2016/07/26

カラスに執拗な擬攻撃を受けるノスリ(野鳥):絶体絶命の空中戦で起死回生の秘策とは?



2016年6月上旬

今回のタイトルは大喜利のお題みたいですが、非常に興味深い映像が撮れました。

農村地帯の上空でカラスの群れが1羽の猛禽類を追い回していました。
カラスはモビング(擬攻撃)しながら鳴き騒いでいます。

必死で逃げている猛禽類の翼の下面を見るとノスリButeo japonicus)と判明。
一方、カラスの方はハシボソガラスとハシブトガラスのどちらなのか、遠過ぎて見分けられませんでした。
ちなみに、この辺りの優占種はハシボソガラスです。

モビングの最中に何か小さな物が一緒に写っています。
カラスが空中戦で毟り取ったノスリの羽根がひらひらと舞い落ちているでしょうか?
擬攻撃はあくまでも攻撃するふりだけの筈では?!
映像を見直すと、カラスと直接的な接触があった訳でもないのに突然、ノスリの羽が3枚抜け落ちて青空にパッと散りました。(@0:18)
ノスリが獲物を手放した可能性も検討しましたが、たぶん違うと思います。

2羽のカラスは勝ち誇ったように、落ちて行くノスリの羽根と空中で戯れ始めました。
これを見た私は、トカゲの尻尾切り(自切)を連想しました。
空中戦ということで、まるで現代の戦闘機が戦闘中に敵の目を逸らす欺瞞のため意図的にデコイフレアチャフなどを放出したようで、興味深く思いました。
犬猿の仲であるカラスの習性を熟知したノスリが咄嗟に尾羽根(?)を意図的に脱落させたのだとしたら非常に面白いのですが、おそらく空中戦で羽根の性能限界を超える無理な方向転換を繰り返したせいでしょう。

(直前にカラスの攻撃で羽根に直接ダメージを受けていた可能性もあります。)

そのまま2羽のカラスはモビングを止め、高圧線の鉄塔の方へ飛び去りました。
おそらく天敵の猛禽類から巣を守る防衛行動だったのでしょう。

その直後に別のカラスが単独でノスリへのモビングを始めました。
空高く帆翔・旋回するノスリは、行く先々でカラスに追われてるようです。

この空中戦でもあわや接触というタイミングでノスリが羽根を1枚放出しました。(@1:32;肝心の瞬間がピンぼけです)
しかし、今度のデコイ作戦はしつこいカラスに通用しませんでした。(カラスの気を逸らすには1枚の羽根では足りない?)


【追記】
YouTubeのコメント欄にてQuitLife氏より鋭い指摘を受けました。
I think the buzzard actually plucked those feathers from the crow.
スロー再生で何度も見直してみると、確かに直前の空中戦で接触した際に反転したノスリが足の爪で反撃しカラスの羽根を毟り取ったようにも見えました。
しばらく飛んでから掴んでいたカラスの羽根をノスリが意図的に放出したのでしょう。
このシナリオなら自然ですし、私も納得できます。
何かを掴んだまま飛んでいると変な空気抵抗を受けるので、危なくなったら手放すのかもしれません。


舞い落ちるノスリの羽根

濡れた路上で吸水するサカハチチョウ春型



2016年6月上旬

春型のサカハチチョウAraschnia burejana)が吸水していました。
場所は山道を登り始めた地点で、沢が流れこむため暗渠のすぐ横の路面がいつも濡れています。
午後の日光を浴び、翅を開閉しながら吸水しています。

翅が左右非対称に見えるのが気になりました(左>右)。
翅を広げる角度が左右違っているだけかと思いきや、前翅の翅頂が重なりません。
羽化不全個体だったり、もしかするとギナンドロモルフ(雌雄モザイク)だったりして…?
飛翔能力には影響ないようです。






2016/07/25

高圧線の鉄塔に営巣するハシボソガラス(野鳥)



2016年6月上旬

高圧線の鉄塔に営巣したハシボソガラスの定点観察#1


郊外に送電する高圧線の鉄塔a#21にハシボソガラスCorvus corone)が営巣していました。
鉄塔の上部に小枝を組み合わせて丸い座布団のような巣が作られています。
私が下からカメラを向けた途端に、カラスが巣から飛び去りました。

営巣段階がどのぐらい進んでいるのか、下から見ても全く分かりません。
造巣を始めたばかりなのか、抱卵中なのか、それとも既に雛鳥が孵っているのでしょうか?

親鳥はすぐに巣へ戻ってきました。(帰巣シーンは撮り損ね)
巣に座ってキョロキョロ辺りを見回している親鳥の細い嘴が見えたので、このとき初めてハシボソガラスと分かりました。
次に出巣したのは私が構えていたカメラを下ろした瞬間だったので、やはりかなり警戒しているようです。

電力会社にすぐ駆除されそうですが、定点観察に通ってみます。

実は高圧線を支える一つ隣の鉄塔bにも同様の巣を見つけたのですけど、使われている様子はありません。(写真は次回)
カラスの偽巣(dummy nest)なのかな?

『カラスは街の王様だ』p13によると、

ハシボソガラスの巣は落葉広葉樹やマツなどの明るい樹枝上に割と開放的に作られるのに対し、ハシブトガラスではクスなどの常緑広葉樹の樹冠部の茂みにひっそりと作られる傾向がある。(中略)巣の高さは、警戒心の強さを反映してか、一般にハシブトガラスの方が高い。

同書p143によると、

カラス類では、偽巣と呼ばれる、実際には使用しない巣を造ることがよくある。



【追記】

松原始『カラスの教科書』p48によると、
(ハシブトガラスおよびハシボソガラスの)両種ともに好きなのは高圧送電線の鉄塔だ。営巣場所などいくらでもありそうな場所でさえ送電鉄塔に営巣している場合があるから、「他になくて仕方なく」とも限らない。普通は巣が見えるのを嫌うハシブトガラスでさえも、だ。あからさまに、どこから見ても丸見えだと思うのだが、カラスの基準ではあれで「囲まれている」事になるのだろうか。高さがあれば、見えても巣が守れるからいいのか。



つづく→#2:親鳥が巣から雛の糞を捨てに行く



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