2023/01/29

ヌスビトハギの葉をハキリバチ♀が大量にくり抜いた跡【フィールドサイン】

 

2022年9月上旬・午後12:00頃・くもり 

里山の林道上に点々と生えたヌスビトハギがピンクの蝶形花を咲かせています。 
植物名が分からずにずっと気になっていたのですが、花後に特徴的な節果ができていたことから、ヌスビトハギと思い出しました。 
ヌスビトハギの節果は俗称「ひっつき虫」の一つで、通りすがりにヒトの衣服に張り付きます。 

マメ科に特有の羽状複葉(三出複葉)の小葉に丸くくり抜かれた痕跡が集中的に残されていました。 
これほどきれいな曲線でくり抜くのは幼虫(イモムシ類)の食痕ではなく、ハキリバチ科の仲間♀が巣材として葉片を集めた痕跡です。 
ハキリバチの種類によって営巣場所は違いますが、地面に巣穴を掘ったり樹洞や枝の虫食い穴を再利用したりします。
♀はその穴に葉片を詰め込んで育房を区切る巣材とするのです。 
ヌスビトハギ1個体(同じ株)の上から下まで多くの葉が卵型に切り抜かれていました。 
緑の葉の切り口が茶色く変色しているのは、切り抜かれてから日数が経った古い痕跡です。 

ハキリバチ♀が巣材集めに通って来るかと思い、その場でしばらく待機したのですが、残念ながら待ちぼうけに終わりました。 
お気に入りのヌスビトハギから同一個体が繰り返し巣材集めしているのか、それとも複数個体♀が集団で採取しているのか、知りたいところです。 
私の知る限り、ハキリバチ科に社会性の生活を営む種類はいないはずです。(単独性)

ところで、山中に営巣するハキリバチの蜜源・花粉源となる植物は何なのか、気になります。
山中で蜜枯れシーズンの真夏に咲く花は多くありません。
ヌスビトハギの花だけではとても足りないはずです。 

この林道は人通りが少なく、ほぼ廃道状態です。 
下草が生い茂る獣道となっています。 
山道をさらに進むと、別の地点でも「ハキリバチ♀のしわざ」を見つけました。 

つづく→オオバクロモジとタニウツギの葉をハキリバチ♀が大量にくり抜いた跡【フィールドサイン】
これは少し離れた地点で別の株から採取したヌスビトハギ節果と蝶形花

2023/01/28

夜の水場に現れた夏毛のニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月上旬・午後19:10頃・(日の入り時刻は午後18:05) 

里山の泉を見張る監視カメラに夜行性のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が写っていました。 
この水場で野ウサギは初見です。 

ある晩に夏毛のニホンノウサギが、対岸の草むらに座ってキョロキョロと油断なく周囲を警戒していました。 
暗闇ですから、視覚で様子を窺うというよりも、長い耳の向きを個別に変えて耳を澄ましているようです。 
水場には立ち寄らず、ピョンピョン跳んで左奥の林道へ姿を消しました。
野ウサギは池の水を飲みに来たのでしょうか? 
採食シーンも撮れず、残念でした。 

遅ればせながら、2023年(卯年)の干支を祝う年賀の動画としてご笑覧に供します。

垂直円網を完成直後に改めて張り直すワキグロサツマノミダマシ♀(蜘蛛)

 

2022年8月下旬・午後15:10〜15:23頃・晴れ 



ワキグロサツマノミダマシ♀(Neoscona melloteei)の造網作業を腹面から動画撮影した私は、背面の写真も撮ろうと用水路を渡って対岸へ行きました。 
驚いたことに、この間になぜかワキグロサツマノミダマシ♀はせっかく作ったばかりの網を張り直し始めました。 
造網性クモのそのような行動を今まで見たことがありません。 
網に下手に近づいた私がうっかり周囲の枠糸を切ってしまったという自覚はないのですが、最初の網の出来栄えが気に入らなかったのかな? 
破網の行動を見逃してしまったのが残念です。(網を壊しながら糸を食べてしまうのはあっという間なのでしょう。) 

今度は背面から造巣行動を動画で記録します。 
夏空を背景としたすっきり抜けたアングルなので、今回はカメラの自動焦点AFにお任せできます。 
せっかく腹背が美しい緑色なのに、逆光でクモの体のシルエットしか映りません。 
肝心のクモの糸や網がほとんど見えなくなりました。 
特に足場糸、縦糸が全く見えないのが致命的です。 
歩脚の動かし方で作業内容を想像するしかありません。 
放射状の縦糸は切らずに前回張った縦糸をそのまま再利用していました。 (再造網が早く終わったのは、そのためでしょう。)

網を張り直す際も一時的な足場糸をかけ直してから横糸を張るはずですが、この点が逆光でよく分かりませんでした。 
網を取り壊すついでに足場糸を張ったのだとすれば、無駄がなくて効率的です。
私が慌てて動画撮影を始めたときには既に粘着性のある横糸を張っていました。 
腹側から見て右回り(時計回り)で内側に向かって螺旋状に横糸を張っています。 
円網の外側の枠糸に雨の水滴が多数付着しています。
改めて横糸を張り終えると、中央部のこしきを丸く食い破りました。 
これも前回と同じ手順です。 
完成した垂直円網に下向きで占座し、網を歩脚で引き締めました。 
アングルを変更して横から狙うと、腹背の緑色および脇黒がよく見えるようになりました。 
ときどき網を歩脚で引き締めています。 

作り直した垂直円網のこしきから地面までの高さは約165cmでした。 
背後はスギ林(平地の防風林)で、網の下には用水路(幅140cm)が流れています。 
地面から深さ90cmに流水面があります。 
雨上がりのせいか、結構激しい流れでした。 
夕方から水路の上に集まる蚊柱や夜の林縁を飛ぶ蛾などを狙ってワキグロサツマノミダマシ♀はここに造網したのでしょう。

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