2022/06/15

ベニマシコ♂の地鳴き♪を声紋解析してみる(冬の野鳥)

 

2021年12月下旬・午後13:00頃・くもり

湿地帯に生えた落葉樹(おそらくハンノキまたは柳?)の梢にベニマシコ♂(Uragus sibiricus)が止まり、小声でフイッ、フイッ♪と繰り返し鳴いていました。 
忙しなく左右をキョロキョロ見回しながら鳴いています。 
最後はヒッ♪と鳴きながら急に左下へ飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
山形新聞社『やまがた野鳥図鑑』p167には「ベニマシコが飛び立つ時には「プルルッ」とやや大きい羽音を出す」と書いてあったのですが、今回撮れた映像で羽音は特に聞き取れませんでした。 

※ 動画編集時に逆光補正と音声の正規化を施しています。
逆光で曇り空を背景にほとんどシルエットしか写ってなかったのですが、逆光補正したらベニマシコの美しい紅色が見えるようになりました。

関連記事(5年前の撮影)▶ 倒木で鳴く♪ベニマシコ♂(冬の野鳥)

 

ベニマシコ♂の地鳴き♪を声紋解析してみる 

オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルとして抽出し、スペクトログラムを描いてみました。 
音声編集アプリAudacityを久しぶりに起動したら、最近アップデートしたのか使い勝手がなぜか変わっていて、冒頭の不要部分(カメラのズームインのノイズ)をカットできませんでした。



2022/06/14

初冬に雪面から飛んでも着陸に失敗して暴れるアキアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年12月上旬・午後12:15頃・晴れ 

山麓に少し積もった雪の上で赤トンボの群れが点々と休んでいました。 
初冬に雪が降ってもしばらくは生き残っているのです。 
よく晴れているので、ザラメ雪の上で日光浴しているのでしょう。 
根雪になる前の残雪から草がパッチ状に露出しているのに、赤トンボがわざわざ冷たい雪の上で休むのはなぜでしょう? 
雪面からの反射も利用して体温を効率的に温めているのかな?(雪焼け) 
雪上で翅を深く下げて休んでいる際も頭部をグリグリと動かして上空を油断なく見張っています。 

雪面からときどき自発的に飛び立つものの、低空で短い距離を弱々しく飛ぶだけで、日向の雪面に止まり直します。 
着陸直後の顔を正面から見ると口をモグモグさせているので、空中で何か小さな虫を捕食したのかもしれません。 
アキアカネSympetrum frequens)の♂が多く集まっているようなので、交尾相手の♀が飛来するのを待ち伏せしているのでしょうか? 

なぜか雪面への着地に失敗して、仰向けにひっくり返ったまま暴れている個体をよく見かけました。 
トンボは仰向けにひっくり返ると足が地面に届かないので、羽ばたく反動で起き上がるしかありません。 
手助けしてやらなくても、やがて自力で起き上がりました。 

雪面から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:25〜) 
低温でも飛翔筋はなんとか正常に羽ばたいて飛べるのに、足がかじかんで上手く着地できないのかな? 
飛び立ちよりもむしろ雪面への着陸シーンをハイスピード動画に撮りたいところですが、どこに着地するか予想できないのでは無理です。 

寿命が近い老化とか低温障害の症状(低体温症)と考えられますが、実際にどれぐらい寒いのでしょう?
撮影後に気温や雪面の温度を測って記録したフィールドノートを紛失してしまいました。 

晴れた日にザラメ雪の表面はトンボの複眼にはどう見えているのでしょうか? 
光を乱反射して、雪面までの遠近感が分からなくなって着地に失敗するのかもしれません。 
ある種のシャコやトンボにいたっては、数十種類のオプシンを持っているものがいます。彼らにはいったいどんな色が見えているのでしょうか。われわれには想像もつかないような極彩色の世界を見ているかもしれません。(松尾亮太『考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能』p57より引用)

きちんと数えた訳ではありませんが、ここで生き残っているアキアカネは♂ばかりで♀が少ない印象です。(圧倒的な嫁不足) 
着地に失敗した♀が雪面で暴れていても、周囲の♂が飛びかかって交尾を挑まないのは不思議です。 

雪面に止まった1匹の♀個体を手掴みで易々と捕獲することができました。 
胸部側面の黒条の先端が尖っているので、アキアカネ♀としっかり同定することが出来ました。 
以下の写真は全てアキアカネ♀。

2022/06/13

川面をジグザグに遡上するカワウ(冬の野鳥)

 

2021年12月中旬・午後12:40頃・くもり 

上流から飛来した1羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が、川面に着水しました。 
(映像はここから。) 
上流に向かって川面をすいすい遊泳しています。 
水面を見るとカワウの左右斜め後方に航跡が残ります。
私の方へどんどん向かって来ます。
この個体はジグザグに川面を遡上していることに気づきました。 
川の流れの抵抗を減らすためでしょうか? 
遡上しながら左右をキョロキョロと見ているので、おそらく両岸の倒木に集まって休んでいるはずの仲間を探しているのでしょう。 
実は数分前に私がズカズカと河畔林に踏み込んでカワウのコロニーに近づいたせいで、群れの全個体は怖がってどこかへ飛び去ってしまった後なのでした。 
河畔林が完全に落葉し、ススキなど枯れ草の茂みも雪で覆われてしまうと、川岸のカワウに気づかれずに忍び寄ることは不可能になります。
先程逃げた群れのうちの1羽が戻ってきたのか、新しい個体が飛来したのか、不明です。

両岸に仲間が1羽も居ないと気づくと急に心細くなったのか、川面を遡上していたカワウは突然下流へ向きを変え、下流へと飛び去りました。 
しつこくカメラを向けて撮影する私に気づいて警戒したのかもしれません。
せっかく止まり木や漁場を独占できるのに、結局この個体は潜水漁もしませんでした。 


カワウに独特な助走(両足を揃えて跳ぶ)からの離陸シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
ぐんぐん高度を上げると、長い倒木や両岸を結ぶ電線も飛び越え、河畔林の死角に消えました。 

 ※ 今回は動画編集時に手ブレ補正を施していません。 
背景が波立つ川面なので、副作用で酷く不自然な映像になるからです。

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