2020年8月上旬・午後15:40頃・晴れ
何となく当てずっぽうですが、この白っぽいザトウムシはモエギザトウムシ(Leiobunum japonicum japonicum)ですかね?
白っぽい体のガガンボは未だ生きていて、身を捩って必死に暴れています。
餌食となったガガンボと一緒に何か細長い物を引きずっています。
この謎の物体が何なのか私にはしばらく分からずに悩みました。
ガガンボと糸で絡まっているようにも一瞬見えたので、近くのクモの巣にかかっていたイモムシ(幼虫)とガガンボを一緒にザトウムシが盗んできたのか?と想像したりしました。
しかしよく観察すると、ガガンボ成虫が細長い蛹から羽化中なのだと分かりました。(※追記参照)
引きずっていた細長い褐色の物体はイモムシではなくて、ガガンボの羽化殻(抜け殻)でした。
ガガンボ成虫の脚が未だ完全に蛹から抜け切っていない無防備な状態で捕食者に襲われたようです。
そこへアオゴミムシ(Chlaenius pallipes)が右から駆け寄って来ました。
いきなりガガンボの腹部に噛み付くと、後ろに引っ張り始めました。
ザトウムシとの綱引きにあっさり勝つと、獲物を更に後ろへ引きずって運んで行きます。
ガガンボの羽化殻も一緒に引きずられていきます。
アオゴミムシは、少し離れた落ち葉の上で強奪した獲物を捕食開始。
視力の弱いザトウムシは、急に獲物が消えて戸惑っているようです。
長い歩脚で辺りを探りながら泥棒を追いかけました。
食事中のアオゴミムシに近づくと、ガガンボの羽化殻やアオゴミムシに足先で触れてしばらく調べています。
ザトウムシはようやく状況を理解したらしく、獲物を諦めて急に逃げ出しました。(戦意喪失)
非力で武器も持たないザトウムシは、アオゴミムシと戦って獲物を取り戻す術が無いのでしょう。
一方、獲物をまんまと強奪してきたアオゴミムシも無事では済みません。
見慣れないアカアリ(種名不詳)のワーカー♀が何匹も集まってきたのです。
早速、ガガンボの腹端に噛み付いているアカアリがいます。(やや大型の個体は兵隊アリ?)
急にアオゴミムシがガガンボを咥えて運び始めました。
集まってくる厄介な赤アリを嫌がったのでしょう。
土手から転がり落ちると、ようやくアリから逃れて、落ち着いて食事を再開しました。
河畔林を横切る夏の小川で人知れず壮絶な弱肉強食のドラマが繰り広げられていて、静かな感動を覚えました。
この夏で一番思い出深い事件簿でした。
※【追記】
↑【おまけの動画】
「ガガンボ?羽化」byあたしまろ氏
8倍速の見事なタイムラプス映像です。
羽化が完了するまで無防備な時間が30分以上続いたそうです。
ガガンボの種類によっては水中で羽化するものもいるそうで(↑参考動画 by Parahucho氏)、ガガンボの世界も多様で奥が深いですね。
【追記2】
実は1年前の早春に、この小川で産卵するガガンボを観察しています。
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今回、周囲の土手をよく探していれば、他にも羽化中のガガンボを発見できたかもしれません。
私はガガンボの生活史について全く無知だったのですが、断片的に少しずつ分かってくると嬉しいものです。
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