2016年6月上旬
山間部の道端でヒトの背丈よりも高く伸びた(>2m)イタドリの群落でドロハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) puberulus)が揺籃を作っていました。
仕上げの段階なのか、♀はひたすら揺籃上をぐるぐると巡回、点検していました。
とても小さいながらも、緑色の金属光沢に輝く非常に美しい甲虫です。
同じイタドリの株の下の方に似たような揺籃が作りかけも含めて幾つもぶら下がっていました。
おそらく同一個体の♀が次々に作製したのでしょう。
途中からは三脚を立てて微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい(@2:44〜4:39)。
交尾したり♀をガードしたりする♂の姿は見当たりません。
ときどき休息したり身繕いしたりするものの、基本的にひたすらパトロールしているだけであまり面白くありません。
ぐるぐる歩き回ることが葉をきつく巻きつける行為になっているのでしょうか?
遂に完成した揺籃から離れて茎を下り、隣の葉の葉柄にて静止しました。
一仕事終えた♀が葉を食べているのか、それとも次の揺籃作りのために噛み傷をつけているのか、あまりにも高所のため様子が全く分かりません。
何枚も葉を寄せ集めて細長くて大きな葉巻型のゆりかご(揺籃)を作るのが本種の特徴です。
したがって、新しい葉を萎れさせて揺籃に更に追加して巻きつけるのかもしれません。
移動してきた葉は虫喰い穴だらけなので、普通に考えれば揺籃作りの材料に選ばれないと思うのですが、ドロハマキチョッキリは無頓着なのかな?
やがて日も暮れかけてきました。
気温の下がる夜はここで寝るのか、それともドロハマキチョッキリ♀は徹夜で作業を続けるのですかね?
観察を続けたいのはやまやまですけど、ビバークする用意をしていなかったので泣く泣く観察を打ち切って下山しました。
イタドリの背丈が非常に高いため、採集は断念。
本種の揺籃作りの一部始終を観察しようとすると、他のオトシブミ類よりもおそろしく長い時間がかかりそうです。
海野和男『ポケット図鑑:昆虫』p161によると、ドロハマキチョッキリは
夏は前蛹で過ごし、8月末に蛹となり、秋の初めに羽化し、ほんの少し活動した後、土中で越冬する。
つづく
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