2012年3月中旬・室温16℃
室内のどこかで季節外れに羽化した2頭目のアメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)成虫を捕獲しました。
2月下旬に見つけた一頭目の記事はこちら→「アメリカシロヒトリ(蛾)が季節外れに室内羽化」。
容器内で大人しく静止しているところを接写すると、前脚および中脚の付け根が黄色いことがお洒落で可愛いらしい。
口吻は退化しているのかな?
仰向けにされても擬死しています。
やがて動きが活発になりました。
必死に飛翔筋を震わせて準備運動をしています。
プラスチック容器が滑って壁を登れないでいるようです。
羽ばたきが激しさを増しても結局、完全には飛び上がれませんでした。
飛翔には至らないまま疲れてしまったのか、羽ばたきを止めました。
羽ばたき運動のリリーサーは明るさの変化?
おそるべき害虫を野外に放虫する訳にもいかないのでしばらく飼い続けると、羽ばたき運動に規則性があることに気づきました。
夕暮れの定時(17:59)になると活発になり羽ばたき始めることが2・3日間続いたので、体内時計の関与がありそうだと思いました。
ところがある朝、窓から差し込む朝日が眩しいので一度開けたカーテンを閉めたら途端にアメリカシロヒトリがその場で激しく羽ばたきを始めました。
この観察結果から、体内時計ではなく視覚(複眼や単眼)で周囲の照度の変化を感知して羽ばたき運動のスイッチが入るのではないかと考えを改めました。
きちんと調べるために、照度計が欲しいなー。
♀なら容器内で未受精卵を産むはずと期待したものの、卵を産むことなく死亡したのでこの個体は♂なのかな?
触角など外見を見ても私には性別が見分けられません。
2012年3月上旬
里山の雪面に気になる足跡が残されていました。
大きな後ろ足を揃えて前足よりも前に出すという全体のパターンはノウサギの足跡と似ているものの、ノウサギよりも一回り小さな足跡です。
雪道を横断して電柱の元へ向かって駆け上がったようです。
先に進むと似たような足跡をまた見つけました。
アカマツの木から飛び降りた後に、林道を横断して電柱の横を通って森に向かったようです。
これらの足跡の主は(あまり自信がないのですが)ニホンリスだと思います。
(もし間違っていたらご指摘ください。)
小動物の足跡は傾斜や雪質によって変化するようで、本に載っているような典型的な足跡は実地ではなかなか見られないのかもしれません。
実際にリスが雪原を走り去る様子を一度でも観察できれば残された足跡と照合してアニマルトラッキングに自信がもてるようになるのですが…。※
エビフライにそっくりということで有名な松ぼっくりの食痕も未だ見つけたことがありません。
【追記】
※ 一月後に早速、雪山を走るニホンリスの姿を目撃し、雪面に残されたばかりの新しい足跡も確認できました。
遡って、いまいち自信が持てなかったこの足跡もニホンリス(Sciurus lis)のものと判明。
ニホンリスは北海道のシマリスとは異なり冬眠しません。
『Winter Field Guide SNOW FOREST 冬の森へ』p69によれば、
ウサギの前足が縦につくのに対し、リスの前足(後ろの2つ)は後足と並行に横につきます。
2011年10月上旬
水路沿いの鉄柵に張った垂直円網にヤマオニグモ♀(Araneus uyemurai)がいました。
腹面を向けて下向き占座しています。
甑(こしき)の高さは地上約60cm、円網の直径は約35cm。
枠糸は鉄パイプと下草に固定されています。
このクモは右側の第4歩脚が欠損しています(-R4)。
第3歩脚も左右で長さが違うので(R3<L3)、おそらく再生肢と思われます。
腹面に外雌器と垂体を確認しました。
捕食行動を観察しようと、生き餌のトンボ(マユタテアカネ♀)を網に付けてみたのですが、失敗してしまいました。
網の振動が不自然だったのか、クモが怯えて甑から逃げ出しました。
しばらく待つとヤマオニグモは網の外の鉄パイプ上にしおり糸(命綱)を付けながらゆっくり徘徊します。
しかし警戒して網に戻ってくれません。
網に付けたトンボは観念したのか全く暴れずじっとしています。