2021/11/01

営巣木(八重桜)の樹洞入口を外皮で完全で塞いだモンスズメバチ【暗視映像】

前回の記事:▶ 八重桜の樹洞内の巣を夜に守り威嚇するモンスズメバチ♀【暗視映像】

2021年7月下旬・午前1:10頃・外気温24.9℃・湿度69% 

前回の定点観察から8日後。 
明るい昼間に観察しているとモンスズメバチVespa crabro)の巣の存在を誰かに知られてしまい、運が悪いと駆除依頼の通報をされてしまいます。 
「迫害されがちな肩身の狭いスズメバチ好き」は藪蛇にならないように、ひと気のない深夜にこっそり観察するはめになります。 
モンスズメバチは場合によって夜行性になるので、その確認のためでもあります。 
この日も蜂のコロニーは静まり返っていました。 
営巣木の周囲を飛び回る外役ワーカーの姿は無く、巣口で夜警する門衛は1匹も居ませんでした。 
全ての蜂が夜は巣内で寝ている(休んでいる)ようです。(このコロニーは非夜行性) 

モンスズメバチの巣に驚くほど大きな変化がありました。
幹の低い位置で縦長に開いていた樹洞の開口部全体が外皮状の皮膜で完全に塞がれていたのです。
この点は昨年のコロニーとは異なります。 
上下に2つあった出入り口を狭い巣口1つにしてしまえば、コロニーの防衛力は上がります。
スズメバチの造巣は女王バチが設計図を元に命令するのではなく、多数のワーカーがそれぞれ現場の判断で動く結果、自然に出来上がるのが不思議なところです。
今回の樹洞入口を塞ぐ行動も、コロニー内でどのような意思決定がなされ実現したのか、興味深いところです。
モンスズメバチ♀が突貫工事する様子を微速度撮影(タイムラプス)で記録できなかったのは残念でした。
樹洞入口が閉鎖された結果、従来のように樹洞内の巣の様子を暗視映像で録画できなくなってしまい、私としては困りました。 
今後はファイバースコープ(スネークカメラ)が必要になりそうです。 
樹洞入口を塞いだ皮膜を壊すとモンスズメバチのワーカー♀たちは急いで修復するでしょうか? 
好奇心で実験したいのはやまやまですが、万一それ以降モンスズメバチ♀が通行人に対して攻撃的になったら困るので諦めました。 
樹洞開口部を閉じた外皮の表面をワラジムシPorcellio scaber)が徘徊していました。 
パルプ製の外皮を食害するのでしょうか? 

地上約2mの位置で昔に切り落とされた枝の切り口が朽ちて広い樹洞の上端と繋がっています。
枝の古い切断面がメインの巣口になっていました。 
 この巣口周辺を閉じていた外皮状の皮膜が、この日はなぜか大きく破損していました。 
誰か(ヒトや野鳥、オオスズメバチなど)が巣を襲い破壊したのでしょうか? 
外敵に襲撃されてモンスズメバチが籠城しているのなら、夜も巣口を門衛が厳重に守っていそうなものです。 
巣内の温度調節や換気のためにモンスズメバチが自ら外皮を壊して巣口を広げた可能性も考えられます。 
巣口のすぐ近くを這い回っていたナメクジ(種名不詳)がひょっとして外皮を食害したのでしょうか? 
飼育下のナメクジは紙を食べるらしいので、パルプ状の外皮を食べても不思議ではありません。 
巣口周囲に残った外皮の表面をアリやワラジムシが徘徊していました。 
明るい昼間なら巣口に陣取るモンスズメバチ♀の門衛が侵入者を追い払うはずなのに、夜は寝静まっていました。 
穴の奥を覗いても真っ暗で、樹洞内の巣盤や蜂は全く見えませんでした。

つづく→

2021/10/31

水辺の獣道をパトロールするホンドタヌキの動画まとめ【トレイルカメラ】

 

2021年7月中旬〜8月上旬

湿地帯の周囲の獣道を利用する野生動物の活動を知るためにトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を設置したところ、最も多く登場した主役はホンドタヌキNyctereutes viverrinus)でした。 
タヌキの動画をまとめてみました。(初出しのシーンも含まれます。) 
1ヶ月以上調査した結果、計9日分の記録が撮れました。 
ただし、トレイルカメラで24時間監視する設定にはしていないので、記録漏れがあるかもしれません。 
夜行性のタヌキは明るい昼間に活動しないだろうと考え、バッテリーの消耗を抑えるために夕方から早朝までの時間帯に限定して監視するタイマーを設定しました。 
撮れた映像を見ると、確かにタヌキはまだ明るい薄暮の頃から活動を始めるようです。 
明るい真っ昼間にタヌキが活動することは絶対ないと言い切るには、24時間監視してみないといけません。 

進行方向は、左から右へ(→)が計5回、逆の右から左(←)が計9回でした。 
途中で引き返したのは両方にカウントしました。 

大雨が降るとここは氾濫原となり、獣道も泥だらけになったり、すっかり水浸しになったり(冠水)します。 
水が引くと道に残った泥が夏の日差しでカラカラに乾き、ひび割れた状態になります。 
路上に残されたアメリカザリガニの死骸をタヌキが拾って持ち去ったのが、このトレイルカメラ調査の白眉でした。
関連記事▶ 水辺の獣道でアメリカザリガニの死骸を持ち去るホンドタヌキ【トレイルカメラ】
カメラの前で立ち止まり、左後足で体を掻いてくれた役者のタヌキも愛嬌がありました。(@1:59) 

タヌキの性別判定も個体識別もできていませんが、2頭のタヌキが続けざまに通りかかったシーンが2回撮れたので(7/15および8/4)、少なくとも2頭のペアが生息していると分かりました。 
おそらく♀♂つがいではないかと予想しています。 

しばらく調査を続けると、画面の左右をまっすぐ通る獣道(元々は舗装された遊歩道)とは別に、左斜め奥へとヨシ原の茂みに潜り込む別な獣道もありそうだと気づきました。 
つまり現場は獣道のY字路になっていたのです。 
どうやらタヌキはヨシ原の奥から頻繁に登場するようです。 
後半にカメラのアングルを少し左に向けたところ、予想通り獣道の分岐点を捉えることが出来ました。(@2:46) 
ちなみに、一度だけ登場したハクビシンも吉原(ヨシ原の奥)に通っていました。
関連記事▶ 水辺の獣道をハクビシンが深夜徘徊【トレイルカメラ:暗視映像】
湿地帯の中を通る獣道に踏み込んで柳灌木林やヨシ原を掻き分けながらタヌキの足跡を追跡しようか、私は迷いました。 
タヌキの生態についてよく知らないのですけど、子育て中の巣穴が近くにありそうです。 
見てみたい気持ちもありつつ、不用意に踏み込んでタヌキの家族を怖がらせてしまって引っ越しされると元も子もありません。 
繁殖期が終わるまで今季はこのまま見守ることにしました。 
ところが台風の上陸で大雨が降り、川の増水で氾濫原が再び冠水してしまいました。 
せっかく面白くなってきたのに、これを最後にタヌキは獣道に来なくなってしまいました。 
泥の上の足跡も見かけなくなりました。 
なんとなく、タヌキたちは平地から山に避難したまま帰らなくなったのではないかと予想しています。 
やはり思いついたときに躊躇せずヨシ原の奥の足跡を辿ってみるべきだったと後悔しました。 

シーン1:7/12 ← 
シーン2:7/15 →→ 連続で2頭が登場。 
シーン3:7/17 →←(ザリガニの拾い食いでUターン)。←。時間を空けて2回登場(別個体?)。 
シーン4:7/19 ← 
シーン5:7/21 ← 
シーン6:7/26 ← 体掻き。ヨシ原奥の獣道入口に興味を示すも通り過ぎる(@2:04)。 
シーン7:8/04 →→ 連続で2頭が登場。 
シーン8:8/06 ← 
シーン9:8/08 ←← 時間を空けて同一個体が戻って来た?別個体? 


シリーズ完。 
トレイルカメラの使い方にだいぶ慣れてきたので、次はまた別な場所に仕掛けてみることにします。 

トレイルカメラの調査はすごく楽しいのですけど、使い捨て乾電池の消費が激しいので環境への負荷が心苦しくなります。 
試しにメーカー推奨のアルカリ乾電池からニッケル水素充電池に変えてみたところ、電圧が低いのか動画で記録してくれなくなりました。 
一時期、記録が全く途絶えたのはそのためです。 
ソーラーパネルで給電するエコなオプションも用意されているものの、絶対誰にも見つからない僻地に設置しない限り、機材の盗難が心配で導入に踏み切れません。 

キオビツチバチ♂がオトコエシに訪花吸蜜【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月中旬・午後16:35頃・くもり 

山麓の林縁に咲いたオトコエシの群落でキオビツチバチ♂(Scolia oculata)が訪花していました。 
雄蜂♂との組み合わせは初見です。
関連記事(9年前の撮影)▶  
キオビツチバチ♀がオトコエシに訪花吸蜜 
オトコエシに訪花吸蜜するキオビツチバチ♀を接写

初めは通常マクロモードで接写してみます。 
カメラを近づけてもキオビツチバチ♂は逃げずに吸蜜を続けました。 
次は少し離れてから望遠マクロで撮影。
蜂は花序をひたすら歩き回りながら花蜜を吸い、隣の花序へ少し飛んで移動します。 
長い腹部の下面を花に擦って歩くので、オトコエシの送粉者として働いているようです。 
ただし、腹部に毛はあまり生えておらず、効率的に授粉できないかもしれません。

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:55〜)

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