2019年5月下旬
堤防沿いの道端に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でツバメシジミ♀(Everes argiades hellotia)を見つけました。
蕾に止まって休んでいるように見えたので、飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で記録しようと撮り始めました。(@00:00〜3:16)
後翅に見落としそうなぐらい小さな尾状突起があるので、ヒメシジミではなくツバメシジミです。
閉じた翅の僅かな隙間から見えた翅表が茶褐色ですから、♀と判明。
映像を見直してみると、なんとツバメシジミ♀は腹端をムラサキツメクサの蕾に擦り付けて産卵していました。
本種の食草はシロツメクサなど各種マメ科植物とのことで、納得しました。
古い図鑑ですが、保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』でツバメシジミの産卵行動について調べると、
母蝶は食草の新芽・つぼみ・花などに1個ずつ産卵する。(p196より引用)
産卵後のツバメシジミ♀は飛び立つと、辺りの草むらをしばらく落ち着きなく飛び回りました。
ようやくイネ科の草の葉に止まると、翅を半開きにして休息。
後翅の尾状突起をまるで触角のように交互に動かすことで、頭部が逆向きにも付いているように見せかけています。
こうすれば、もし捕食者に襲われても本当の頭部に致命傷を負う確率を減らすことができます。
シジミチョウ科でよく見られるこの現象・行動は、自己擬態と呼ばれています。
この個体も、後翅の尾状突起付近が破損しているのは鳥に襲われたビークマークかもしれません。
(鳥が昆虫を狩るときには、頭部などの急所を狙います。)
ムラサキツメクサの花蜜を吸うシーンは残念ながら撮れませんでした。
ツバメシジミ♀@イネ科葉 |
ツバメシジミ♀@イネ科穂 |
ツバメシジミ♀@イネ科穂 |
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