2022年9月中旬・午後13:15頃・くもり
里山の尾根道でクロオオアリ(Camponotus japonicus)の行列を見つけました。
クロオオアリは地中営巣性で、この尾根道にも巣穴があるのを昔観察しています。
関連記事(9年前の撮影)▶
行列の中に巨大な女王アリが1匹混じっていたので、コロニーごと新しい巣へ引っ越し中なのだと気づきました。
周りの働きアリ(ワーカー♀)は女王の護衛と思われますが、特に大型の兵アリ(ソルジャー♀)ではなさそうです。
女王アリも自分の足で歩いていますが、護衛から離れて行列の端を歩きたがるので、見ていてハラハラします。
クロオオアリの引っ越しは初見です。
秋に引っ越しする(ことがある)とは知りませんでした。
クロオオアリの生活史でコロニーがミツバチのように分蜂(巣別れ)するという話は聞いたことがないので、何か不慮の災害で引っ越しを余儀なくされたのではないかと思います。
前日の雨で巣内に浸水したのか?と疑ったものの、尾根道の地面は乾いていました。
観察時は曇り空で、蒸し暑い午後でした。
クマなどアリを食べる捕食者に巣を壊されたのかな?
引っ越しにしては、白い卵や幼虫、繭などを大顎で咥えて運ぶワーカー♀個体が見当たりません。
若い成虫を口に咥えて運ぶ様子(adult transport)が冒頭でちらっと写ったのに(@0:00〜0:05)、撮影中は気が急いて(後述)見落としていました。
好蟻性昆虫(アリの巣の居候)も一緒に引っ越しするはずですが、短い観察では見つけられませんでした。
千載一遇の機会なのに、女王アリが新しい巣に辿り着くまでじっくり見届けることができませんでした。
私の背後から遠足に来た小学生の集団が賑やかに近づいてくる声がしました。
細い尾根道に私が居座っていると通行の妨げになりますし、観察を諦めて泣く泣く現場を離れました。
女王アリごと一網打尽に採集すれば、コロニー全体を飼育できたかもしれません。
クロオオアリの生活史をまとめた集英社カラーサイエンス (4)『クロオオアリ』という本を見返しても、引っ越しについては書いてませんでした。
「クロオオアリの引っ越し」でネット検索してみると、千葉県立中央博物館サイト内の記事がヒットしました。
「2009/05/08(金)」と記してある日付が記事の公開日なのか観察日なのか、重要なので明記して欲しいです。
校庭を歩いていたら、クロオオアリが巣を引っ越ししていた。巣と巣の間は約8m。(中略)アリ達をよくみたら、写真のようにアリをくわえて運んでいるものが結構いることに気がついた。これがアダルトトランスポートだ。くわえられたアリはおとなしく体を曲げて、巣口近くか巣へ入るまで、運んでくれているアリに身を任せていた。
アリ屋のトップランナー、大御所である「ありんこ日記 AntRoom」ブログの記事もヒットしました。
これは飼育下での観察記録です。
女王アリは大きくて持ち上げることはできないので、このようにアゴを咥えて引っ張ります。しばらく引っ張られると、引っ越しが始まったことを知り、女王アリは自ら歩いて新居へ向かうのです。
左端に見切れているのは私の長靴の爪先 |
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