2024/01/03

巣穴を掘り広げて子供部屋を増築するニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午後21:01〜21:05・(@0:00〜) 
奥の巣穴Rでヘルパー♂と思われるニホンアナグマMeles anakuma)が再び穴掘りを始めました。 
後退しながら土を掘り出すと、巣口Rからアクセストレンチが形成されます。 

これから4頭の幼獣が大きく育ちますから、子供部屋を増築しているのでしょうか? 
それとも自分の部屋を育児部屋として♀に乗っ取られたので、仕方なく自分の部屋を新たに掘っているのかもしれません。


トレイルカメラの電池が消耗しているために、細切れの録画になっています。 
別アングルのトレイルカメラ(新機種)で撮れていなかったのが残念です。


シーン2:5/20・午前4:44〜4:46・(@0:50〜)日の出時刻は04:22。 
5日後もヘルパー♂が早朝から穴掘りを始めました。 
奥の巣口Rに顔を突っ込むと、前脚で土を後ろに掻き出しています。

アナグマの♀は授乳などの子育てに忙しいので、穴掘りの重労働はヘルパー(1年仔の息子♂)に任せているようです。 
つまり分業が存在するようです。
それにしても、なぜ一夫一妻(交尾した♂と同居)ではなくヘルパー制なのか、不思議です。
アナグマの社会システムが更に進化すると、ハダカデバネズミのように真社会性やカースト制度が進化してくるのでしょうか?(この辺は勉強不足なので、曖昧かつ適当な推測です。)

アクセストレンチという用語について解説しておきます。
巣穴の掘削方法は、穴の中から前足で土を押し出し、押し出したあとにはアクセストレンチと呼ばれる溝ができる。 (wikipedia:ニホンアナグマより引用)
しかし、この記述は私の観察結果と明らかに異なります。 
私の見ているアナグマ(ヘルパー♂)は、穴の中から頭を先頭にして出巣しながら土を前足で押し出したりしません。 
後退しながら前足で土を後ろに掻き出すというのがポイントです。 
一方、「飯能の自然メモ」というブログサイトで穴熊ノ溝という記事を読むと、
フィールドで地中にできた巣穴を観察した際に、アナグマが掘ったものかどうかを判断する指標のひとつに、「アクセストレンチ」と呼ばれる溝がある。これは、アナグマが掘った土を外に出すときに残る跡で、どのようにつくかは諸説あるが、動物園で観察したアナグマの場合、掘った土を前肢で抱きかかえるようにし、後退りしながら外に引きずり出した際にできた。
こちらの記述は私にもしっくりきます。 


アナグマは林内の営巣地でこれほど大規模な土木工事を何年も継続することから、様々な種類の生き物に影響を与えることになります。
(アナグマの掘った巣穴を利用する生き物は多い。)
アナグマが巣材集めのために落ち葉掻きをした林床は乾燥が進むことになるでしょう。
つまり、アナグマは日本の山林で独特な生態系エンジニアとしての役割りを果たしていると言えそうです。 
後々、これに関連した動画を公開予定です。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



シャクの花蜜を吸うセスジハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月中旬・午後15:45頃・くもり 

ニセアカシアを主体とする河畔林の林床に咲いたシャクの群落でセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。 
風で激しく揺れるシャクの花序にしがみついたまま、口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。 
この白い花を、あやうくドクゼリと間違いそうになったのですけど、同じセリ科でもこの植物はシャクのようです。 

樹々が展葉した林床は薄暗い上に、激しい風揺れに悩まされました。 
虫撮りには最悪の条件です。
ハエ類は敏感なので、私が手でシャクの茎をつまんで揺れないように押さえようとすると逃げてしまいます。 
「シャクに触わるなぁ…。」 

セスジハリバエがシャクの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:51〜) 
スーパースローで見ると、ひどい風揺れも気にならなくなります。 
ところがハイスピードモードに切り替えたら風が収まり、ハエがなかなか飛んでくれなくなりました。 (マーフィーの法則) 
それでも愚直に撮り続けたら、身繕いのシーンが撮れました。 
左右の前脚を互いに擦り合わせています。 
ようやく花序の上で方向転換してから、隣の花序に飛び移りました。
足を伸ばせばなんとか渡り歩ける距離なのに、わざわざ飛んで移動しました。
足場が風で揺れるので、バランスを取るために羽ばたいているのでしょう。

カワラヒワCarduelis sinica)の鳴く声が聞こえますね。

2024/01/02

早朝に営巣地の林内で排便するニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ】

 



2023年5月中旬 

シーン1・5/20・午前5:44・気温14℃(@0:00〜)日の出時刻は午前04:22。 
新機種のトレイルカメラのおかげで、自然光下でニホンアナグマMeles anakuma) の体色が撮れていました。 
これまでモノクロの暗視映像ばかり見てきたので、なかなか新鮮です。 
右手前に巣穴Rが、左奥に巣穴Lがあるのですが、手前に生えた灌木が邪魔で巣穴Lは隠れてよく見えません。 
マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)などの若葉の新緑が鮮やかです。 

広場の奥に行ったアナグマが林床にしゃがんで排便していました。 
現場で私が探しても、アナグマの溜め糞場がどうしても見つからないのが不思議です。 
糞虫の活動が活発なのかな?
タヌキと違ってアナグマはしっかり形に残る固形糞ではなく泥状の下痢便を排泄するからでしょうか。

地面の匂いを嗅いだり体を掻いたりしながら、営巣地(セット)にゆっくり歩いて戻ります。 
巣口Rに入りかけたものの、何を躊躇しているのか、念入りに匂いを嗅ぎ回るだけです。 
まさか監視カメラを警戒しているのでしょうか? 
やがて、トレイルカメラの死角になるよう茂みの背後に隠れてしまいました。 


シーン2・5/20・午前5:45・(@1:41〜) 
つづきは別アングルの旧機種で撮れた映像に切り替えます。 
奥の巣口Rで辺りをキョロキョロ見回してから、座って体をボリボリ掻き始めました。 
少し右に移動してから、画面の右端で毛繕いを続けています。 
この映像を見る限り、この個体は首筋に白斑が無いのでヘルパー♂のようです。 


※ 後半は編集時に自動色調補正を施しています。 


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