2021/03/08

捕食を試みるハクセキレイ♂(野鳥)をゴミムシが毒ガスで撃退

 

2020年5月中旬・午後13:45頃・くもり 

郊外の道端をハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が歩いています。 
すぐ横では、トウモロコシ畑で苗が育ち始めています。 
捕食するための虫を探しているのなら、畑の中に入って探索すれば良さそうに思うのですが、なぜか遠慮がちに畑の端っこに留まっていました。 
トコトコ歩きながらときどき小声で鳴いているものの、近くを走る車の騒音がうるさくて、あまり聞き取れません。 

急に飛び上がったハクセキレイ♂が空中で獲物をフライングキャッチしました。(@0:18) まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
その場ですぐ自分で捕食したので、雛のための採餌活動ではありません。 
残念ながら映像を見直しても、獲物の正体は分かりませんでした。 

次に畑の地面で目ざとく見つけた甲虫を嘴でつついたものの、なぜか仕留めずに見逃しました。(@1:00) 
ハクセキレイ♂は一度咥えた獲物を慌てて離して、頭を左右に激しく振っています。 
明らかに反撃を喰らって狼狽し、たじろいでいます。 
走り去った黒い甲虫は、なんとなくゴミムシの仲間のように見えます。 
おそらく、つつかれた瞬間に臭い汁や毒ガスを放出して、捕食を免れたのでしょう。 
自衛に成功したのでしょう。 

トウモロコシ畑から道端(側溝の暗渠)に戻った途端に土塊に躓いて転びかけた様子が、ハクセキレイ♂の動揺を物語っています。(@1:37) 
鳴きながら車道を小走りで横断すると、ガードレールの死角に消えました。 

命からがら逃げたゴミムシ?を同定したかったのですが、撮影中は一体何が起こったのか私には分かりませんでした。 
酷い目にあったこのハクセキレイ♂は学習して、もう二度と畑でゴミムシを捕食しようとしないでしょう。 
普通種のハクセキレイを通りすがりに何気なく撮っただけなのに、意外とすごく面白い対決シーンが撮れてしまいました。
やっぱり、とにかく何でも撮りまくることが大事ですね。


【追記】
ゴミムシの仲間は危険を感じると異臭を放って敵を遠ざける。(中略)ゴミムシの仲間が敵に捕まった際に放つ臭いの傾向は、分類群ごとに結構異なる。(中略)おおむね共通して言えるのは、心地よい香りでは決してないこと、そして一度臭い成分が手などにつくと、洗っても容易に落ちないことである。(p94〜96より引用)

毒ガス攻撃されたハクセキレイ♂が最後に向かった先には用水路があったので、もしかするとすぐに水浴びしたかったのかもしれませんね。


 


ベニバナボロギクの葉を食べるナシケンモン(蛾)終齢幼虫b

 

2020年10月下旬・午後14:40頃・くもり 

郊外の農道脇に咲いたベニバナボロギクの群落でナシケンモンViminia rumicis)の終齢幼虫を見つけました。 
葉の主脈に上向きにしがみつき、ゆっくり葉を蚕食しています。 
下の葉に黒い糞が2個落ちていました。 
新しい葉(食痕あり)に移動して食餌を始める際に、葉を咥えた(抱えた)ままグイーっと手前に引き寄せる行動をしました。 
楽な体勢で食事するためでしょう。 

ベニバナボロギクの赤い花が咲き終わった後にできた実から綿毛の種子が風で飛んでいました。 
ナシケンモン幼虫は、栄養価が高い実や種子を食べずに葉を食べているのが興味深く思いました。 
ベニバナボロギクは食害から種子を守るために、何か毒物を実に溜め込んでいるのかもしれません。 
ベニバナボロギクはキク科植物なので、幼虫の食べ痕から白い乳液(防御物質)が滲むかと期待したのですが、幼虫の口元をマクロレンズで接写しても何も出ていませんでした。 
幼虫は食前に乳液の分泌を抑えるためのトレンチ行動をしたのでしょうか? 
私も試しに手で隣のベニバナボロギクの茎や葉、花柄などを千切ってみたのですけど、微量の透明な液体が滲んだだけで、やはり白い乳液を分泌しませんでした。 
同じキク科でも乳液の有無は属によって違うのかもしれません。 
タンポポ(タンポポ属)やアキノノゲシ(アキノノゲシ属)には白い乳液を含み、ベニバナボロギク(ベニバナボロギク属)には無い? 

※ この時点でナシケンモン幼虫bは終齢で、しかも体内寄生されていたことが後に判明します。 

2021/03/07

オオイタドリと共生関係にあるクロヤマアリ♀がルリイロハラナガハナアブ♀を葉から追い払う

 

2020年8月上旬・午後14:50頃・晴れ
▼前回の記事 
オオイタドリの葉を舐め回すルリイロハラナガハナアブ♀の謎
オオイタドリの葉の表面に吹いている謎の白い粉(うどんこ病の菌糸・胞子?)をルリイロハラナガハナアブの一種♀※が舐めている横で、クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀がオオイタドリに訪花して吸蜜しています。 
※ おそらくナミルリイロハラナガハナアブXylota amamiensis)またはミヤマルリイロハラナガハナアブ(Xylota coquilletti) 

アリがルリイロハラナガハナアブの存在に気づくとその葉に下りてきて、アブを追い払おうと突進を繰り返しました。 
アリは視力が悪いはずなので、葉の振動でアブの居所を察知しているのでしょう。 
反射神経に優れるアブは、闘牛士のようにアリの攻撃を難なくかわして飛んで逃げ、隣の葉で平然と摂食を続けています。 
クロヤマアリ♀の攻撃を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

イタドリの仲間には花蜜だけでなく花外蜜腺もあり、アリがよく群がっています。 
オオイタドリを安定した食料源とみなしたアリは、植物を防衛するようになります。 
イタドリは蜜を報酬として植食性昆虫の食害から守ってもらうガードマンを雇ったことになります。 
つまり、アリとイタドリは共生関係にあります。 
ただし、アリは植食性昆虫を特に認識して撃退している訳ではなく、やって来た虫を無差別に追い払っているようです。 
今回の場合も、ルリイロハラナガハナアブ♀はオオイタドリの葉そのものを食害している訳ではありません。 
ルリイロハラナガハナアブ♀が葉の表面に発生したうどんこ病の白い菌糸・胞子をせっせと食べてくれているのなら、オオイタドリにとって益虫ということになりますから、追い払う必要はなかったのです。 (とばっちり)
もしかすると逆に、ルリイロハラナガハナアブがオオイタドリの葉を歩き回ることで、うどんこ病の感染拡大の一因になっているのかもしれません。
そんなことを言い出したら、歩き回るアリも同罪ですね。

 

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