2022年9月中旬・午前
里山のスギ林道にある溜め糞場sを監視する自動センサーカメラに2日連続で鳥の親子が写っていました。
シーン1:9/15・午前11:03・気温23℃・晴れ
カメラが起動したときには、2羽の地味な鳥が林道上に降り立っていました。
これはシロハラ(Turdus pallidus)ですかね?
自信がないので、もし間違っていたらご指摘ください。(※追記参照)
1羽がスギの落ち葉が敷き詰められた林道をピョンピョン跳んでスギ大木の根元に素早く移動すると、苔むした幹から何か虫を捕食しました。
そして後ろで待っていた個体に、口移しで給餌しました。
どうやら親鳥から幼鳥への巣外給餌のようです。
♀♂番 間の求愛給餌という可能性もありますが、「シロハラの求愛給餌」でネット検索しても過去の報告が何もヒットしませんでした。
親鳥が次の獲物を探しに行った間、幼鳥は見様見真似でスギの苔むした幹を啄みました。
自力で餌を取る練習をしているようです。
シロハラ幼鳥への給餌だとすると、色々と気になる点があります。
まず、他の種類ではよく見られるような、幼鳥が翼を半開きにして震わせる餌乞い行動をしませんでした。
また、空腹の幼鳥が餌を催促する騒々しい鳴き声♪も聞き取れませんでした。
親鳥が虫取りしている間、幼鳥は近くでおとなしく待っているだけのように初めは見えました。
映像を何度も見直すと、まるで鈴虫など直翅目のような澄んだ鳴き声が何度も繰り返し聞こえることに気づきました。
謎の鳴き声を文字で表すのは難しいのですが、高音のジュリリリ…♪を早口にしたような澄んだ声です。
こんな鳴き方をする鳥を私は知りません。
映像を何度も見返すと、幼鳥が嘴を開けたときにこの謎の鳴き声が聞こえました。
ということは、幼鳥が親鳥に対して餌乞いするために発している鳴き声ということになります。
ただし、リップシンクロが毎回一致するとは限らず、画面の外で別個体が鳴いているのか、あるいは腹話術のように嘴をあまり開かなくても発音できるようです。
さえずりや地鳴きなど鳥の鳴き声をまとめた図鑑で調べても、シロハラ幼鳥の餌乞いの鳴き声について情報は何も得られませんでした。
シーン2:9/16・午前5:54(日の出時刻は午前5.18)・気温17℃ (@1:00〜)
翌日には早朝にまた現れました。
前日と同じシロハラの親子なのかな?
画面中央の林道上(タヌキの溜め糞の少し右)で親鳥が虫を捕らえました。
親鳥の後ろから幼鳥がピョンピョン跳ぶように(ホッピング)追いかけて来ました。
親鳥は一旦タヌキの溜め糞場を通り過ぎました。
シロハラ親鳥は振り返ってから幼鳥の元に駆け寄り、口移しで巣外給餌しました。
画角の外に消えた親鳥の後を追って、シロハラ幼鳥も手前の死角へ移動しました。
今回もシロハラの幼鳥は典型的な餌乞い行動をやりませんでした。
幼鳥の嘴の動きをよく見ると、親鳥を呼び寄せるために小声で一声鳴いたようです。
前日に聞いたのと同じ、虫の音っぽい鳴き方♪でした。
幼鳥が森の中で天敵(捕食者)に襲われないように、このように進化したのだと予想できます。
こういう場合、鳥が鳴き声を虫に似せている(音声擬態の一種)、と言って良いのでしょうか?
シロハラは巣立ち前の雛鳥も独特な餌乞いをするのかどうか、知りたいところです。
鳥の餌乞い行動の比較行動進化学も面白そうです。
シロハラの採餌行動と言えば嘴で落ち葉をめくって虫を探す行動が有名ですが、そんな苦労をしなくても虫を捕食していました。
溜め糞に群がる糞虫などを直接狙って効率よく捕食すれば良いと思うのですが、糞虫は糞塊の下に潜り込んで身を隠していたのかもしれません。
それとも不潔な糞虫は不味くてシロハラは嫌いなのかな?
余談ですが、最後に黒っぽい謎の鳥が素早く飛んで画面を右上から左下へ横切りました。
スロー再生しても、黒い鳥の正体は不明です。
このとき缶ジュースのプルタブを開けるような音が聞こえました。
その前には、電子機器のボタンを押したときの効果音のようなノイズが聞こえました。
これも鳥の物真似だとしたら、非常に気になります!
山奥なのにこういう人工的な鳴き真似をするのはカケスかな?
まさかトレイルカメラの近くに誰か登山客が来ていたのか?と疑いたくなります。
※ 謎の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げつつ、トレイルカメラ自体が発する内部ノイズを除去しました。
※【追記】
冬鳥のシロハラを9月に見たのはちょっと変(早過ぎ)ですね。
夏の東北地方で繁殖したことになってしまいます。
やはり誤同定かも?
虫のように鳴く鳥と言えば、夏鳥のヤブサメ♂がシシシシ…♪とさえずるのを思い出しました。