2025/01/04

雪山の斜面にニホンノウサギが縦横無尽に描く足跡の軌跡【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬・午後19:10頃および23:45頃 

シーン0:1/9・午後12:38・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
雪の積もった里山で、スギ植林地に残されたニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動センサーカメラで見張っています。 
今季は異常な暖冬で降雪量が少ないのですが、林床の溜め糞は雪で覆われ、雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 
画面の手前から奥に向かって上り坂の斜面を見上げるアングルになっています。 

この地点で冬毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が登場したシーンをまとめました。 


シーン1:1/24・午後23:58・吹雪(@0:07〜) 
シーン2:1/25・午後2:47・吹雪(@0:14〜) 
動物は何も写っていないのですが、誤作動で撮れた映像で雪国の気象をお伝えします。


シーン3:1/25・午前7:11・くもり(@0:21〜) 
スギ樹上からときどきドサッと落雪すると、旧機種のトレイルカメラはそれに反応してしまいます。
林床には新雪が積もり、野生動物の足跡は全く付いていません。 


シーン4:1/26・午前9:43・くもり(@0:27〜) 
樹上からの落雪。 


シーン5:1/26・午後19:08・降雪(@0:33〜) 
新雪が積もった林床にノウサギが左から右へ横切った足跡が残っています。 
監視カメラの起動が間に合わなかったようです。 

雪が横殴りに降っていますが小雪程度で、吹雪とは言えません。 


シーン6:1/26・午後19:13・降雪(@0:38〜) 
5分後に再び監視カメラが起動したのですが、ノウサギの姿は写っていませんでした。 
しかし、雪面に残る足跡を直前の動画と見比べると、ノウサギが右奥から手前へ走ってきて古い足跡と交差していました。 


シーン7:1/26・午後23:42・降雪(@0:44〜) 
雪が降る深夜に斜面を右からトラバースして来たノウサギが、スギの木の手前を左に横切りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


低温下でトレイルカメラは動きの早いノウサギになかなか反応できていません。
それでも、雪面の雪質がパウダースノーの新雪だったため、ニホンノウサギの足跡から軌跡を読み解くことができました。


つづく→

落葉した木の上で交尾するニホンザル♀♂

 

2023年12月下旬・午後14:40頃・くもり 

山麓の道端の落葉樹(樹種不明)にニホンザルMacaca fuscata fuscata)の♀♂ペアが登っていました。 
樹上で2頭が仲良く寄り添い、♂が♀の背後から軽くマウントしたものの、本格的な交尾には至らなかったようです。 
発情期のニホンザルは外性器が紅潮しています。 
この♀は乳首が短く、育児(授乳)経験のない若い♀個体のようです。 

現場は民家の裏庭で、室内犬がガラス窓越しに外のニホンザルに対して激しく吠えています♪(犬猿の仲) ※追記参照
それでもニホンザル♀♂は、室内のイヌを全く恐れる素振りはありませんでした。

この後も♀♂ペアが樹上で交尾を繰り返していたのですが、生憎カメラのバッテリーが切れてしまい、これ以上は記録できませんでした。 
気温の低い冬には、スペアのバッテリーも保温しながら携帯した方がよいかもしれません。


※【追記】
サルは犬を見ると激しく警戒し「クワン」「カン」という高い声を出す。かつての天敵であるオオカミに対する、警戒行動のなごりなのだろう。(p182より引用)

しかし、私はまだそのような警戒声を実際に聞いたことはありません。 


2025/01/03

雪国のホンドギツネがニホンアナグマの越冬用営巣地で野ネズミ狩りに失敗【トレイルカメラ】

 



2024年1月下旬

シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台のトレイルカメラで見張っています。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、林床の地面があちこちに露出していて、まるで早春のようです。 

冬毛のホンドギツネVulpes vulpes japonica)が昼間に登場したシーンを以下にまとめました。 


シーン1:1/24・午前6:33・気温-3℃(@0:04〜)日の出時刻は午前6:47。 
夜に大雪が降った翌朝は晴れていました。 
日の出前でも充分に明るいのは、新雪のレフ板効果です。 

左から来たキツネが、アナグマの巣口Lの辺りで新雪の中に頭を突っ込んでいました。 
次に右の巣口Rに忍び寄ると、そこで匂いを嗅いでいます。 
顔を上げたキツネの鼻面には、雪が付着しています。 


シーン2:1/24・午前6:36・気温-2℃(@1:04〜) 
1分半後に監視カメラが再び起動すると、キツネが右から戻ってきていました。 
雪面の匂いを嗅ぎながら、アナグマの巣口Rの横を通り過ぎ、巣口Lに立ち寄りました。 
もしかすると、アナグマの巣穴に居候している野ネズミ(ノネズミ)の匂いを嗅ぎ取って、執拗に探しているようです。 
最後は獣道を手前に立ち去りました。 


シーン3:1/28・午前8:27・気温0℃(@1:40〜) 
4日後、小雪がちらつく朝にもキツネが現れました。 
林床の雪面がいわゆる「腐れ雪」(湿雪)で歩きにくそうです。 
キツネが一歩踏み出す度に足が雪の中にズボズボと沈みます。 

アナグマの巣口Rが雪で埋もれ、そこだけ雪面が窪んでいます。 
ホンドギツネは巣口Rの凹んだ雪面に鼻面を何度か突っ込んで匂いを嗅いでいました。
雪の下で動く獲物のかすかな物音を聞き取ってもいるようです。
やがて後足で立ち上がると、高く上げた前脚を揃えて雪面に打ち下ろしました。 
これはキツネによる典型的な野ネズミ狩りの行動です。 
同時に顔も雪の中に突っ込んで、逃げる獲物に噛みつこうとしています。 
しかし残念ながら獲物には逃げられたようで、キツネはすごすごと右に立ち去りました。 





【追記】
塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』を読むと、「狩りの方法」と題した章が設けられていました。
草やぶを見つめながら、まるで”ふりこ”のように、頭だけを左右にゆっくりかしげはじめます。そして、ゆっくりと後ろ足だけを曲げていき、徐々にしゃがみこむような姿勢をとったかと思うと、突然ななめ上向きにジャンプします。このとき、前肢を鼻づらの両わきにそろえた状態で、草むらの中に頭からつっ込んでゆきます。(中略)
 ネズミからすると、キツネの狩りの仕方は、まるで空から飛んでくるミサイル攻撃です。こうしたキツネのジャンプ、1~2mぐらいが多く、中には7.5mもの大ジャンプをすることもあります。(中略)狩りがうまくいく確率は2~3割ほどだといいます。(kindle版44%より引用)

続けて、キツネの狩りにおける聴覚の重要性について詳しく書いてありました。 


関連記事(同時期の撮影)▶ ホンドタヌキの越冬用営巣地で野ネズミを狩ろうとする雪国のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

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