2021年10月下旬・午後14:00頃・くもり
里山の薄暗い雑木林でブーンと重低音の羽音が聞こえました。
羽音の主を探すと、飛来した蜂がミズナラの幹に止まりました。
オオスズメバチ♂(Vespa mandarinia japonica)です。
触角と腹部が長いので、雄蜂♂と判明。
長い触角の先端がカールしています。
私の鼻では樹液の発酵臭を嗅ぎ取れなかったものの、樹液を舐めに来たようです。
幹に下向きに止まって樹液をしばらく舐めてから上に向き直り、飛び去りました。
現場は水場の畔です。
約4分後にオオスズメバチ♂が再び飛来しました。
全く同じ樹液スポットに迷いなく戻って来て、先程と同じ下向き姿勢で吸汁を始めたことから、同一個体が再訪しに来たのでしょう。
腹式呼吸するだけで、一心不乱に樹液を吸汁しています。
背側からの撮影では肝心の口元が見えません。
大顎を動かしているようには見えませんし、オオスズメバチ♂が飛び去った後の樹皮に新しい噛み傷はありませんでした。
オオスズメバチ♀とは違って雄蜂♂は樹液の分泌を促すために樹皮を齧ることはないようです。
雄蜂♂は大顎の発達が悪くて非力だからでしょう。
やがて樹液の匂いを嗅ぎつけたのか、謎の昆虫が飛来しました。(@1:58)
オオスズメバチ♂の背後で一瞬ホバリングしただけで、樹液酒場には着陸しないで慌てて逃げて行きました。
スロー再生しても、飛来した虫はぼやけてしまい同定できませんでした。
なんとなく、クロスズメバチの仲間ではないかと思います。
オオスズメバチ♂は半開きにした翅を斜めに立てて震わせ、警戒姿勢になりました。
樹液酒場の占有行動というほどでもありませんが、オオスズメバチ♂の貫禄勝ちです。
警戒を解いたオオスズメバチ♂は樹液吸汁を再開。
ミズナラの樹液を長々と味わったオオスズメバチ♂は、最後に樹液酒場でウロウロと方向転換してからようやく飛び去りました。
このミズナラの木は一部黄葉しかけていました。
樹液酒場でオオスズメバチの雄蜂♂は初見かと思いきや、2回目でした。
関連記事(8年前の撮影)▶ オオスズメバチ♂がコナラで日光浴と樹液吸汁
余談ですが、6日前に全く同じミズナラの木で樹液を吸うオオスズメバチ♀を観察しています。
そのときも水場の岸に生えたミズナラの樹上から重低音の羽音が繰り返し聞こえ、蜂を発見できました。
この時はあまりにも薄暗く(夕方で光量不足)、手持ち夜景モードでも動画に記録できませんでした。
ストロボを焚いて証拠写真を撮ると、オオスズメバチ♀と判明。
その後、事件が勃発しました。
もう1匹の蜂が飛来すると、ミズナラ樹上で2匹が格闘になり、そのままもつれ合うように地面に落下。
1匹は飛んで樹上に戻り、もう1匹は飛び去りました。
動画に撮れなかったのが残念でなりません。
2匹ともオオスズメバチだったかどうか定かではありませんが、この樹液酒場はオオスズメバチ♀同士が戦って取り合う(占有行動)ほど樹液の量は豊富ではない気がします。
もしかすると雄蜂♂が♀に交尾を挑んで拒否されたのかもしれない、と想像しました。