2018/08/24

ケヤキ樹上の巣で親鳥を待つハシボソガラスの雛(野鳥)

2018年3月中旬

街中の公園に植栽された落葉高木の樹冠に細い枯枝を組み合わせて作られた鳥の巣を見つけました。
おそらくカラスの巣だろうと予想がついたものの、親鳥の姿はありません。
繁殖期になって作られたばかりの新しい巣なのか、古い巣が残っているだけなのか、分かりませんでした。
この日はカメラを持っていなかったので、場所を記憶して帰りました。


2018年5月中旬

思い出して2ヶ月ぶりに現場を再訪し、巣の写真を撮りました。
この日も親鳥の姿はありませんでした。
木の下から見上げるアングルしか確保できないので、巣内の様子がほとんど見えず、定点観察する上では良い営巣地とは言えません。
枝に葉が茂り始め、樹種はケヤキと判明。


ハシボソガラス(野鳥)巣@ケヤキ樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ケヤキ樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ケヤキ樹上




2018年5月下旬

8日ぶりに街中の公園を再訪し、ケヤキの木の下から巣を見上げると、巣内でハシボソガラスCorvus corone)の雛が育っていました。
嘴の中が赤いのはカラスの雛鳥や幼鳥の特徴です。

少なくとも2羽の雛が巣で留守番していました。
巣材の小枝を嘴の先で軽く甘噛みして独り遊び(暇つぶし)しています。
巣の周囲の枝にはケヤキの葉が青々と茂っています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→ケヤキ樹上の巣で雛に給餌するハシボソガラス(野鳥)


ハシボソガラス(野鳥)雛@巣:ケヤキ樹上
ハシボソガラス(野鳥)雛@巣:ケヤキ樹上
ハシボソガラス(野鳥)雛@巣:ケヤキ樹上

2018/08/23

ハコネウツギの花で盗蜜するクマバチ♀



2018年6月中旬

ハコネウツギ(別名ベニウツギ)の生垣でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
忙しない吸蜜シーンをよく見ると全く正当訪花せずに、毎回常に穿孔盗蜜しています。
漏斗状の花筒の根元を外側から噛んで小さな穴を開け、そこから舌を差し込んで蜜腺を舐めるのです。
クマバチはハナバチ類の中でも舌が短い上に体格が太いので、正当訪花しても花筒の奥まで潜り込めず、舌を伸ばしても蜜腺に届かないのでしょう。
数日前に同じハコネウツギの花で穿孔盗蜜と正当訪花を自在に切り替えていたクロマルハナバチ♀とは対照的です。

盗蜜を繰り返すクマバチ♀は花筒内の雄しべに体が触れませんから、花粉を集めず、後脚の花粉籠は空荷なのは当然です。
訪れた花に古い盗蜜跡がある場合もそれを利用(二次盗蜜)せずに、新たに穿孔盗蜜しました。(例えば@0:18)
未開花の白い蕾からも盗蜜していました。(@0:31)
ハコネウツギの赤い花が萎れかけで蜜も残っていないと判断すると、クマバチ♀はちょっと調べただけで次の花に移動することもありました。(@1:55)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
絶え間なく風が吹く午後で枝揺れが激しいので、あえて手ブレ補正処理しませんでした。


クマバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♀@ハコネウツギ訪花+穿孔盗蜜

幼鳥にオオキンケイギクの実を巣外給餌するカワラヒワ親鳥♂(野鳥)



2018年7月上旬
▼前回の記事
カワラヒワの幼鳥を伴った親鳥♂がオオキンケイギクの実を採食し脱糞(野鳥)

私が横に少し動いただけで、カワラヒワCarduelis sinica)の親子は警戒し、少し飛んで逃げてしまいました。

幸い、家庭菜園に設置されたコンポスト容器の横に着地し、巣外給餌を始めてくれました。
これでようやくカワラヒワの親子と判明しました。
腹を空かせた地味な幼鳥(巣立ち雛)が鳴きながら羽ばたいて餌乞い♪すると、親鳥♂が食べたばかりのオオキンケイギクの種子を吐き戻し、口移しで与えています。
最後は2羽とも飛んで逃げました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

幼鳥が餌乞いする鳴き声を声紋解析してみたかったのですが、近くでスズメも鳴いていますし工事の騒音もうるさくて、使い物になりませんでした。




【追記】
日本野鳥の会『みる野鳥記3:カワラヒワのなかまたち』という本を紐解くと、詳しい解説が書いてありました。
巣から出たとはいえ、ヒナはまだ遠くまで飛んでいくことはありません。飛ぶ力も弱いのでしょう。それに、食物のとり方も知りません。ヒナはそろって、だいたい同じ場所にいて、親が食物を運んできてくれるのを待っています。 食物を運んできた親鳥の声を聞くと、ヒナは「チュンチュンチュン」と大きな声で鳴き、つばさをふるわせて、親から食物をもらいます。親はヒナに食物をあたえると、またすぐに飛んでいってしまいます。(中略)巣立ってまもなくのカワラヒワのヒナは、全体に褐色で、つばさはちゃんと黄色い帯が見えます。親とちがうのは、おなかの部分にたての黒いはん点があること。このはん点に気がつけば、ヒナが飛び回っているんだということがわかります。(中略)巣立ってから1週間から10日――。
 食物をもらっていたころの「チュンチュンチュン」というヒナ独特の声は、もうほとんど聞かれません。食物をねだるように、つばさをふるわせるすがたも見られなくなります。
(p46-47より引用)
これを読むと、確かに今回私が観察した幼鳥の腹には黒い縦の斑点がありました。
映像で聞こえていた「チュンチュンチュン♪」という鳴き声はてっきりスズメかと思ったのですが、カワラヒワの幼鳥が発していた餌乞いの鳴き声だったようです。
また、一緒に巣立った他の幼鳥も近くに居たはずなのに、私は気づきませんでした。


カワラヒワなど植物を食物にする鳥は、「そのう」(素嚢:しぐま註)という器官を持ち、ここにとった食物をたくわえる。(中略)だ液で食物をやわらかくする働きもあるようです。 ですから、カワラヒワのなかまたちは、そのうに食物をたくわえて、まとめて運んでくることができます。(中略) また、ヒナもそのうを持っていますので、親からもらった食物を、自分のそのうに一度たくわえて、少しずつ消化していきます。 ですから、カワラヒワやそのなかまたちは昆虫をヒナにあたえる鳥にくらべ、食物を運ぶ回数が少なくてすむのです。 (同書p43より引用)




【追記2】
佐藤信治『庭にきた鳥:いのちのドラマを家族でみる』によると、
(カワラヒワの)♀の求愛ポーズの際や幼鳥が餌をねだるときはチュンチュンと続けて鳴く。(中略)ほかの鳥と異なり、羽根の中ほどの黄色の形や濃淡と顔の造作に差異があるので、個体識別がしやすい。♀にくらべて♂は目と嘴の間が青黒い。 (p58-59より引用)


カワラヒワ(野鳥)親鳥+幼鳥@巣外給餌♪:オオキンケイギク実

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