2014/02/10

網にかかったオオアオイトトンボ♀を捕帯でラッピングするイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2013年9月下旬

オオアオイトトンボを捕食するイシサワオニグモ♀:前編(捕帯によるラッピング)

里山の林道脇に立派な正常円網が張られており、中央の甑にイシサワオニグモAraneus ishisawai)♀成体が占座していました。
円網は厳密には垂直ではなく、やや斜めに傾いています。
周囲の環境は、ササの群落、ニセアカシア潅木、スギ幼木、クリの木など。
林道を挟んで反対側にはアカマツが生えていました。
円網の主な枠糸は倒木の枝に付けられており、右側の長い枠糸はニセアカシアの枝先に固定。

夕方で薄暗くなってきました。
近くで生け捕りにしたオオアオイトトンボ♀(Lestes temporalis
)を生き餌として、片側の翅を毟ってから網に給餌してみました。
網の右側に獲物を投げると、クモはすぐに駆けつけて、先ず噛み付きました。
次に大量の捕帯で獲物をラッピングし始めました。
毒液を注入されたトンボが初め少し暴れたものの、すぐに動かなくなりました。
梱包した獲物を円網に糸で固定してから、獲物の周囲にある粘着性の横糸を少しずつ歩脚で切っていきます。
再び獲物を捕帯でラッピングし直します。
梱包をくるくると回しながら、余計な横糸を歩脚の先で切ったり大顎で横糸を噛み切ったりします。
獲物は細長い腹部を折り曲げられてコンパクトになりました。
梱包作業を終えると右第4歩脚で獲物をぶら下げ、甑(こしき)に持ち帰りました。
甑の数カ所に獲物を固定すると、下向きに占座。
ようやく落ち着いたイシサワオニグモ♀は、糸が粘りついた歩脚の先を舐めて身繕い。
最後に獲物を口元に引き寄せると、食事開始。

つづく→後編(捕食シーンの早回し映像)


【追記】
『スパイダー・ウォーズ』p143によると、
梱包ラッピング:ヨコ糸を切断して餌を運ぶ前に行われるラッピング。チョウやトンボなどの大きな(または長い)餌は、梱包しないと途中で網にからまり、網を壊してしまいます。こんなことにならないように、クモは糸を巻きつけて餌を小さな固まりにし、梱包します。



ミズナラの樹液を吸うキアシナガバチ♀



2013年10月下旬

キアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)もミズナラの樹液酒場に来ていました。
この時期はワーカーだけでなく新女王の可能性もあります。
やけに色褪せた個体だなと思いました。
歩いて幹を移動すると、近くで吸汁していたヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)が威嚇するように翅を広げて蜂を追い払いました。(専有行動)
この一件から察するに、力関係ではヒオドシチョウ>キアシナガバチのようです。



2014/02/09

ミズナラの樹液を吸うヒオドシチョウ



2013年10月下旬

林道沿いに立ち並ぶミズナラの幹から滲み出す樹液が発酵して、辺りに濃密な芳香が漂っていました。
千客万来の樹液酒場で先ず目についたのはヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)でした。
翅を開閉しながら口吻を伸ばし白く固まった樹液を舐めています。


日光で翅が透けてしまい、ストロボを焚かないと翅裏の紋様がよく見えない。


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