2021年12月上旬・午前11:50頃・晴れ
未だ根雪になる前の初冬にスギ林の山道を歩いてホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞を探します。
とは言ったものの、本当は過去に見つけた溜め糞場LのGPS座標を頼りに現場へ向かいました。
その道中を動画を撮りながら歩いてみます。
スギ林と射光の組み合わせが絵になりますね。
林床のところどころにうっすらと積もった雪は溶けつつあります。
山道で迷わないように、目印のピンクリボンが所々にぶら下げられています。
山道の横に生えていた杉の木が根こそぎ倒れているのは台風のせいでしょうか?
実は撮影に気を取られた私はうっかり溜め糞場Lに気づかず通り過ぎてしまい、引き返してからTake2を撮り直しました。
里山の斜面をトラバースする細い山道の途中に大量の糞塊が残されていました。
糞をうっかり踏んづけてしまわないように、山歩きの際は下をよく見て歩きましょう。
最近降った雨や雪の水分を吸って、糞の形はすっかり崩れています。
雪が降って気温が低くなると、ベッコウバエなどの昆虫も糞には全く来なくなります。
この時期のタヌキの糞には大量の柿の種子が未消化のまま混じっています。
カキノキの熟した果実(熟柿)を食べる際に大きな平べったい種子も丸呑みしているのです。
食後のタヌキはわざわざ遠くの決められた溜め糞場まで来て排泄する訳ですから、カキノキの種子散布を助けていることになります。
春になれば柿の種から実生が芽生えることでしょう。
溜め糞場の土壌は植物にとって栄養豊富ですけど、この場所は常緑の杉林なので林床は日照不足となり、カキノキの生育は期待できそうにありません。
タヌキの糞というと「とにかく臭い!」「独特のタヌキ臭」などと本によく書かれているのですが、私の経験ではそこまで臭いと感じたことがありません。
(私の嗅覚に問題があるのかと心配になります。)
ヒトの残飯に依存した不健康な食生活を送る都会のタヌキの糞が臭いのではないか?と秘かに疑っています。
当地のタヌキの糞があまり臭くないのは、いつも良い物(自然の恵み)をバランス良く食べているからではないか?と贔屓目に思ってしまいます。
肉食のメニューが多くなれば糞の匂いはきつくなるのかもしれません。
この仮説を真面目に検証するのなら、糞の内容物を徹底的に調べてタヌキの食性(メニュー)を調査しないといけません。
あるいは微生物など分解者の活動が当地では特に活発なのかな?(気温の低い冬も臭くないのはなぜ?)
本当はこのタヌキの溜め糞場Lにもトレイルカメラを設置して監視したいところです。
しかし、この山道は登山客の往来が結構多いので、カメラを盗られるなどのトラブルが心配で諦めました。
今回撮った動画の通りにタヌキが歩いて溜め糞場に通っているとは限りません。
そもそも杉林にタヌキの餌は少ないはずですから、雑木林や沢に向かう途中にスギ林を通り抜けているだけだと考えられます。
また、夜行性のタヌキは必ずしもヒトが作った山道に忠実に沿って歩いているとは限りません。
歩きやすい山道の途中から外れて斜面を自由に歩き回るかもしれません。
もっと雪が積もれば足跡を追跡することで、タヌキの巡回ルートを調べることができそうです。