2022年7月下旬・午前9:45頃・晴れ
民家の物置小屋の軒下に作られたアシナガバチの巣をヒメスズメバチ(Vespa ducalis pulchra)のワーカー♀が襲撃していました。
木造の軒下からアシナガバチの巣柄が横向き(南向き)に伸びていて、六角形の育房がほぼ水平に作られています。
巣盤の中央部には白い繭キャップで蓋をされた育房が見えます。
ヒメスズメバチ♀は巣盤の外縁部の育房から丸々と太った老熟幼虫を引きずり出すと、その場で噛みほぐして体液を吸汁しました。
他種のスズメバチ類とは異なり、ヒメスズメバチは獲物で肉団子を作りません。
食べかけの獲物を惜しげもなく捨ててしまいます。
もう満腹になったのか、ヒメスズメバチ♀は巣盤を触角で調べてから、飛び去りました。
自分の巣に帰って獲物の体液を吐き戻し、幼虫に給餌するのです。
入れ替わりでフタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が帰巣しました。
関連記事(3年前の撮影@今回の現場の近所)▶ フタモンアシナガバチの初期巣を襲うヒメスズメバチ♀
巣盤の被害状況を検分するでもなく、呆然としています。
アシナガバチはヒメスズメバチに反撃しても勝ち目がありませんから、巣の主は一時退散していたのです。 (三十六計逃げるに如かず、逃げるが勝ち)
ちなみに、ヒメスズメバチがアシナガバチの成虫を襲って捕食することはありません。
コロニーを全滅させてしまうと、獲物がいなくなってしまうからです。
戻った個体はワーカー♀ではなく、創設女王と思われます。
残った育房の状況を写真に撮って調べると、この初期巣からワーカー♀は未だ羽化していない可能性が高いです。
巣内に獲物が未だたくさん残っているのに、しばらく待っても同一個体のヒメスズメバチ♀が再襲撃に戻って来なかったのは意外でした。
その巣盤にもヒメスズメバチ♀に噛みちぎられて全滅した形跡がありました。
襲撃を受けた後にフタモンアシナガバチ創設女王が右隣に新しく巣を再建したのかな?
造巣の向きが互いに90°違うので、二巣並行営巣ではないはずです。
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