2013年8月中旬
前回の記事はこちら→「ササコナフキツノアブラムシを捕食するゴイシシジミ幼虫」
真社会性昆虫であるササコナフキツノアブラムシ(Ceratovacuna japonica)には小型ながらもコロニー防衛を専門とする兵隊カーストがいます。
(アブラムシにとって)天敵であるゴイシシジミ(Taraka hamada)幼虫に立ち向かうシーンをまとめてみました。
捕食中のゴイシシジミ老熟幼虫の体表をたまにアブラムシが歩き回っていることがありました。
それに対してゴイシシジミ幼虫が身を反らせているため、アブラムシがたまたま徘徊しているだけではなさそうです。
とても小さいので、アブラムシが天敵に口吻や角を突き刺しているかどうか確認できませんでした(上手く接写できませんでした)。
ゴイシシジミ幼虫と接触したアブラムシが腹端を持ち上げ、透明な液体を腹端から分泌することがあります。(※追記2参照)
これは兵隊カーストを召集する警報フェロモンなのでしょうか?
小型の兵隊アブラムシが絶望的な特攻を散発的に繰り返すだけではゴイシシジミ幼虫を撃退するには至らず、素人目には有効な抑止力になっていない印象です。
戦力を小出しにする逐次投入は最悪の愚策というのが兵法の常識です。
それでも生殖虫の損失さえ抑えられれば兵隊アブラムシの目的は果たしたことになるのでしょう。(利他的行動)
ササコナフキツノアブラムシのコロニーはクローンだし、健気な兵隊アブラムシはなんだか病原菌に立ち向かう白血球みたいだなーと思いました。
ゴイシシジミ幼虫が身に纏っている白い粉はアブラムシ由来のワックスらしく※、
※ 『里山蝶ガイドブック』p50によると、
ゴイシシジミ終齢幼虫はアブラムシの白いワックスを、自分の体に擦りつける行動が見られる。
参考サイト:ササコナフキツノアブラムシとゴイシシジミ(@ひむか昆虫記)
つづく→「アリとアブラムシ、ゴイシシジミ幼虫の関係」
【追記】
野外で見られる特殊化した捕食者は、長いあいだにアブラムシの攻撃に対して対抗策を進化させていることが多く、実際に攻撃の現場を観察することはむずかしい。むしろ、ふつうならアブラムシのコロニーを訪れることがない、いも虫状の幼虫を置いてやれば、たちまち多くの兵隊がたくましい前脚で組み付くのが見られるだろう。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p146より)
※【追記2】
アブラムシの体の構造について私は勉強不足だったのですが、谷口達雄『アブラムシ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』という本を読んだらp19に詳細な模式図が掲載されていて体の各部位の名前を知ることが出来ました。
以前はこの「オシッコ」はアブラムシの下腹部から出ている角状管というものから排泄されていると考えられていましたが、現在はお尻の尾片から排泄され、角状管は別の機能を果たしていることがわかっています。(p40より引用)尾片と角状管がそれぞれアブラムシのどこを指しているのかも、ようやく分かるようになりました。
兵隊アブラムシの頭部には角がある。 |
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