クロアゲハの飼育記録:その6
2012年7月中旬・室温24℃
アゲハチョウ科の幼虫は敵から身を守るために前胸部から臭角を伸ばします。
以前観察したウスバアゲハ幼虫の臭角は橙色でしたが、クロアゲハ幼虫(Papilio protenor demetrius;5齢、終齢)の臭角は真っ赤でした。
この個体は箱入り娘で鈍いのか、相当かなりしつこく小枝で体を突つかないと臭角を出してくれませんでした。
上半身を反らしながら赤い臭角を目一杯伸ばします。
体液の内圧を上げることで、まるでお祭りの玩具「吹き戻し」(俗称ピロピロ笛)のように、瞬間的に伸びます。
しかしすぐに萎んでしまうため、写真を撮るのは無理でした。
伸びた臭角からは独特の芳香を感じました。
食草として与えている山椒の香りではなく、どちらかと言えば柑橘系でした。
実は脱皮前に刺激してみても、臭角は観察できませんでした。
若齢幼虫は臭角を出さないのか?と不審でしたが、単に刺激が弱かったのでしょう。
『科学のアルバム:アゲハチョウ』p43によると「若い幼虫ほど、角の出し方が早い」らしい。
臭角以外の護身術として胸部には眼状紋があり、怒って体を膨らませるとヘビが鎌首をもたげているようです(擬態)。※
つづく→「サンショウの葉と茎を蚕食するクロアゲハ♀5齢幼虫」
※ 【追記】
藤丸篤夫『アゲハチョウ観察事典』を読むと、眼状紋の自衛効果について、少なくともナミアゲハ幼虫の場合は懐疑的に書かれていました。
頭の後ろの目玉模様も、敵をおどかすためのものといわれていますが、これも観察したかぎりでは、虫やクモがこれをみておどろいているようすはないし、逆に終齢幼虫の目玉模様はめだつせいか、鳥にもよくつかまえられてしまいます。(p16より引用)
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