2022年7月下旬・午後17:10頃・くもり
物置小屋の軒下に作られたフタモンアシナガバチの巣がどうなったのか4日後に様子を見に行くと、コロニーは全滅しており、フタモンアシナガバチ創設女王は巣を見捨てて(廃巣)どこかに逃去していました。
前回の記事:▶ フタモンアシナガバチの巣を襲い老熟幼虫を捕食するヒメスズメバチ♀
軒下にずらりと並ぶ古巣の間に混じってセグロアシナガバチ(Polistes jokahamae)のコロニーを見つけました。
ヒメスズメバチに襲われたフタモンアシナガバチの巣のある区画から右に2つ離れた区画で、前回は見落としていました。
巣盤の天井部が黒光りしているのは、タール状のアリ避け物質(+防水性)を塗布したからです。
アシナガバチは古巣にそのまま引っ越してきたり、古巣の素材を再利用したりすることはありません。
ドロバチやクモバチとは異なり、必ず新しい巣材を使って一から造巣します。
古巣には寄生蛾の幼虫が潜んでいたり、巣材が劣化していたりするからでしょう。
その結果、寄生蛾に食い荒らされない限り、古巣は何年もその場に残ることになります。
キアシナガバチの多い当地でセグロアシナガバチの巣は珍しいので、嬉しい発見でした。
この巣がヒメスズメバチに襲われなかったのは、たまたま発見を免れたのか、それともフタモンアシナガバチの巣よりも防衛力が高かった(手強かった)からでしょうか?
在巣の蜂の中に見慣れない個体が混じっています。
寄生蜂が来ているのか?と思って動画に撮り始めました。
よくよく見ると、セグロアシナガバチの雄蜂♂でした。
(在巣の蜂は、見えている範囲で♀2♂2)
セグロアシナガバチ♂は初見ですが、胸背が黒く煤けたような体色です。
「セグロ」アシナガバチって、そういう意味なのかな?
てっきり、「前伸腹節に黄紋が無くて黒色」というマニアックな識別点を表しているのだと思っていました。
♂は顔の頭楯が白く、触角の先端がややカールしています。
♂の腹端は丸みを帯びています。(毒針を持つ♀の腹端は尖っている。)
ワーカー♀よりも大型なのは意外でした。
というよりも逆に、小型で生まれたワーカー♀が留守番を務めているのでしょう。
それほど大きな巣ではありませんが、新女王の羽化に先立って、雄蜂♂が早くも羽化していたようです。 (雄性先熟)
在巣の成虫が育房内に頭を深く突っ込んでいる行動は、点検するついでに「栄養交換」と言って、幼虫が吐き戻す液体(流動食)を吸汁しているのです。
アシナガバチは成虫になると固形物を飲み込めなくなるので、幼虫に栄養交換してもらう必要があります。
一方で幼虫にはイモムシなどの獲物を丸めた肉団子(固形物)を給餌します。
巣上で小型の♀が大型の♂を邪険に追い立てたのが、興味深く思いました。
力関係は体格に関わらず♀>♂のようです。(コロニー内の優劣行動)
他に、成虫は身繕い(化粧)していました。
0 件のコメント:
コメントを投稿