2023/01/02

ノブドウに訪花するマメコガネの飛翔【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年8月中旬・午前8:50頃・晴れ 

田園地帯の道端に咲いたノブドウのマント群落で多数のマメコガネPopillia japonica)が訪花していました。 
花から花へ忙しなく飛び回り、どの個体を撮るか目移りしてしまいます。 
花蜜や花粉を食べに来たようです。
♂は交尾相手の♀を探す目的もありそうです。(探雌飛翔)
関連記事(4年前の撮影)▶ ノブドウの葉で交尾するマメコガネ♀♂

マメコガネの飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:20〜) 
飛翔中は脚を大きく広げた姿勢です。 
ハナムグリ亜科とは異なり、スジコガネ亜科に属するマメコガネは鞘翅を大きく広げ、後翅を羽ばたかせて飛んでいます。 
空気抵抗のことはあまり考えていません。
しかも翅の建てつけが悪いようで、 飛翔中に広げた鞘翅がガタガタと激しく振動しています。 
このようにマメコガネの飛翔行動は無駄が多く、進化・改善の余地がありそうです。
後翅の羽ばたきは速過ぎて、ハイスピード動画でも見えませんでした。 
着陸してしばらくすると、閉じた後翅を畳んで鞘翅の下へ完全に収納します。

2022/12/31

深夜の水場で排便するハクビシン?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月下旬 

里山で沢の源流となっている泉をトレイルカメラで監視していると、真夜中にハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)らしき謎の獣が2回登場しました。 
夏毛のホンドテンMartes melampus melampus)かと初めは思ったのですが、ハクビシンに訂正しておきます。
もし間違っていたら、ご指摘願います。

シーン1:午前2:37 
カメラの起動が少し遅れたようです。 
ハクビシンが対岸の水路から、草木で覆われた右岸に登るところでした。 

水場から居なくなって数秒後に、コウモリ(種名不詳)が奥の森から飛来しました。
今回のコウモリは池に着水することなく、すぐに飛び去りました。 
いつもなら、他の野生動物が水場に来るとコウモリの飛来はパタッと無くなります。 
空を敏捷に飛び回るコウモリにとって、他の哺乳類が(たとえ肉食獣であっても)脅威になるとは思えないのですが、それなりに警戒しているようです。 
暗闇での哨戒活動もエコロケーションで行っているのが我々には想像も出来ません。
それが今回、ハクビシンと入れ替わるようにコウモリがすぐ飛来した点が興味深く思いました。 


シーン2:午前3:44 
1時間前と同一個体なのか別個体なのか分かりませんが、再びハクビシンが写りました。 
池の水が流れ出る水路の出口で腰を屈め、横向きで脱糞しています。 
浅瀬の水中に排泄した軟便は、赤外線の暗視映像では白く見えました。 
排便の途中でカメラ目線になると、両目が白くギラギラと光ります。 


実は同じ水場で昼間にもホンドテンがオシッコに来ていました。 
このときは白昼の池畔に突っ立って撮影する私を警戒してそこに排尿したのかと思ったのですけど、夜に無人カメラで撮影すると今度はハクビシンが同じ場所に排便していました。
テンやハクビシンには水場を糞尿の匂いでマーキングする習性があるのでしょうか? 
しかし、流水に匂いが長時間残るとは思えません。
哺乳類のフィールドサインに関する本を読むと、テンは糞をサインポストとして縄張り内の目立つ場所に残す習性があるとしか書いてません。 (※追記2参照)
水洗トイレに排泄するということは、逆に自分の糞尿の匂いを残したくないことになります。 
その理由を色々と想像してみました。 
・他の強い個体の縄張り内でこっそり暮らしてる? 
・発情期以外の♀は♂につきまとわれると面倒なので、自分の匂いを残したくない? 
・里山の食物連鎖では上位の捕食者なので、縄張り内の獲物に悟られないよう匂いを消している?

登山中に辿り着いた泉や沢の水が澄んでいるとつい飲みたくなりますが、野生動物の糞尿で汚染されていることを知った私は飲む気が失せました。
逆に、テンやハクビシンは飲み水が自分の糞尿で汚染されても気にしないのでしょうか?(衛生観念の欠如)
水場の下流の端に排泄してくれたのが唯一の救いです。
池の水生生物にとっては、水質がきれいすぎるよりも糞尿で適度に富栄養化した方が生物多様性が増すのかもしれません。
「水清ければ魚棲まず」

排便後のハクビシンは一気に跳んで右岸に登ると、前回とほぼ同じく岸辺の斜面を斜行して姿を消しました。 
跳躍シーンをまずは1/3倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
長い尻尾を鞭のように振ってジャンプする瞬間は、スポーツ用品メーカー「プーマ」のロゴとそっくりです。
 

ハクビシンが居なくなった後も、浅瀬の水中には新鮮な糞が残っています。

ハクビシンの姿が見えなくなった後に此岸の水面に波紋が広がりました。
ハクビシンが池の岸を回り込んでからブルルっと身震いして濡れた毛皮の水気を切ったか、あるいは崖を登った際に土砂が少し池に落ちたのかもしれません。 


【追記】 
まさかとは思いますが、もしかしてテンではなくてハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)ですかね? 
黒くて細長い尻尾がハクビシンっぽい気がするものの、ハクビシンなら顔の中央にあるはずの白い縦線が見えないので、悩ましいところです。
尻尾がフサフサではなくて細長く見えるのは、水に濡れたせいと考えれば、ホンドテンで良さそうです。

実は興味深いことに、水場から少し離れた林道に設置した別のトレイルカメラにも、同じ日に2回撮れていました。
しかも2回ともに撮影時刻が数分前なので、林道を歩いて水場に向かった同一個体の動向が2台のトレイルカメラに連続して記録されたことになります。

【追記2】
水場の水中に残された糞はすぐに溶けて原形を留めませんから、フィールドワーカーに気づかれにくく、フィールドサインとして記録されてこなかったのでしょう。
トレイルカメラで偶然撮れた排便シーンの証拠映像を見なければ、ハクビシンの糞とは認識できません。



溜め糞場で狩ったキンバエを隠れ家に持ち去り捕食するアカバトガリオオズハネカクシ

 

2022年8月中旬・午後12:10頃・くもり 

里山の尾根道から外れ、廃道状態の細い山道を辿って斜面を下り始めてすぐの地点に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場kを前年から見つけています。 
ヒトが使わなくなって藪に覆われた廃道も、獣道として今も使われているようです。 
周囲は若い二次林で、薄暗い林床の山道にはノギランが点在しています。 


糞塊の真下で糞虫が活発に活動しているらしく、糞塊が上下にゆっくり動いています。 
糞虫が処理した後の地面には丸い穴がいくつも開いており、おそらくセンチコガネ類の巣穴だろうと考えています。(発掘調査は今後の課題) 


新鮮な糞塊にはメタリックグリーンに輝くキンバエLucilia caesar)の仲間が群がっていました。 


ここに比較的新しい糞が残されているのは珍しいので、立ち止まって観察していると、大事件が起こりました。 (映像はここから。) 

アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が早足で溜め糞場から離れて行きます。 
その大顎にキンバエの一種を咥えていました。 
溜め糞場で待ち伏せしていた肉食性のアカバトガリオオズハネカクシが獲物を仕留める瞬間を、残念ながら撮り損ねてしまいました。 
これまでハエなど食糞性の昆虫に襲いかかっても狩りに失敗するシーンばかり見てきたので、まさか敏捷なハエ成虫の狩りに成功するとは驚きでした。 
仲間が襲われて必死に暴れているのに、他のキンバエ2匹は近くの糞上に留まって吸汁を続けています。

襲われた直後は激しく暴れていたのに、胸部を横から噛み付かれたキンバエはすぐにおとなしくなりました。 
毒液を注入されたのかな? 
獲物を咥えたハネカクシは林床を走り回り、落葉の下に隠れました。 
肉食性ハネカクシ類の生態について私は疎いのですが、獲物を自分の巣穴に搬入する(貯食)という習性は聞いたことがありません。 
おそらくライバルに獲物を横取り(強奪)されないように、安全な隠れ家に運んでからゆっくりと捕食するのでしょう。
糞食性の昆虫を目当てに溜め糞場に来て捕食する野鳥も居るので、私に対して警戒していたのかもしれません。
あるいは、♂から♀へのプレゼント(求愛給餌)だとしたら面白いのですが、落ち葉の下に隠れたアカバトガリオオズハネカクシの様子はほとんど見えません。
撮影アングルを確保しようと私が下手に動くと落ち葉を踏んでガサガサと音を立ててしまい、警戒したハネカクシに逃げられてしまいます。

この地点にもトレイルカメラを仕込んで、本当にタヌキの溜め糞かどうか確認したいところですが、台数が足りなくて後回しになっています。 

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