2018/06/06

アカオニグモ♀の卵嚢作り:その4:卵嚢ガード【60倍速映像】(蜘蛛)



2017年11月上旬・午前10:42〜午後14:12
▼前回の記事
アカオニグモ♀の卵嚢作り:その3(蜘蛛)【10倍速映像】

一晩かけて卵嚢を作り上げたアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の様子を60倍速の早回し映像でご覧下さい。
たまに身動きしたり向きを変えたりするだけで、卵嚢にしがみついた姿勢のまま静止しています。

こうした休息状態は「卵嚢ガード」と呼ばれるのですが、もし卵の天敵が現れたら本当に母クモは撃退するのでしょうか?
実験してみたいのですけど、この時期になると野外で活動する虫の数が激減していて、適当な相手を見つけてこれませんでした。
例えばアリとかカメムシでも良いから卵嚢の上に乗せて歩かせてみて、母クモの反応を見たいものです。


つづく→卵嚢作りを別アングル(俯瞰)でインターバル撮影


アカオニグモ♀(蜘蛛)俯角@卵嚢ガード+scale
アカオニグモ♀(蜘蛛)俯角@卵嚢ガード+scale
アカオニグモ♀(蜘蛛)俯角@卵嚢ガード+scale


アカオニグモ卵嚢@方眼紙(ススキの種子が付着)
卵粒をコーティングしていた粘液が白く固まった?


【後日談】
この♀はもう新しい円網を張って餌を捕る元気は無く、5日後に死亡しました。
4日目までは生きていて、卵嚢ガードを続けました。
寿命を迎えたアカオニグモ♀の外雌器を接写すると、垂体が残っていました。
これは未交接の処女♀という意味なのですかね?

だとすれば、せっかく苦労して作った卵嚢も無精卵ということになります。
(クモの種類によっては、♂が交接の際に♀の垂体を破壊して他の♂と交接させなくするらしいのですが、アカオニグモもそうなのか私は知りません。)


以下の写真は死後3日後に接写したもので、少し干からびた状態です。

アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:背面@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:腹背@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:頭胸部@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:顔@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:腹面@方眼紙
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:外雌器+垂体
アカオニグモ♀(蜘蛛)標本:外雌器+垂体


得られた卵嚢を大事に保管して越冬させたのに、記事を書いている6月上旬になっても未だに幼体が孵化(出嚢)しません。
冬季は冷暗所(室温の低い地下室)に保管していたのですが、暖冬だったために冷気に充分晒されず、休眠越冬に失敗したのでしょうか?
それとも無精卵だったのかもしれません。
もう少し待って駄目なら、卵嚢を割って中を調べてみます。



【追記】
7月上旬、遂に痺れを切らして卵嚢をハサミで切り開いてみました。
すると中から乾燥した卵の粒が零れ落ちました。
幼体が孵化した形跡は無く、やはり無精卵だったことが分かりました。

アカオニグモ(蜘蛛)未受精卵@卵嚢切開@方眼紙
アカオニグモ(蜘蛛)未受精卵@卵嚢切開@方眼紙
アカオニグモ(蜘蛛)未受精卵@卵嚢切開@方眼紙



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