2022年9月下旬・午後15:40頃・くもり
川沿いの庭先の花壇に咲いたハナトラノオ(別名カクトラノオ)の群落でキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が何匹も忙しなく飛び回っていました。
獲物を探索しているのでしょう。
探餌飛翔で空腹になった個体はカクトラノオの花序に着陸すると、唇形花に正当訪花を繰り返して花蜜を吸っています。
吸蜜後に唇形花の狭い花筒から出てくると、胸背が白い花粉まみれになっています。
次の花に潜り込んだら、その花粉が雌しべに付き、キイロスズメバチはカクトラノオの授粉を手助けしていることになります。 (送粉者)
関連記事(11日前の撮影)▶ カクトラノオの花蜜を吸うキイロスズメバチ♀
しばらく観察していると、キイロスズメバチ♀は互いに攻撃し合っていることが分かりました。
訪花後の個体が次の花序へ飛び去ろうとすると、近くを飛んでいた別個体が急いで追撃し、軽い空中戦になります。
花畑で動く虫なら何でも獲物と誤認して(たとえ同種でも)反射的に飛びついてしまうのでしょうか?
また別のワーカー♀aの吸蜜シーンを撮影していると、背後から飛来した別個体♀bが急に襲いかかりました。
そのまま先客♀の背中にマウントしたので、♂が♀に交尾を挑んでいるのかと思いきや、雄蜂♂ではありませんでした。
獲物と誤認して飛びかかったのなら、すぐに誤りに気づいて相手を離すはずです。
しかし♀bは大顎で♀aの体や脚に何度も執拗に噛みつこうとしています。
しかしキイロスズメバチの体表のクチクラは固くて、歯が立ちません。
ちなみに、スズメバチは狩りや喧嘩の際に毒針は使いません。
不意打ちを食らった♀aは花に伏せているだけで、全く反撃しないのが不思議でした。
アシナガバチの巣内で行われる優劣行動を彷彿とさせます。
最後は2匹もろとも、花から地面にボトッと落ちました。
1匹はすぐに立ち直って、また花壇を飛び回ります。
キイロスズメバチ♀の探餌飛翔と同種間抗争を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:31〜)
おそらく、別々のコロニーから来たキイロスズメバチ♀同士が蜜源・狩場を独り占めしようとハナトラノオの花畑を巡って戦っているのでしょう。(占有行動)
秋はスズメバチの個体数が増えるのに餌が少なくなりますから、飢えて殺気立っています。
私はこの日たまたま黒色のポロシャツを着用していたので、キイロスズメバチの気を逆撫でするのではないかと心配だったのですが、撮影中に私を攻撃(八つ当たり)してくることはありませんでした。