2025/03/22

雪解け水の溜まった早春の田んぼで獲物を捕り歩くダイサギ(野鳥)

 

2024年3月中旬・午後14:35頃・晴れ 

平地の田園地帯で、積もっていた雪がほとんど溶けました。 
畦道の日陰になった縁などに、最後の残雪がわずかにあるだけです。 
稲刈り後の田んぼは基本的に水を抜いたままの乾田ですが、早春の時期は雪解け水が田んぼのあちこちに溜まっています。 
そこで1羽のダイサギArdea alba)が餌を探し歩いていました。 
この季節に撮ったのは初めてです。 

何か細長い物を素早く咥えましたが、ドジョウやミミズではなく、ただの枯れ茎を獲物と間違えたようです。 
すぐに首を振ってゴミを吐き捨てました。 
一度は飲み込もうとしたものの、喉に引っかかって異物を吐き出したようです。 

大股で田んぼを闊歩し、狙いを定めて長い嘴を泥水の中に突き刺すと、今度は狩りに成功しました。 
小さな獲物(小魚?)を丸呑みします。 
次はその場でガクガクと足踏みして地面に振動を与え、隠れている獲物を追い出そうとしています。 
その作戦もうまく行き、獲物を捕りました。
捕食シーンを1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:45〜)

手前の畦道が邪魔でよく見えませんが、ダイサギの下面に水面の反射が写っていることから、田んぼに雪解け水が溜まっているようです。 
強い春風が吹くと、ダイサギの羽毛がなびきました。 
警戒すると首を長く伸ばして周囲を見渡します。 

ダイサギが田んぼの奥へ奥へとどんどん歩き去ってしまうのは、しつこくカメラを向ける私を警戒しているのでしょう。 
道端の電柱の陰から隠し撮りをしたつもりでしたが、警戒心の強いダイサギにはお見通しだったようです。

ホンドギツネが何度も来て覗き込む巣穴の奥には死骸が埋まっている?【トレイルカメラ】

 



2024年4月上旬 

平地の二次林で、死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)を自動撮影カメラで監視し続けています。 
早春に登場したホンドギツネVulpes vulpes japonica)のシーンをまとめました。 


シーン1:4/7・午前8:11・晴れ・気温18℃(@0:00〜) 
(朝日を直接浴びてカメラが熱せられ、実際の気温よりも高く表示されています。) 
尻尾の毛並みが立派な個体(疥癬に感染していない健常個体フサ尾)が手前から来たようです。 
冬毛から夏毛に生え変わり始まる時期らしいのですが、キツネ観察歴の浅い私にはまだ見分けられません。 
ホンドギツネは及び腰で巣口Lを頻りに覗き込んだものの、巣穴Lの中には入らず、左に立ち去りました。 


シーン2:4/7・午前8:11・晴れ・気温14℃(@0:40〜) 
別アングルで設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
(このカメラは朝日に背を向けて設置したので、こちらの気温データが正しいはずです。) 
キツネは隣の巣口Rにも興味を示したものの、タヌキの強い匂いがするのか、遠慮して中には入りませんでした。 
タヌキの縄張り宣言に対抗して周囲に排尿マーキングすることもなく、右に立ち去りました。 


シーン3:4/7・午後16:51・晴れ・気温24℃(@1:08〜) 
8時間40分後の夕方に、同一個体らしきキツネが再び現れました。 
左から来てアクセストレンチから巣口Lを見下ろしながら、匂いを嗅いでいます。 
獣道を右上奥へ立ち去りました。 
足音を立てないように、慎重な足取りでした(忍び足)。 


【考察】 
キツネが昼間に現れたのは珍しい気がします。 
1年前も営巣地を探索するキツネがアナグマの営巣地(セット)に来ていました。 
関連記事(同所で1年前の撮影)▶  
登場時刻はほとんど薄明薄暮でした。 しかし、明るい昼間は監視カメラを節電のためにスリープさせているので、もしキツネが来ていても記録されません。 実際は日中もキツネが通ってきている可能性があります。(基本的に夜行性だと思うのですが…。) 


下半身の麻痺した「いざりタヌキ」が巣穴Lの奥で餓死しているのではないか?と私は疑っています。 
(しかし発掘しない限り、死骸の有無を私には確かめようがありません。)
その死臭をキツネが嗅ぎつけたのでしょうか? 
キツネは新鮮な死骸なら食べるらしいのですが、腐敗の進んだ死骸を忌避するのだそうです。
キツネは繁殖期に備えて、自分の営巣地に適した巣穴を探しているのかもしれません。
しかし、アナグマとタヌキが続けざまに死んだ曰く付きの事故物件の巣穴はキツネも嫌でしょう。



夏ならアナグマの巣口Lでキイロコウカアブやハエの群れがブンブン飛び回っているはずですが、撮影日はまだ気温の低い早春なので、ハエも来ていません。 



2025/03/21

早春のミズキから滴るオレンジ色の樹液に集まり吸汁するケシキスイの仲間

 

2024年4月上旬・午後13:30頃・晴れ 

細い用水路沿いにそびえ立つ落葉性高木の幹から鮮やかなオレンジ色の樹液が大量に滲み出していて、早春の二次林で非常に目立っていました。 
幹の数カ所の傷口から樹液が垂れ落ちながら、発酵してブクブクと泡立っています。 
樹冠を見上げると、枝先の冬芽から少しだけ若葉が芽吹き始めていました。 
樹種はおそらくミズキと思われます。 

カメラを上から下にパンしながらゲル状になった橙色の樹液を動画に撮っていると、ケシキスイの仲間(ケシキスイムシ科)と思われる微小な甲虫が計3匹写っていました。 
同定のために採集したかったのですけど、幹の高い位置だったので、手が届きませんでした。
図鑑『くらべてわかる甲虫1062種』に掲載された写真p80と見比べると、素人目にはホソコゲチャセマルケシキスイ(Amphicrossus hisamatsui)またはナガコゲチャケシキスイ(Amphicrossus lewisi)が似ていると思うのですが、どうでしょうか?
例えばホソコゲチャセマルケシキスイは、「6〜8月クヌギやコナラの樹液に集まる。いつも樹液に浸かっている」と記されていました。

余談ですが、昆虫分類学でNitidulidaeに対応する和訳としてケシキスイ科とケシキスイムシ科の両方が使われているらしく、依然として統一されていないようです。
和名ならともかく科レベルで表記の揺れがあるのでは、情報の検索や比較に支障をきたして困りますね。

ケシキスイの他には薄い翅を持つ黒っぽいハチ?ハエ?の仲間も動画にチラッと写っていたのですが、撮影中の私はまったく気づかずにスルーしてしまいました。 

「オレンジ色の樹液」でネット検索すると、ミズキの樹液がヒットしました。 
もともとミズキの樹液は無色透明でさらさらした液体なのですが、早春の時期にはよくオレンジ色になるそうです。
Perplexity AIに解説してもらいました。(細かい点で間違いがあるかもしれませんので、お気づきの方はご指摘ください。)

ミズキの樹液が透明からオレンジ色に変化する現象は、微生物の活動と環境条件の相互作用によって起こります。主な要因を以下のように整理できます:

色変化のメカニズム

  1. 酵母菌の初期繁殖
    ミズキの樹液は春先に糖分を多く含み、透明でサラサラした状態で分泌されます。これにファフィア酵母(Phaffia rhodozyma)が付着し、オレンジ色の色素(アスタキサンチン)を生成します。この段階で樹液は白濁し始めます57

  2. カビの二次繁殖
    酵母が樹液の糖分を消費すると、フザリウム属のカビ(Fusarium aquaeductuumなど)が優占種に変化。このカビは赤~オレンジ色の色素を産生し、樹液を濃いオレンジ色に変えます14

  3. 微生物の共生関係
    酵母とカビは樹液内で「スライム・フラックス」と呼ばれるコロニーを形成。触るとプニプニしたゲル状になり、表面にヒダ状の構造が発達します23

色変化の条件

条件影響
糖分濃度ミズキの樹液は糖分が多く(特に春)、微生物の繁殖に最適
温度15-25℃の温暖な気候で活発に繁殖(春先に多く観察)24
酸素量樹液が滴り落ちる際に空気に触れ、好気性微生物が活性化
時間経過分泌後2-3日で酵母が繁殖→1週間程度でカビが優占種に16
物理的損傷剪定や虫食いによる傷口から樹液が持続的に分泌される必要あり38

色の持続性

オレンジ色は一時的な現象で、樹液の分泌が止まると干からびて黒っぽく変化します1。また、湿度が低い環境では色素生成が抑制され、色変化が起こりにくくなります4

生物学的意義

この現象は、樹木の傷口を微生物で覆うことで病原菌の侵入を防ぐ「生物学的防御機構」と推測されています8。オレンジ色の樹液はケシキスイなどの昆虫を誘引し、彼らが樹液に集まることで微生物の拡散を助ける共生関係も存在します24



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