2012年10月上旬
ツマグロオオヨコバイ(Bothrogonia ferruginea)が横這いで逃げる有名な(ありふれた)行動を長年動画に撮ろうとして、意外に苦労しました。
近づくとカメラを向ける間もなく警戒して葉裏に素早く回りこんでしまいます。
夏よりも少し気温が下がり虫の動きが鈍る秋が良いのかもしれません。
クズの葉で見つけたツマグロオオヨコバイを(複数個体)撮りながら葉の近くで手を振るとようやく念願の映像をものにできました。
映像の冒頭では、たまたま近くに居たカンタン♀がツマグロオオヨコバイの急な横歩きに驚いてビクッとしました。
慣れてくると、同一個体で繰り返し撮影できることが分かりました。
くるりと葉裏に隠れても虫の近くでシッシッと指を振り動かして葉表に誘導すれば何度も実験できます。
反復横飛びみたいな映像が撮れれば楽しいのですが。
ところでツマグロオオヨコバイは天敵対策としていつでも葉裏に隠れられるように葉の縁に近い所を選んで止まるのでしょうか?
野球で出塁した走者が牽制球に刺されないようにベースから離れる(リードする)距離を考えるように、ツマグロオオヨコバイも葉の縁からなるべく離れないように止まっている(リードしている)のかもしれません。
葉っぱの上のいるツマグロオオヨコバイの写真をひたすらたくさん撮り貯めて葉の縁からの距離を調べるだけでも面白いかもしれません。
葉の中央に止まってしまった場合(葉の縁から遠い場合)は、危険が迫るといきなり飛び立つのでしょうか?
次回はツマグロオオヨコバイが飛び立つシーンをハイスピード動画に撮りたいものです。
wikipediaによると、
(ヨコバイ類の)名前の元になった横にずれながら歩く行動は、人影などを感じて警戒した時に見られるもので、平面でこの行動をすると単に斜め前に歩いているように見えるが、植物の茎や葉にとまっている場合はそれらの裏側に隠れる行動となる。この「横這い」はヨコバイ類のみならず、アワフキムシやセミにも見られる行動で、さらに警戒感が高まると飛んで逃げて行く。
2012年9月下旬
オトコエシの花にキオビツチバチ(Scolia oculata)が蜜を吸いに来ていました。
今回はマクロレンズで接写してみます。
触角が短いので♀ですね。
アカスジツチバチとは異なりキオビツチバチは顔が黒いです。
花の上を歩き回るハチの体中が白い花粉にまみれており、花蜜と引き換えに花の受粉を助けていることが分かります。
2012年9月下旬
コンクリート電柱のネジ穴にミツバチが出入りしています(直径18mm、地上から高さ130cm、穴の方角は北向き)。
奥で営巣しているようですが、空洞になっているのでしょうか?
借坑性で単独生活を送るカリバチならともかく、社会性のミツバチがコロニー営巣できるほど広い空間があるのかな?
おそらくセイヨウミツバチではなくてニホンミツバチ(Apis cerana japonica)だと思うのですが、確認していません。
※ 後日、ニホンミツバチと判明。
帰巣するミツバチのワーカーを数匹のキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)が待ち伏せして代る代る襲っていました。
ニホンミツバチなら巣口で振身行動する歩哨・門衛のワーカーが居るはずなのに、この電柱には見当たりません。
スズメバチを巣内に誘き寄せてから集団で襲いかかり蒸し焼きにして殺そうという有名な籠城作戦なのでしょうか?※(追記を参照のこと。)
キイロスズメバチもその手には乗るまいと巣内には決して侵入しないのが興味深く思いました。(穴が狭くて入れない?)
ミツバチの決死の帰巣シーンやキイロスズメバチとの空中戦を220 fpsのハイスピード動画で撮影してみました。
キイロスズメバチは帰巣するミツバチのワーカーを迎撃すると本に書いてあったのですが(『ミツバチ学―ニホンミツバチの研究を通し科学することの楽しさを伝える』より)、
スローモーションで確認すると常に巣口を向いてホバリング飛行しています。
キイロスズメバチ同士の空中戦(小競り合い)も見られました。
ミツバチは次々に帰巣するだけで出巣する蜂が一匹も映っていません。
巣穴の横から通常のHD動画でも撮影してみました。
キイロスズメバチ♀がホバリングしながら巣口の縁に一瞬だけ掴まって覗き込むも、やはり侵入しません。
ミツバチのワーカーが間隙を突いて帰巣します。
スズメバチに空中戦を挑んで反撃することは決してありません。
ミツバチをしっかり同定できなかったことが心残りです。
生憎この日は捕虫網を持参していなかったのですけど、ありあわせのビニール袋などで採集すれば良かったですね。
2週間後に再訪するとコロニーは全滅したのか出入りするミツバチは皆無でした。
【追記】
『スズメバチの科学』p101によると、
ニホンミツバチは、セイヨウミツバチと異なり決して単独でオオスズメバチに立ち向かうことをしない。(中略)この引きこもり行動は、相手が単独捕食型のキイロスズメバチなどの場合には観察されず、ニホンミツバチは明らかにオオスズメバチと他種スズメバチとを識別している。
未だ一例だけですけど、今回の観察結果は本の記述とは違うかもしれません。