2015/12/27

破網後に隠れ家で休む夜のアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年9月下旬・午後19:26

アカオニグモ♀の定点観察#12


夜になってからアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の営巣地を再訪すると、垂直円網は完全に取り壊された後でした。
赤外線の暗視カメラで撮ると、タニウツギ葉先とヨモギ花穂との間で水平に張られた一本の枠糸だけが見えます。
次の撮影目標である破網は日没前後に行われるのだろうか?
朝に給餌したので、満腹したクモが早目に店仕舞いしたのかな?
ちなみに、この日は満月で、
日の入り時刻は17:28。
隠れ家(タニウツギの葉裏)に潜んでいるクモは顔をこちらに向け葉裏にぶら下がっていました。

深夜0時まで粘ったのですけど、このままクモに動きはありませんでした。
ビデオカメラのバッテリーが切れたので観察を打ち切って帰りました。
明け方になれば隠れ家から出て造網を始めるのでしょう。

つづく→#13:造網前に枠糸を強化するアカオニグモ♀a【蜘蛛:6倍速の暗視映像】


ノダケの花蜜を吸うコガタスズメバチ♀とセスジハリバエ



2015年9月下旬

農業用水路沿いの草むらに咲いたノダケの群落でコガタスズメバチ♀(Vespa analis insularis)とセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。
テーブル状の同じ花序で歩き回りながら吸蜜しています。
目障りなハエをスズメバチが押し出したり払い除けたりする小競り合いも何度か見られましたが、敏捷で図太いハエはすぐに舞い戻ります。
最後に花から飛び立ったコガタスズメバチが黒いカメラに向かってホバリングしてきたので少し焦りました。
ハエのせいでコガタスズメバチは少し苛立っていたのかもしれません。
羽音がいかにも恐ろしげですけど、ゆっくり後退すれば刺されることはありません。(スズメバチを手で払い除ける動きはくれぐれも厳禁です)


関連記事(同所同時期の撮影)▶ ノダケの花蜜を吸うヒメスズメバチ♂


【追記】
ノダケなど一部のセリ科植物はスズメバチ媒花であることを示す研究結果が報告されました。
スズメバチ類に受粉される新たな植物の発見
――典型的なジェネラリスト植物であるセリ科における特殊化した送粉様式―― (日本語によるプレスリリース
MOCHIZUKI, Ko. Hunt and pollinate: Hornet pollination of the putative generalist genus Angelica. Ecology, 2024, e4311.(Open Access
この論文を読んで私も再度ノダケの訪花昆虫を観察し直したくなったのですが、当時の貴重なノダケ群落は草刈りで消失していました。
それ以来、フィールドで探し歩いてもノダケの花を見つけることができていません。
筆者の主張とは違い、ノダケの散形花序でスズメバチ類がハエやハナバチなど他の訪花昆虫を狩るシーンを私は見ていません。(観察時間が短かったのでしょう。)



2015/12/26

円網にかかったナツアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前10:28

アカオニグモ♀の定点観察#11


近くで生け捕りにしたナツアカネ♀(Sympetrum darwinianum)をアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の垂直円網に給餌してみました。
あまり暴れ過ぎないようにトンボの後翅を毟り取ってから網に投げつけると、意外にも暴れずにじっとしています(擬死?)。



隠れ家のクモは無視しています。
つい先程行った異物除去実験で糠喜びさせてしまったので、
「きっとまた狼少年だ…」「疑似餌にはもう騙されないぞ!」と警戒しているのでしょうか?
草の葉でトンボをつついてみてもおとなしくしています。
諦めて一旦トンボを網から引き剥がしてから再び網に投げつけると、今度はトンボが激しく暴れました。(映像はここから)
クモが隠れ家から信号糸を伝って網の中心部へ直行し、獲物に噛み付きました。
毒の回りが遅く、赤トンボはしばらく暴れています。
ナツアカネ♀が暴れても構わずアカオニグモ♀は捕帯で軽くラッピングしながら周囲の網を噛み切ります。
明るい昼間に見ているせいか、捕帯に使う糸の量は少ない印象です。
獲物を咥えながら円網の甑を経由すると、信号糸伝いに一気に隠れ家へ戻りました。
隠れ家に吊り下げた獲物を手元に引き寄せ、ゆっくり捕食します。

つづく→#12:破網後に隠れ家で休む夜のアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



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