2016年7月中旬・午後14:55〜14:56
山麓の農道でトビ(Milvus migrans)がとても奇妙な行動をしていました。
トビを地上で見るのも初めてなのに、路上で翼を大きく広げて身を屈めているのです。
暑さのあまり水溜りで水浴びしているのかな?と初めは思いました。
それとも、どこか怪我しているのでしょうか?※
炎天下で陽炎が立ち昇り、本物の水たまりなのか遠くからでは見分け難いです。
農道が波打つように湾曲している窪地にトビはうずくまっているのですけど、私が少し近づいてみると水はありませんでした。
強烈な直射日光を受けたアスファルトはとても熱いはずなのに、トビは翼を広げたまま農道に身を伏せています。
その姿勢でキョロキョロ辺りを見回し警戒しています。
もしかすると蟻浴ではないかと思いつきました。
蟻の蟻酸を浴びて羽毛に潜む寄生虫を駆除しているのかもしれません。
しかし遠過ぎて、実際にトビの体にアリが集っているかどうか見えません。
私のうろ覚えの知識では、鳥が蟻浴をやるにしても、蟻の巣や蟻塚でやるものだと思い込んでいました。
たまたまアリの行列が農道を横断していたのかもしれません。(未確認)
この日は非常に暑くて私も熱射病寸前でバテていました。
そのためトビが居た現場まで歩いて行くのも億劫で、確かめに行っていません(修行が足りません)。
【参考ブログ:カラスの蟻浴について】
「カラスの面白行動」:四季折々心の赴くままに・・・(野鳥)
※ この後、正常に飛べたので、怪我は無さそうです。
つづく→農道から飛び立つトビ(野鳥)
【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p79によると、
鳥のなかには、わざとアリ塚の上に降り立って暴れ、アリの蟻酸攻撃を受けることにより、羽についた寄生虫を退治する「アリ浴び」の習性をもつものがいます。海外ではよく知られていますが、日本で観察するのは容易ではありません。人間も戦時中、服を洗えず、ノミやシラミがわいたときには、服をアリ塚に突っ込んで消毒していたようです。
【追記2】
宮崎学『野生動物の首をしめるゴミ (かわりゆく環境 日本生き物レポート)』を読んでいたら、羽毛を虫干しするヤマゲラ幼鳥の写真が目に留まりました。
アリの助けを借りなくてもダニ退治ができるのだとしたら、私が観察したトビの行動もこれかもしれません。
1羽のヤマゲラが、公演の遊歩道で居眠りをしていた。目をとじて、口をあけて、なんだかだらしないしぐさだ。翼は半開きにして、羽毛は逆立てている。
みていると、ときどき体の向きを変えたりしながら、およそ5分間にわたって直射日光を浴びてまどろんでいた。
どうしたのだろう? 体が弱っているのだろうか、とも思ったが、実はヤマゲラのこの行動は、自分の体の「虫干し」をしているところだった。
野鳥は自分の体にダニなどがつくと、いい天気のもとで日光浴をする。 (中略)羽ダニという虫の存在に鳥も気づいているから、天気のいい日にこのような行動をとり、体から追い出しているのである。
舗装道路が暖まっているときのほうが、虫干し効果があるらしい。
道路上の放射熱と直射日光の上下から体を暖めて、ダニを追い出すという作戦なのだ。
だから、羽毛も逆立てて、暖かい熱が全身に行きとどくようにして、ダニにいやがらせをしているのだ。 (p66-67より引用)
トビが居た地点を望遠レンズで撮っただけでお茶を濁しました。 |
アリが居るのか?(現場まで見に行くべきでしたね) |