヒクヒクと大きく広げて、私の体臭を嗅いでいます。
再び方向転換して左を向くと、カモシカの顔が手前のタニウツギの葉でまた隠れてしまいました。
私と視線を合わせるのが怖いのでしょう。
動画撮影中の私はカメラのバックモニターを見つめていて、カモシカを直視しないようにしています。
やがてニホンカモシカは、フシュ!と鋭い鼻息を発して威嚇を始めました。(@2:46〜)
計5.5回も断続的に鼻息威嚇を繰り返したのですけど、カメラの電池が途中で切れてしまいました。
私が慌てて電池を交換するまで、カモシカはその場で逃げずに留まってくれました。
頻りに耳を動かして、顔に集る虫を払っています。
カモシカの顔が見えるように、カメラを持った腕をゆっくり上に挙げました。
こういうときは、バリアングル液晶のバックモニターが欲しくなります。
カモシカが頭を下げたので、私もカメラを持つ腕をゆっくり下げたら、カモシカは手前のタニウツギ群落の葉の隙間からこちらを覗き見していました。
私とのにらめっこに飽きたのか、カモシカは頭を低く下げて地面の匂いを嗅ぎ、左へ歩き始めました。 (下山)
林道を曲がると、死角に消えました。
私がそっと追いかけると、カモシカは曲がり角の先の林道の右端でこちらを振り返って見ていました。
私は立っていた撮影姿勢から再びその場にゆっくり座り込んで姿勢を低くします。
今度は手前に生えたススキの群落が邪魔になりました。
山中で野生カモシカと出会った際に観察時間を長くするためには、警戒心をなるべく解いてやる必要があります。
今のところ低姿勢で臨む作戦が良さそうだと思って試行錯誤しています。
「またお前か(何か用なの?)」という表情でカモシカは再び左へ歩き始め、次の曲がり角の死角に消えました。
もはや私に対して鼻息威嚇をしなくなりました。
私を受け入れてくれたようです。
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