2020/02/04

ミヤマアカネ♀♂の交尾



2019年9月中旬・午前11:10頃

交尾中のミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)が川沿いのコンクリート護岸の斜面に止まっていました。
私が近づこうとすると警戒し、尾繋がりのまま少し飛んで移動しました。
(冒頭は飛翔シーンの1/5倍速スローモーション。)
交尾ペアは更に少し飛んで移動すると、水際に生えた垂直に伸びた枯れ茎に止まり直しました。

♀は腹端を♂の副性器に結合していて、2匹はトンボに特有のハート型の交尾姿勢になっています。(※追記参照)
♀は全体重を♂に預けていて、6本足で♂の腹部にしがみ付いています。
♂は交尾中も頭部をグリグリ動かして周囲を油断なく見回していました。

背後に見える小川には小魚の群れが泳いでいました。


※【追記】
昆虫学者はこれを環状交尾態と呼ぶ。
(『虫たちの謎めく生態:女性ナチュラリストによる新昆虫学』第10章:トンボのタンデム飛行は恋のさやあて p215より引用)



ミヤマアカネ♀♂:側面@交尾:枯茎
ミヤマアカネ♀♂:背面@交尾:枯茎
ミヤマアカネ♀♂@交尾:枯茎・全景

2020/02/03

田んぼの鳥害対策例:テグスを張り黒ビニールの旗を立てる(野鳥)



2019年9月上旬・午後17:30頃

稲穂が実る田んぼでは、スズメを始めとする種子食性の鳥類による食害を防ぐために、様々な対策が施されています。
広大な田園地帯の一角で、ちょっと不思議な鳥よけを見つけました。

水田の隅など畦道に刺した竹竿の先に黒いビニール片がくくりつけられ、風が吹くと旗のようになびいていました。
カラスの死骸を模した案山子のつもりですかね?
これまでも畑などで見かけたことがあります。

その竹竿や金属パイプを支柱として、テグス(黄色いナイロン糸)が縦横斜めに張り巡らされていました。
これはおそらく、鳥が田んぼ内に降り立つのを妨害するためでしょう。

稲作農家の人にテグスの設置目的を尋ねてみた訳ではないので、以上は私の推測です。
田んぼの全面にネット(網)を張るならともかく、こんな大雑把に糸を張り巡らせるだけで果たして鳥よけの効果があるのか、個人的には疑問でした。
後日、合鴨農法に関する本を読んでいたら、似たような対策法が書いてありました。
アイガモの雛を水田に放したら、天敵(捕食者)から雛を守るために田んぼを電気柵で囲い、更にカラスよけのテグスを張る必要があるそうです。

カラスは、空から下りてくるので、電気柵では防げないんだ。(中略)カラスには、いろんな対策法があるけれど、いまのところいちばん確実な方法はテグスだ。テグスというのは釣り糸のことだ。(中略)「4mもテグスの間隔があったらカラスが勝手に飛びこむよ〜」と思うかもしれないけれど、だいじょうぶだ。カラスが侵入したとしても、テグスを低く張っているので、飛び上がるときに羽をいためるんだ。カラスは羽や翼をいためることをきらっている。(中略)それでカラスは侵入したいけれど、しないんだ。 (古野隆雄『アイガモの絵本 (そだててあそぼう)』p17より引用)



この本は一見すると児童書や絵本のようですけど、内容はかなり実践的でとても参考になりました。
もしかして、今回私が見た田んぼは小規模にアイガモ農法を試していたのでしょうか?
しかし電気柵は設置されていませんでした。
この区画だけ田んぼの所有者が違うのかな?

撮影したのは鳥がそろそろ塒入りする夕方で、田んぼに鳥はもう来ていませんでした。
しかし2羽のハシボソガラスが近くの電線に止まって夕刻の田んぼを見下ろしていました。
来季はテグスの張られた田んぼに注目して、鳥が侵入するかどうか観察してみるつもりです。

カラスだけでなく体の小さなスズメに対しても効果があるのでしょうか?
機会があれば、「合鴨水稲同時作」を実践している田んぼも見学してみたいものです。


鳥よけ(野鳥):黒ビニール@水田隅+テグス
鳥よけ(野鳥):黒ビニール@水田隅+テグス
ハシボソガラス2(野鳥)@電線

ニセアカシアの葉を蚕食するトビイロスズメ(蛾)幼虫【30倍速映像】



2019年9月中旬


▼前回の記事
トビイロスズメ(蛾)の幼虫を見つけた!


トビイロスズメ(蛾)幼虫の飼育記録#2


飼育下でトビイロスズメClanis bilineata tsingtauica)の幼虫ニセアカシア(別名ハリエンジュ)の小葉を食べる様子を微速度撮影で記録してみました。
30倍速の早回し映像でご覧下さい。
(退屈な食休みのシーンは編集でカットしています。)

小枝の下側に腹脚でしがみついた幼虫は、葉の縁を左右の胸脚で挟んで前進しながら蚕食します。
食事中にも脱糞します。
小葉を完食すると、葉柄も食べ尽くしました。※
やがて小枝が丸坊主の状態になると、次の葉を求めて探索を始めました。

※ イモムシが食餌植物の葉柄も食べ尽す理由について、無駄無く食べているのだろうと私は思っただけで深く考えたことがありませんでした。
別件の調べ物でベルンド・ハインリッチ『生から死へ、死から生へ:生き物の葬儀屋たちの物語』という本を読んでいたら興味深い説(対捕食者戦略)が書いていました。

(スズメガの)幼虫のあまり動かない習性と動きの遅さも、一つの適応である。動かなければ動かないほど、這うのがゆっくりであればあるほど、動きを合図としてそのような獲物を情け容赦なく狩る捕食者たちに見られにくくなるだろう。(中略)芋虫は葉の端切れを残さないように食べるが、葉が残っていれば鳥たちに居場所の手がかりを与えるだろう。次の葉に這って行く前に、最初の葉の残りを葉柄のところでかみ切って、食べた跡を消し去る。 (p224-225より引用)


つづく→#3:眩しい朝日を避けるトビイロスズメ(蛾)幼虫【10倍速映像】





↑【おまけの映像】
オリジナル素材の10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。


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