2022/01/24

ミズナラの樹液を吸うオオスズメバチ雄蜂♂

 

2021年10月下旬・午後14:00頃・くもり 

里山の薄暗い雑木林でブーンと重低音の羽音が聞こえました。 
 羽音の主を探すと、飛来した蜂がミズナラの幹に止まりました。 
オオスズメバチ♂(Vespa mandarinia japonica)です。 
触角と腹部が長いので、雄蜂♂と判明。 
長い触角の先端がカールしています。 
私の鼻では樹液の発酵臭を嗅ぎ取れなかったものの、樹液を舐めに来たようです。 
幹に下向きに止まって樹液をしばらく舐めてから上に向き直り、飛び去りました。 
現場は水場の畔です。 

約4分後にオオスズメバチ♂が再び飛来しました。 
全く同じ樹液スポットに迷いなく戻って来て、先程と同じ下向き姿勢で吸汁を始めたことから、同一個体が再訪しに来たのでしょう。 
腹式呼吸するだけで、一心不乱に樹液を吸汁しています。 
背側からの撮影では肝心の口元が見えません。 
大顎を動かしているようには見えませんし、オオスズメバチ♂が飛び去った後の樹皮に新しい噛み傷はありませんでした。 
オオスズメバチ♀とは違って雄蜂♂は樹液の分泌を促すために樹皮を齧ることはないようです。 
雄蜂♂は大顎の発達が悪くて非力だからでしょう。 

やがて樹液の匂いを嗅ぎつけたのか、謎の昆虫が飛来しました。(@1:58) 
オオスズメバチ♂の背後で一瞬ホバリングしただけで、樹液酒場には着陸しないで慌てて逃げて行きました。 
スロー再生しても、飛来した虫はぼやけてしまい同定できませんでした。 
なんとなく、クロスズメバチの仲間ではないかと思います。 
オオスズメバチ♂は半開きにした翅を斜めに立てて震わせ、警戒姿勢になりました。 
樹液酒場の占有行動というほどでもありませんが、オオスズメバチ♂の貫禄勝ちです。
警戒を解いたオオスズメバチ♂は樹液吸汁を再開。 
ミズナラの樹液を長々と味わったオオスズメバチ♂は、最後に樹液酒場でウロウロと方向転換してからようやく飛び去りました。 
このミズナラの木は一部黄葉しかけていました。

 樹液酒場でオオスズメバチの雄蜂♂は初見かと思いきや、2回目でした。
関連記事(8年前の撮影)▶ オオスズメバチ♂がコナラで日光浴と樹液吸汁
2021年10月中旬

余談ですが、6日前に全く同じミズナラの木で樹液を吸うオオスズメバチ♀を観察しています。
そのときも水場の岸に生えたミズナラの樹上から重低音の羽音が繰り返し聞こえ、蜂を発見できました。
この時はあまりにも薄暗く(夕方で光量不足)、手持ち夜景モードでも動画に記録できませんでした。
ストロボを焚いて証拠写真を撮ると、オオスズメバチ♀と判明。

その後、事件が勃発しました。
もう1匹の蜂が飛来すると、ミズナラ樹上で2匹が格闘になり、そのままもつれ合うように地面に落下。
1匹は飛んで樹上に戻り、もう1匹は飛び去りました。
動画に撮れなかったのが残念でなりません。
2匹ともオオスズメバチだったかどうか定かではありませんが、この樹液酒場はオオスズメバチ♀同士が戦って取り合う(占有行動)ほど樹液の量は豊富ではない気がします。
もしかすると雄蜂♂が♀に交尾を挑んで拒否されたのかもしれない、と想像しました。

2022/01/23

樹上で相互毛繕いするニホンザル群れの喧嘩と仲直り

 

2021年10月中旬・午後14:10頃・くもり 

野生ニホンザルは暇さえあれば集まって互いに毛繕いしています。 

山道の法面から斜めに張り出したコナラ灌木の幹に若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)が腰掛けました。 
その後から成獣♀a(乳首の長い母親)がやって来て、子ザルaの背中を毛繕いし始めました。 
おそらく母子関係なのでしょう。 
子ザルaが幹の上で腹這いになり、気持ち良さそうに母親aから毛繕いを受けています。 
そこへ更に別個体の成獣♀b(乳首の長い母親)が合流し、♀aの背中を毛繕いし始めました。 
やがて子ザルaが起き上がって母親aにお返しの毛繕いを始めました。(相互毛繕い) 
周囲の斜面で遊んでいた子ザルが合流し、母親bの胸にしがみつきました。 
2組の母子がコナラの幹に並んで座り、相互毛繕いに耽っています。 
やがて幼い子ザルbが飽きて母親から少し離れ、独りで探検を開始。 

樹上で仲良く並んで毛繕いしていたのに、一番右の子ザルaが急に悲鳴を上げながらてコナラの幹を登って右へ逃げました。(@2:43) 
♀bになぜか叱られたようです。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、騒動の原因ははっきり分かりませんでした。(@3:00〜3:34) 
子ザル同士の小さな喧嘩に母親が介入し、幼い子ザルに代わって年長子ザルに報復したのでしょうか。(「うちの子に何すんのよ!」) 
よその子ザルに毛繕いしようとして嫌がられ、母親が制したのかな? 
我が子を守りたいママ友同士で大喧嘩(♀a VS ♀b)が始まるかと思いきや、すぐに戻って仲直りの毛繕いを再開。 
間に挟まれた子ザルbはケロッとして母親の毛皮に抱きついてます。 
その間、奥の雑木林の樹上で幼い子ザルが独り遊びしています。 

母親aの背中を毛繕いしていた子ザルaが急に離脱しました。 
上の灌木に飛び移り、山林を左へ遊動開始。 

私がこっそり林道を少し進んで撮影アングルを変更しても、コナラ樹上に残ったニホンザルは未だ毛繕いを続けています。
右下奥に独り遊びする子ザルの顔

タヌキ溜め糞の下に掘った巣穴の入口でセンチコガネが「頭隠して尻隠さず」

 

2021年10月中旬・午後12:40頃・くもり 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の林道上に残した溜め糞aが最近は使われなくなり、糞は黒く乾燥しました。 
溜め糞の下にセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が巣穴を掘ったようです。 
ところが、巣口に潜りかけて「頭隠して尻隠さず」の状態でじっとしています。 
小枝を使って糞虫をつつくと、素早く巣穴の奥に潜り込んで隠れました。 
巣穴は深いことが分かります。 

23分後。 
ほとぼりが冷めると、同一個体の糞虫が警戒を解いて、巣口に再び姿を現しました。 
♀ならトンネル(巣穴)の奥で糞を団子状に加工して産卵するはずです。 
巣口で「頭隠して尻隠さず」のセンチコガネは一体何をしているのでしょうか? 
なんとなく、♂が巣口を守っているのではないかと予想しました。(交尾後ガード?)

今度は逃げ場を塞ぐように小枝を素早く巣口に差し込み、糞虫をほじくり出しました。 
仰向けになったセンチコガネは腹面も金属光沢に輝いています。 
ひっくり返すと慌てて走り回り、すぐに落ち葉の下に潜り込もうとします。 
私がしつこく落ち葉をめくると、擬死状態になりました。 
採寸代わりに私の人差し指を並べて見せます。 
再び小枝でつつくと徘徊再開。 
最後は落ち葉の下に潜り込んで身を隠しました。 

不潔な糞虫を素手で直接触れるのは躊躇ってしまいました。 
ゴム手袋やビニール袋を持参すれば、手掴みで容易に捕獲できそうです。 
後日ネット検索するとセンチコガネの性別の見分け方が載っていました。
・両種(センチコガネ、オオセンチコガネ)共に頭部に光沢があるのが♂、比較的光沢がないのが♀。
・肢の脛節を側面から見て、下面に下向きの棘が1本あれば♂、なければ♀
来季は本格的に巣穴での生態を調べるつもりです。 
糞と一緒に持ち帰って、飼育してみようかな? 

薄暗い林道でストロボを焚いて写真に撮ると、巣穴の遠近感(深さ)がどうしても失われて平板に見えてしまいます。

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