2022年7月上旬・午後14:35頃・晴れ
川裏の土手に生えたヨシの葉が四面体の形(三角)に巻かれていました。
この特徴的な葉巻を少しほどいてみたら、中にはカバキコマチグモ(Cheiracanthium japonicum)の♀♂ペアが潜んでいました。
(カバキコマチグモは)イネ科の植物を折り曲げて住居を作る。ふだんの住居は植物を三角形に折りたたんだ形であるが、♀が産卵用につくる住居はちまき状である。(馬場友希、谷川明男『クモハンドブック』p84より引用)開封前の葉巻住居の状態も写真か動画で記録しておくべきでしたね。
開封動画を撮ろうとしたのですが、カメラを構えると両手が使えなくなるので諦めました。
強力な毒と大きな大顎を持つカバキコマチグモの住居を不器用な片手で開封するのは危険です。
カバキコマチグモ♂が「何事か」と暴かれた三角葉巻の外に出て来て、周囲の偵察を始めました。
触肢の先が膨らんでいることから、♂成体です。
今回の♂個体は黄色いので、同属近縁種のヤマトコマチグモは除外できます。
住居内には♀が潜んでいました。
クモに手を噛まれないように注意しながら、ヨシの葉巻を更に開いてみました。
異変を感じた♂は葉巻の上を走り回り、隣のヨシの葉へ避難してしまいました。
その一方で♀は葉巻住居に隠れたままです。
しばらくすると、♂も葉巻住居に戻りました。
おそらく♂成体は亜成体の♀が脱皮するのを待っているのでしょう。
その間、ライバルの♂に♀を奪われないように交接前ガードしているのです。 (配偶者ガード)
※ 近くを通りかかった選挙カーの騒音がやかましいので、動画の音声を消しました。
カバキコマチグモは身近な蜘蛛で、面白い習性が色々とあります。
飼育下で撮影してみたいテーマがいくつも残っているのですが、今季も忙しくて余力がありません。
葉巻住居を採集せずにその場に残して帰りました。
このぐらいの隙間ならカバキコマチグモはじきに糸で綴って葉巻住居を修繕し、再び籠城するはずです。
後日現場を再訪したら、土手一帯が草刈りされていて、葉巻住居のついたヨシも無くなっていました。
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