2022年9月上旬・午後20:00頃・気温21℃
里山の杉林道にある溜め糞場sを監視カメラで見張っていると、ある晩にホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が右からやって来ました。 この個体は「フサ尾」です。
痩せて見えるのは夏毛だからか、それとも若い個体なのか、観察歴の浅い私にはよく分かりません。
ニホンアナグマ(Meles anakuma)が残した溜め糞の周囲で立ち止まるとスギ落ち葉の匂いを嗅ぎ、何か虫を捕食しました! 残念ながら獲物の正体は不明ですが、おそらく夜行性の糞虫の一種でしょう。
その場でムシャムシャと平らげ、頻りに首を振っています。
もしかすると、餌食となった虫が毒ガス(最後っ屁)を放出したのかな?
だとすると、糞虫ではなくオサムシやゴミムシの仲間かもしれません。
それとも食べた糞虫がシンプルに臭くて不味かったのでしょうか。
捕食シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
虫を食べた後のタヌキが急にスギ大木の根元に生えた下草に向かって駆け寄りました。
なんとなく、振る舞いが幼獣のような気がします。
飛び回る夜蛾?を追いかけたのかもしれませんが、映像にターゲットの昆虫は写っていません。
その狩りは失敗したようです。
暗闇でタヌキはどのぐらい目が見えているのでしょうか?
この日の月齢は満月ではなく上弦の月です。
(月齢7.8、月の出は午後13:19、月の入りは午後22:37)
昼間でも薄暗い鬱蒼としたスギ林の林床に充分な月明かりが差し込んでいるとは思えません。
タヌキは主に嗅覚や聴覚を頼りにして、夜の森で獲物を探しているのでしょう。
最後に林道を左へ立ち去る前に、画面の左端でタヌキが放尿マーキングしたかもしれません。
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、後方へシャッと少量の尿を放出したように見えます。
後方へ排尿したということは、♀なのかな?
しかし、モノクロのスロー映像を何度も見直すと、私の願望がもたらした目の錯覚のような気もしてきました。
スギの落ち葉や落枝がタヌキに踏まれたせいで動き、小便したように見えただけですかね?
この1回だけでは、なんとも言えません。
参考サイト:タヌキ
交尾・出産:発情期が近づくと、雄は後肢をあげて尿かけをするマーキングが増える。
今回の個体は、自分たちの溜め糞場には興味を示さず、排便するどころか迂回するように通り過ぎました。
タヌキの捕食シーンおよび放尿マーキングは初見です。
自分たちが排泄した溜め糞に食糞性の昆虫が集まり、それを更にタヌキが捕食していることが分かりました。
溜め糞場を見ているだけでも、様々な生き物が登場し、なかなか複雑に絡み合った面白い生態系です。