アカタテハの飼育記録#1
2020年10月中旬・午後15:55頃・晴れ
刈田の農道沿いに自生するカラムシの群落で葉がイモムシに食い荒らされてほとんど丸坊主になっていました。
私のフィールドで同じイラクサ科のアカソはよく見かけるものの、カラムシは珍しいので、じっくり群落を調べてみました。
食べかけの葉を緩く巻いて作った巣(隠れ家)の中にアカタテハ(Vanessa indica)の垂蛹が隠れていました。
カラムシの葉を軽く丸めただけの蛹室で、横の穴から覗くと中の蛹が丸見えでした。
私が巣を持って向きを変えたり開いたりしても中の垂蛹は暴れませんでした。
絹糸で綴られた葉巻をそっと開けてみると、アカタテハ垂蛹の腹端がカラムシ葉裏の主脈に白い絹糸で厳重に固定してありました。
食べかけの葉で巣を作ったとは限らず、巣が完成してから別個体のイモムシが半分食べてしまった可能性も考えられますね。
新開孝『虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣』によると、
カラムシの葉の裏側は白い。その裏側を表にして縦に折り、袋状になったものがよく見つかる。これはアカタテハの幼虫の巣で、折り畳まれた葉をそっと開くと、中に幼虫が潜んでいる。(p26より引用)蛹室も幼虫の巣と同じ構造だと写真付きで書かれています。
しかし今回私が見つけた蛹室は、カラムシの葉の白っぽい裏面を表側にしていませんでした。
むしろその方が天敵に対して巣が目立たないので良さそうです。
たまたまの個体差なのか、地域によって造巣習性が違うのか、一例だけでは分かりません。
これからも注意してアカタテハの巣を探していこうと思います。
アカタテハは成虫で越冬するので、秋のうちに羽化するはずです。
巣ごと蛹を持ち帰り、飼育することにしました。
成虫の羽化が楽しみです。
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