2025/01/03

ママコナの花で吸蜜中のミドリヒョウモン♀を追い払うアリ【ハイスピード動画】

 



2023年8月下旬・午前11:05頃・晴れ 

低山の尾根道に咲いたママコナの群落でミドリヒョウモン♀(Argynnis paphia)の吸蜜シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみたら、ちょっと面白い事件が起きていました。 
近づいてきたクロアリ(種名不詳)のワーカー♀がミドリヒョウモン♀の足(右中脚跗節)に噛み付いて、ママコナの花から追い払ったのです。
蜜源植物を防衛する占有行動でしょうか。
アリに足先を噛まれたミドリヒョウモン♀は、驚いて飛び去りました。

2025/01/02

休耕地の越冬用巣穴が雪で埋もれ、近所のホンドタヌキ♀♂が心配して訪問?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬 

シーン0:1/22・午後14:17・くもり・気温22℃(@0:00〜) 
雪が積もった休耕地でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
今期は異常な暖冬で、積雪量がかなり少ないです。 
まるで早春のように、地面があちこちで露出しています。 


シーン1:1/27・午後21:35・降雪・気温-1℃(@0:04〜) 
新雪が少し積もっていました。 
小雪がちらつく晩に、手前から奥へ向かってタヌキaが単独で雪原を歩いています。 
新雪の雪原には足跡が皆無なので、巣ごもりしている家族とは別と思われます。 
もしかすると、血縁関係のある親戚(例えば、子別れした子供?)が実家に戻ってきて生存確認・安否確認に来たのかな? 
タヌキが歩く度に足が新雪にずぼずぼと深く潜りますけど、ラッセルするほどの深雪ではありません。 
巣口のあった位置が雪で完全に埋もれてしまい、タヌキは見つけられないでいます。 
鼻面を雪面に突っ込んで匂いで巣口の位置を嗅ぎ当てようとしても、結局は左に立ち去りました。 

手前から後続個体bが登場しました。(@0:54〜) 
♀♂ペアで行動していたのでしょう。 
先行個体aの足跡を辿って巣穴の方へ近づこうとするも、尻切れトンボで録画が打ち切られてしまいました。 


シーン2:1/29・午前3:49・気温-1℃(@1:04〜) 
2日後の晴れた未明に、♀♂ペアの先行個体aがまた手前から奥に向かって雪原を歩いて行く後ろ姿が写っていました。 
雪面には古い足跡が残っているものの、やや不明瞭です。 
タヌキが歩いた直後に足跡はほとんど残らないことから、凍結した雪面にうっすらと新雪が積もっている状態と推測されます。 
キツネの足跡(映像公開予定)を辿って進み、巣口に辿り着きました。 
巣口の匂いをひたすら嗅いでいます。 
入巣したかどうか見届ける前に、録画が打ち切られました。 


シーン3:1/29・午前3:58・気温0℃(@1:36〜) 
8分後に、監視カメラが再び起動すると、先行個体aはまだ巣口を見つけられずにいました。
巣口の雪を掘り起こすこともしていません。 
右から後続個体bが登場して、aと合流しました。 
垂らしていた尻尾を持ち上げてaの周りをうろつき、慎重に互いの匂いを嗅いで挨拶しました。 
やや緊張が見られるので、まだつがい関係ではないのかもしれません。 
この間、2頭の鳴き声は聞き取れませんでした。 

後続個体bも巣口を点検します。 
雪に埋もれた巣口の匂いを嗅ぎながら、その場でぐるぐる回っています。 

その間に、先行個体aは手前に歩いて来ました。 
雪面に足跡は残りません。 

擬人化すると、近所のタヌキ一家の安否を心配しにきたように見えてしまいます。 


シーン4:1/29・午前4:00(@2:36〜) 
先行個体aの後を追うように、後続個体も手前へ歩いて来ます。 


シーン5:1/29・午前6:10・気温-4℃(@2:43〜)日の出時刻は午前6:43。 
夜明け前に濃い霧が発生しました。 
早回しにすると初めて、手前から奥に向かって雪原を歩くタヌキがおぼろげに認識可能になりました。 
巣口で立ち止まり、雪面の匂いを嗅いでいます。 
タヌキが横向きになり、ようやく白く光る眼が見えました。 
ジグザグに歩いているので、タヌキだと思います。 
巣穴の主なら、雪原を迷いなく真っ直ぐ帰巣するはずなので、よそ者のタヌキだと推測しています。


シーン6:1/29・午後22:07・気温-4℃(@2:43〜) 
同じ日の晩になっても、今度は夜霧が発生しています。 
単独のタヌキが手前から奥に向かって歩き、雪原をうろついています。 


シーン7:1/30・午前4:18・気温-6℃(@3:08〜) 
相変わらず画面がぼんやり曇っているのは、霧ではなくてレンズの表面が低温で凍り付いてしまったのかもしれません。 
奥の雪原で、タヌキ?の白く光る眼がちらちら動いています。 


シーン8:1/30・午後17:36・気温1℃(@3:20〜)日の入り時刻は午後17:02。 
日没後の晴れた晩、監視カメラがなぜか誤作動しました。 
画面全体が鮮明に写るようになって一安心。
雪面に古い足跡が残っています。 


シーン9:2/2・午後15:26・晴れ・気温14℃(@3:23〜) 
3日後の晴れた昼間に撮れた営巣地の様子です。 
雪原に巣口が開口していました。 
雪面に古い足跡がうっすらと残っています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
タヌキの個体識別ができていないので、ただの想像ですが、今回登場した個体は、この巣穴に普段出入りする主ではない気がします。 
近所に住む余所者(親戚?)のタヌキが単独またはペアで訪れ、雪の下に埋もれた巣穴の主の安否確認に来たのではないかと想像しています。 

別の可能性として、この巣穴で越冬していた♀♂ペアが、ある日採餌のために遠出している間に大雪が積もって巣口が完全に埋もれてしまい、雪原で迷子になってしまったという解釈もできそうです。 
タヌキは自力で地中に巣穴を掘る土木作業が苦手らしいのですが、雪で埋もれた我が家(自分の越冬用巣穴)の玄関を掘り出す雪かき作業も億劫なのでしょうか? 
ここ以外にも別宅があるはずなので、そこでしばらく過ごしている(ビバーク)はずです。 



警戒して動かないタシギと根比べ(冬の野鳥)

 

2024年1月上旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の斜面にヤマアカガエルの繁殖池があります。 
久しぶりに様子を見に来たら、私が雪をザクザク踏みしめる音に驚いた1羽の鳥が池畔から飛んで逃げ出しました。 
少し飛んだだけで、奥の緩斜面に着陸して動きを止めました。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のような景色です。 
池の水面は結氷しておらず、枯れ草に覆われた斜面のあちこちに残雪が見えます。 
謎の鳥にズームインしてみると、その正体は嘴の長いシギの仲間で、タシギGallinago gallinago gallinago)という種類でした。 
シギ類の中でも私が初めて見る鳥なので、とても興奮しました。 
最近本で読んだばかりのタマシギかと期待したのですが、別種でした。 

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ちなみに以前私が観察したのは、ヤマシギでした。 


地味な模様のタシギが枯れ草の上にしゃがみ込んで静止すると、見事な保護色(カモフラージュ)になっています。 
雌雄同色らしいので、性別を見分けられません。 
撮り初めは長い嘴の全体がしっかり濡れていたので、どうやら私が来るまで近くの湿地帯で採食していたようです。 
鼻水も光って見えます。 
初めは完全にフリーズしている訳ではなく、身を屈めながら横目で私の様子を油断なく伺い、わずかに身動きしていました。 
飛んで逃げるべきか、じっと静止して私をやり過ごすべきか、タシギの葛藤が垣間見えます。 

一方私は、タシギが痺れを切らして飛び立つか、警戒を解いて再び採食してくれるかと期待して、我慢比べの長撮りになりました。 
しかしタシギは警戒心がとても強く、その後はひたすらフリーズしているだけでした。 
もし嘴を開いてくれたら、有名な騙し絵「ウサギとアヒル」にそっくりでした。 
フリーズ状態のタシギは瞬きするだけで退屈なので、10倍速の早回し映像でお届けします。 
三脚を使わずに撮影を始めてしまったので、早回しにすると手ブレがひどいのは仕方がありません。 
フリーズの途中でタシギはときどき首を少しかしげて、斜めを見上げました。 
上空に飛来したカラス?を警戒したのかもしれません。 

私もその場でほとんど動かずに20分以上も粘ったのですが、カメラを構える腕の筋肉が限界を迎えました。 
ついに根負けした私が撮影を止めて歩き始めた途端に、タシギは飛び去ってしまいました。 
上空を旋回してから山林の方へ飛び去りました。 
タシギの鳴き声は聞き取れませんでした。 
飛び立つ瞬間に鳴いた気がするのですが(警戒声?)、その瞬間を動画に撮り損ねたのが残念です。 
タシギの飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

静かな山中で長撮りしている間にカカポ♪という謎の鳴き声も聞こえたのですけど、別種の鳥の鳴き声なのか、それともタシギの番(つがい)のパートナーが近くで鳴いたのか、不明です。 
ネットで調べても、そんな鳴き声を発する鳥は日本に居ない、と言われてしまいました。 

凍結した雪面にかなり大きな鳥の足跡が残されていました。
ただし、タシギの足跡とは限りません。 

その後しばらく(数時間)雪山を散策してから同じ地点に戻ってきても、タシギとは再会できませんでした。 


『やまがた野鳥図鑑』でタシギについて調べると、
 長く真っすぐなくちばし、枯れ草色の複雑な模様。旅鳥、または冬鳥としてやってくる。  (中略)河川や水田など湿地に生息するが、警戒心が強く、すぐに草の根元などに隠れてしまう。枯れ草色の複雑な模様の体は、辺りに溶け込み、ちょっと目を離せば見失ってしまう。見事な保護色だ。  朝夕に活発に動き回り、長いくちばしを土中に差し込んで上下に動かし、ミミズや昆虫などを食べる。くちばしは感度抜群。何と土の中でも先端が開くようになっていて、うまく獲物を捕らえる。湿地から「ジェッ」としわがれ声の鳥が飛び立ったら、それは間違いなくタシギだ。 (p151より引用)

タシギは夜行性らしいので、トレイルカメラで採食行動を録画してみるのも面白そうです。 
しかし、ここはどうしても監視カメラを設置しにくい場所なので、諦めざるを得ませんでした。
 
実は2023年の夏から秋にかけて、雑草が生い茂るただの草地だった池畔の地形が一変しました。
おそらくニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の仕業だろうと睨んでいるのですが、広範囲に雑草が根こそぎ掘り返され、掘り跡に山の湧き水が流入して湿地帯(草地)になったのです。
ヒトは長靴を履かないと通れない泥濘の草地と化しました。
イノシシが採食行動によって環境を改変したことで、タシギにとって絶好の餌場となったようです。 
私の推理が正しければ、イノシシは里山の生態系エンジニアの役割を果たしていると言えそうです。
タシギなんて地味な鳥を見れたからと言って喜ぶ物好きは私ぐらいですから、歩きにくくて見苦しい地形になったという理由で、地元の人が(良かれと思って)ブルドーザーで整地し直すのではないかと心配です。 
地球温暖化や開発のせいで生物多様性が急激に減少している昨今、日本で特に保全しないといけないのは、草地と湿地の環境です。
最近の田んぼは収穫後に水を抜いてしまう乾田なので、田シギは住めなくなっているのでしょう。




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