2020年5月下旬・午後14:20頃
道端に生えたオニノゲシの実になぜかハンミョウ♂(Cicindela japonica)が乗っていました。
今回の出会いは色々と初めて尽くしでした。
まず、こんな平地で見かけるのは初めてです。
この辺りは意外に自然度が高い環境なのでしょう。
しかも今季初見です。
近くの境内や原っぱから羽化したばかりの成虫かと思いきや、調べるとハンミョウは成虫で越冬するらしい。
肉食性のハンミョウがどうして丈の高いオニノゲシにわざわざ登って訪花してるの?と不思議に思い、マクロレンズで接写してみました。
獲物の待ち伏せなら、花が咲き終わったオニノゲシに居るのは変です。
しばらくすると「やみくもに飛び回って塀に衝突」という一連の動きを繰り返していたので、たまたま塀の下のオニノゲシに落下したのでしょう。
オニノゲシから次はスギナの群落に飛び降りました。
顔を正面からクローズアップすると、大顎の白色と毛深い前脚の特徴から♂と判明。
大谷剛、栗林慧『カラー自然シリーズ70:ハンミョウ』を紐解くと、ナミハンミョウの性別判定法が書いてあります。
・♂と♀の大あごの色のちがいに注意してください。♂の大あごは白い色です。♂は、獲物をとらえるこの大きな頑丈なあごで♀の背をがっしりはさみ、おさえこみます。
・♂の前脚は♀にくらべて、毛がたくさん生えています。♂はこの毛でさわって、♀をたしかめます。(p13より引用)
『くらべてわかる甲虫1062種』という図鑑p16にはナミハンミョウの性差が更にもう2点、写真に図示されていました。
鞘翅の肩の部分には♂にだけ白斑があり、♂は前脚の跗節が太くなるとのことで、確かにこの個体でもその通りでした。
ナミハンミョウ♂が急に走り出したので行き先を慌てて追いかけると、舗装された路上で小休止。
私の今までの経験上、ハンミョウは警戒心がとても強いはずなのに、これほど近づいて接写できたのは奇跡です。
七色に輝く構造色が非常に美しいですね。
触角まで構造色とは知りませんでした。
近くを微小なアリ(種名不詳)や赤いタカラダニ(種名不詳)が通りかかっても、ナミハンミョウ♂はなぜか捕食しませんでした。
▼関連記事(4年前の撮影)
ナミハンミョウの狩り捕食
逆に恐れ知らずのアリがハンミョウの脚の爪先(跗節)に繰り返し噛み付いています。
もう少し引きの絵にしてアリとの攻防に注目すべきでしたが、撮影時の私はハンミョウを画面いっぱいに接写することに熱中して微小なアリをよく見ていませんでした。
ハンミョウはアリに何も反撃せず、やがて身繕いを始めました。
左前脚で顔(触角、複眼)を拭います。
アリに噛まれた右中脚を慌てて持ち上げ、背中を掻きました。(@0:58)
これは身繕いというよりも、アリを振り払う動きかもしれません。
次に右の中脚、後脚を擦り合わせます。
腿節が毛深く、密生した毛が白く光っています。
右前脚で顔を拭いました。
再びアリが右中脚の先を噛んだようで、ハンミョウは嫌がって振り払いました。
閉じた鞘翅を少しだけ開閉するようになったのは、飛び立つ前兆かな?
ナミハンミョウ♂が飛び立つ瞬間を狙い、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:24〜)
身繕いシーンも編集でカットせずに残してあります。
鞘翅をパカッと広げると後翅を羽ばたきながら脚力でジャンプして飛び立ちます。
しかし1/40倍速のスーパースローでリプレイしても、羽ばたきが速すぎてよく見えませんでした。
普段は鞘翅で隠されていた腹背も玉虫色に輝く構造色(金属光沢の青緑色)なのですね。
ハンミョウが地上で飛翔を繰り返すと、有名な「道教え」行動になります。
▼関連記事(4年前の撮影)
ナミハンミョウの道教え【HD動画&ハイスピード動画】
ナミハンミョウ♂@路上 |
身繕い:頭掻き |
身繕い:腹背掻き |
0 件のコメント:
コメントを投稿