2013/02/04

トゲアリの巣@サクラ幹



2012年11月中旬・気温21℃

トゲアリPolyrhachis lamellidens)のワーカー♀が徘徊していた桜の木をよく調べてみると、幹の地上60cmのところに集まっていました。
桜が分泌した樹液に集まっているのかと一瞬思いましたが、樹皮の割れ目の奥に営巣しているようです。
本種は樹上営巣性とのことですが、巣を見つけたのはこれが初めて。
晩秋で動きが鈍いのですけど、巣に出入りするアリの動きを見るため動画で15分間、記録監視してみました。
本当は微速度撮影の代わりに早回し映像を作成して公開するつもりが、なぜか上手くエンコード出来ませんでした。
カメラからPCのHDDに動画を転送した際にファイルが微妙に破損してしまったようです。

YouTubeにアップロードすると、10分過ぎのところで切れてしまっています。
という訳で、ただの退屈な映像になってしまいました。

「日本産アリ類画像データベース」の分布図を見て意外だったのは、記録上は山形県がトゲアリの分布の北限とされているようです。


【追記】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』によると、
トゲアリは環境省レッドリストの絶滅危惧II類に指定されているのだそうです。
 主な生息環境は平地の雑木林で、木の洞に巣を構えていることが多い。このアリは社会寄生性の種として知られており、新女王は自力でコロニーを立ち上げる能力がない。そこで、同じく日本産アリ類としては大型種であるクロオオアリなどの巣に侵入してそこの女王を殺し、自分がその巣の女王に成り代わる。(中略)クロオオアリは地中営巣性だがトゲアリは樹洞営巣性のため、乗っ取りに成功してある程度コロニーサイズが大きくなると、地中の巣を捨てて樹上へと引っ越すようである。(p206-207より引用)

下線部については知りませんでした。

いつか自分の目で乗っ取りの様子を観察してみたいものです。 



巣のあった桜の老木:全景

2013/02/03

産卵場所を探し歩くシロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)



2012年11月下旬・雪面の気温1℃(日陰)

山中の建物の外壁に無翅の冬尺蛾♀を発見(北面の地上から高さ50cmの位置、標高〜600m)。
白壁をゆっくりした足取りで登っていますが、滑りやすくて苦労しています。
壁から落ちても雪面を歩き続けます。
現場ではてっきり交尾相手の♂を待っているのかと思いました。
実はこの♀個体は交尾済みで、産卵場所を探し歩いていたのだと後に判明します。



現場で採寸

壁から滑落して雪面を徘徊

建物の壁面を見て回ると、種々の冬尺蛾♂(有翅)があちこちに止まっていました。

暗くなるまで待てば求愛交尾行動を観察できたかもしれません。
しかし夜の撮影準備も雪山で一晩ビバークできる装備や防寒対策もして来なかったので、次善の策として飼育下で観察できないかと考えました。
映像の♀1頭と♂6頭を採集して個別の容器に入れ持ち帰りました。
どの種類の♂と交尾するか相性を調べれば無翅の♀も確実に同定することができます。

つづく→産卵篇(15倍速映像)

【参考サイト】


ユキムカエフユシャク♂?

ユキムカエフユシャク♂?
現場で採寸

ウスモンフユシャク♂?b

ウスモンフユシャク♂?c
採寸




石垣で遊ぶニホンザルの身体能力



2012年8月下旬

山から里の近くまで下りてきた野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れがのんびりくつろいでいます。
林縁にコンクリートで固めた急斜面があり、そこを猿たちが追い駆けっこしながら登り下りして遊んでいました。
子猿だけでなく成獣も身軽にジャンプし、コンクリートの急斜面を攀じ登ることができます。
斜面の上から張り出した木の枝(アカマツ)やクズの蔓にぶら下がって遊ぶ子猿もいます。
映像の冒頭で石垣を登った個体は後ろ姿でよく見えませんが、もしかすると右腕の無い隻腕のニホンザルかもしれません。

多少の足掛かりがあるとは言え、絶壁のような急勾配です。
(水準器を買って角度を測りに行こうかしら?)
石垣でフリークライミングの練習をする人たちよりも流石に達者ですね。
戦国時代の城攻めで忍者が飼い慣らした猿に長い縄を付けて放ち、下から城壁を登らせて侵入ルートを確保するという話を子供の頃に読んだことがあります。
今回ニホンザルの身体能力を目の当たりにして、さもありなんと実感しました。
お城の石垣ぐらい安々と登れそうです。



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