2020/07/15

水面を走る早春のアゴブトグモ♂(蜘蛛)



2020年4月上旬・午後14:35頃・晴れ

田起こしも水入れも始まっていない早春の田んぼの間を流れる幅の狭い灌漑用水路の中で、見慣れないクモが泳いでいました。
水面を泳いでいるというよりも、浮いている枯れ草の上を主に伝い歩きしていました。
よく見ると、触肢が膨らんでいる♂(亜成体?)でした。

表面張力だけで沈まずに水面を走り回れるのは、アメンボと同じく足先の毛束に油成分を分泌しているためでしょうか?
水面が白く泡立っているのに水面に浮いていられるのが興味深く思いました。
家庭排水に含まれる合成洗剤(界面活性剤)による水質汚染だとすれば、アメンボなら足先の油分が失われて体重を支え切れずに沈んでしまうはずです。
土管から水路にチョロチョロと
水が流れ込む地点なので、水面に気泡ができやすいだけなのでしょう。
水路には緑色の藻も繁茂しています。

このクモは、水面に落ちて溺れる虫を待ち伏せしているのかな?
それとも単に、うっかり地面から水路に落ちたクモが必死で脱出を試みていたのかもしれません。
岸を覆う枯れ草(おそらくイネ科の雑草)の茂みに辿り着くと、クモはその奥に潜り込んで隠れました。

このクモの名前をご存知の方はぜひ教えてください。
未採集、未採寸。
こんな平地(標高約260m)の田んぼでまさか幻のミズグモか?!と一瞬興奮したのですが、腹背の模様が違いますね。



いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」に投稿して問い合わせたところ、早速きどばんさんから次のようにご教示いただきました。
動画のクモはアゴブトグモ♂のようです。画像検索してみましたが、ネット上では本種♂の写真はかなりレアですね。
> 水面で獲物を待ち伏せするタイプのクモなのですかね?
獲物の捕らえ方等に関しては詳しい記録が無いようです。動画の個体は♀を求めて移動中だったのでしょうね。

私は勝手に徘徊性クモなのかと早とちりしましたが、水田周辺によく見られる造網性のアシナガグモ科アゴブトグモ♂(Pachygnatha clercki)でした。

新海栄一・緒方清人『田んぼの生きものたち クモ』という本を紐解くと、ちゃんとアゴブトグモの写真も載っていました。

体長5〜6mm。中部地方以北に生息。子グモは水平円網を張る。
甲信越、関東以北に分布する北方系クモ。(p25、48より引用)






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