2019/07/04

マメドクガ(蛾)幼虫は毛束を失っても脱皮で再生する



マメドクガの飼育記録#11


2019年4月下旬〜5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の幼虫bを野外で採集してきたときから一部の毛束に欠損がありました。
頭楯の左右両側から前方に真っ直ぐ生えているはずの長くて黒い毛束が、どういう訳か右側だけ根本から無いのです。
原因は不明ですが、前回の脱皮の際に抜け殻から毛束を引き抜くのに失敗して千切れてしまった可能性もありそうです。
終齢幼虫に脱皮した後、下に落ちていた仮面のような頭楯の抜け殻を見ると、亜終齢では毛束が左右非対称であったことが明らかです。
しかし脱皮した終齢幼虫では、毛束が左右対称に回復していました。
再生した右の毛束は、左の毛束と比べても長さに遜色はありません。
右の毛束の先端がやや折れ曲がっているのは、脱皮直後で毛が未だしっかり伸びていないからでしょう。

事故(怪我)や発生の異常(奇形)などで脚や触角など体の一部が失われても、脱皮の際に再生するのは節足動物でよく見られる現象です。
マメドクガ幼虫にとってこの毛束は、アンテナ(触角)代わりに重要な働きをしているのかもしれませんね。
しかし右側の毛束が無くても、徘徊、食餌などの行動にあまり支障は無さそうでした。
もし両方の毛束を切り落としてしまったら、幼虫の探索行動に異常を来すのでしょうか?
天敵のヤドリバエや寄生蜂が産卵を試みても着陸しにくいように、毛虫は体の周囲にバリアのように長い毛を生やしているのかもしれません。
オサムシなどの捕食者に食べられないための防御になっているという説もあります。

ちなみに、脱皮直後にノギスで採寸した幼虫の体長は18mmで、脱皮前からほとんど成長していませんでした。
逆に2mmほど縮んでいました。
しかし食事を再開すると、どんどん成長します。


つづく→#12:桜の花後の子房を食べるマメドクガ(蛾)終齢幼虫


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b:毛束再生@容器壁面+脱皮直後
マメドクガ(蛾)亜終齢♂b:頭楯の脱皮殻

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